【2023年版】PMOとは? PMとPMOの違い(意味・役割・必要なスキル等)まとめ
以前、某外資企業でPMOをさせて頂いていたのですが、「PMOとPMとの違い(具体的にはPMOの意味、PMOの役割、PMOにとって必要なスキル等)」が世間的にきちんと浸透していなかったので、PMOの視点から纏めてみました。
PMOとは?
まず最初に「PMO」の意味ですが、一般的には「Project Management Office」とされ、PM(プロジェクトマネージャー)の方々が課題を抱えてないか、プロジェクトがスムーズに進行出来ているかなど、各プロジェクト全体を俯瞰しながらプロジェクトオーナーと連携を取りつつ、PMをサポートするための組織になります。
単発でのプロジェクトであれば、PM(プロジェクトマネージャー)だけで対応・処理する事が可能ですが、企業によって予算が数億円かかるような大規模なプロジェクトなどは、プロジェクト遅延による大損失を避けるためプロジェクトチームのトップに「PMO」を立てる場合があります。
また外資系企業においては「PMO」の意味として(Project Management Officer)といった、単独でプロジェクト全体の統括を任されるポジションもあります。
よって「PMO」は企業や組織によって名称が変わりますが、基本的にはPMOの役割としては同じです。
PMOの役割とは?
以下が主なPMOの役割ですが、PMOはプロジェクト全体を俯瞰することで各プロジェクトにおける進捗管理と各課題のメンター的なサポートを行います。
PMOの主な役割・タスク
①プロジェクトにおける基本プロセス(資料テンプレート、承認プロセス等)全体におけるプロセスをPMOが構築・設計する。
②上記で構築した全体プロセスを各プロジェクトにPMOが確実に理解できるまで浸透させる。
③各プロジェクトのリソース(必要あれば新規人員の追加 等)をPMOが助言、サポートする。
④全体のプロジェクトにおいて費用対効果をクリアに把握し、適宜予算の調整をPMOが行う。
⑤プロジェクトマネジメントにおいて各PMへのトレーニングを実施したり、メンター的な活動をPMOが行う。
⑥各プロジェクトにおいてリスクが無いかの確認、またリスク回避のためのアクションプランをPMOが設計・実行する。
⑦各プロジェクトの状況を可視化し、目的達成に向けて各PMが進行出来ているかPMOが適宜確認をする。
PM(プロジェクトマネージャー)の役割とは?
逆にPMOとは違い、PMは各プロジェクトを実行・推進することが主な業務内容となります。具体的な役割は以下になります。
①プロジェクトプラン(特にプロジェクト目的)構築のサポート
②プロジェクトの進捗管理
③プロジェクトにおける承認プロセス管理
④SOW(作業範囲記述書)など合意文書の作成・承認
⑤プロジェクト単体におけるリソースの管理
⑥CR(仕様変更の要求)プロセスの実行・承認
⑦その他プロジェクト進行におけるコミュニケーション等
PMOに必要なスキルセットとは?
PMOとしてプロジェクト全体をマネジメントするため、幾つか必要なスキルセットがあります。
特に以下5つが非常に重要になりますので、PMOを目指している方は参考にして頂ければと思います。
①PMOとして強いリーダーシップを持つ事
プロジェクトを進めるにあたり、誰がボールを持っている状況なのか、
議論が曖昧でやるべき事が宙に浮いてないか、
決めるべき項目はきちんと決まっているか等、
不明な箇所を潰していくためにディレクション(指示)していく強いリーダーシップがPMOには求められます。
②PMOとしての人材マネジメント能力
誰をどのポジションにアサイン(割当)するか、また課題が発生した際にどのように担当エリアを臨機応変に調整するか等、個々の強みと作業スピードを考慮した上でのマネジメント能力がPMOには必要になります。
これは人を見る能力と過去の経験値が非常に重要になってきます。
③PMOとしてのコミュニケーション能力
簡単に言うと「人を動かす能力」です。PMOにおいてコミュニケーションが上手な人ほど、日頃から常にコミュニケーションを取っている方が多いです。
例えば雑談。雑談を上手く業務に取り入れる事が出来る人は、仕事でのコミュニケーション能力も高く、プロジェクトがスムーズに進む傾向があるように思います。そのため休憩時間などの雑談は人を動かすための武器の一つになります。
もし仮に「動かしにくい人」がいれば、その人の特徴や習慣、好み、思考など慎重に毎日毎日探ってみてください。必ず何か引っかかっているものが見つけられると思います。それを見つけられる事ができれば、コミュニケーションを向上させるチャンス大です。
④PMOとしての課題解決能力
PMOとしてマネジメントが出来る人は、どこで課題が発生するかを見極める「クリティカルパス」を見つける能力が必要となります。
また課題解決のために経験値と合わせてロジックツリー等のフレームワークを使い、根底となる課題を見つけ優先度をあげて処理する能力も必要となります。このあたりはPMOとしての経験値もありますが、課題解決に関しての本を読む事をオススメします。
⑤PMOとしてのタイムマネジメント能力
最後にタイムマネジメント能力です。「誰がいつまでに何をするのか」常に忘れないようにPMOとしてマネジメントする必要があります。
例えば、とあるミーティングで様々な議論を重ねたとしましょう。議論も終盤、お互い認識も揃っているような状況でそのまま終わりそうな時には、必ず、誰がいつまでに何をやるのか、明確にしていおきましょう。
さらに海外チームとやりとりが発生する場合は、時差も考慮して進行できるタイムマネジメントする能力も必要です。
時差の違いを上手く利用してコントロールするのもPMOとしての醍醐味です。NYであれば、日本時間の終業時までに彼らに何を送っておけば、明日NYのチームは作業開始できるのか。相手を想ってタイムマネジメントする事がPMOの役割としてとても大切です。
PMOとして成功するために必要なものは?
よくある間違いとして、プロジェクト管理者として「PMO」を立てれば必ずプロジェクトが成功すると思われている事例も多々あります。
正直なところ、この考えは全て正しいとは思いません。
プロジェクトを成功に導くためには、組織の中でもPMOをサポートする協力者が必ず必要になります。
例えば、
①役員・幹部のPMOに対する理解とサポート。
これはPMOが動きやすくなるために必須です。PMOが困った時にはいつでもサポートしますよ、とのスタンスを本人等が持っているか。事前に認識合わせしておきましょう。丸投げ感があると思ったら必ず危険フラグを立ててください。
②PMOにおける責任範囲の明確化。
プロジェクトによって「PMO」が「PM」の業務範囲にまで入るケースも稀にありますが、基本的には役割分担を事前に且つクリアに決めたほうが良いです。曖昧のまま進めると「PMOが全てやるだろう」と思われるケースもプロジェクトの途中で発生してきます。
③プロジェクト組織の透明化。
ブラックボックスが無いようにプロジェクトを推進する体制図を明確に細かく纏めておきましょう。誰が責任を持って進めるのか、クリアにしておくと後々スムーズに進みます。特に承認プロセスは誰がどの範囲で承認を取るのかについても合わせて透明化しておきましょう。
④最後にコミュニケーション。
意外と重要なのが「派閥(社内政治)」の理解です。チーム毎に派閥が無いか事前に確認してから進めましょう。「隠れ派閥」は意外と掘れば出てきます。事前に細かく掘っておきましょう。
PMOに必要な便利なツールは?
次にPMOで使用する便利なツールをご紹介します。
昨今では様々なツールがありますが、「ServiceNow」はプロジェクトのポートフォリオ管理や進捗管理、リソース管理、コスト管理まで一元管理出来るので、便利なアプリだと思います。
PM(プロジェクトマネージャー)であれば、TrelloやBacklog等も便利です。
一方で予算を立てて複数のプロジェクマネジメントツールを導入しても、結果PMOやPMが使いこなせなかったケースも多々ありますので、その場合は使いなれたアプリ(エクセルなど)で全体を可視化しながら進行しても全く問題ないと思います。つまり、無理して新しいツールを導入するのではなく、誰にでも使いやすく本来の目的である「可視化」がしやすいツールを選択する事が重要です。
最後にPMOが抱える課題とは?
それぞれプロジェクトを進めるにあたり「課題」は少なからず発生してくると思います。
プロジェクト開始前に幾つもの課題を潰した認識であっても、実際スタートすると「あれ、こんなはずじゃなかったのに」「これどうなっているの?」など部署間、チーム同士で口論が発生してしまう可能性もあります。
さらに自然災害など予期しない問題もダブルで降りかかるケースもあるため、PMOは常に課題と戦う事になります。
そこで、もし課題が発生した際には一度心を落ち着かせてから、
プロジェクト全体を俯瞰し、
課題を可視化し、
優先度を見極め、
物事を判断するようにしましょう。
リーダーシップを持って、気持ちでは絶対に負けないように!
PMO、PMを目指している方、ぜひ貴方のプロジェクトが成功出来るように願っております。一緒にがんばりましょう。
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