お手頃3Dスキャンを比べる。
お手頃な3Dスキャン方法を整理して、利用用途に応じた長所短所をざっくり雑に整理してみましたよ、という話。
概論
2021年6月現在、ホビイスト(趣味人)が手を出せる価格帯で利用できる3Dスキャン方法はおおざっぱに分けて3つある・・・と思う。
1.フォトグラメトリ
2.iPhone/ iPad ( LiDAR +True Depth)
3.低価格専用機材(Revopoint POP, Intel Realsenseなど)
そして利用用途としては、これらがあると認識している。
1.3DCG(VRC/ MMD/ Blender など) (テクスチャ・メッシュ重視)
自分でモデリングするよりスキャンしたほうが早いじゃん運用
2.旅先での記念撮影/ 持ち物の記録(テクスチャ重視)
新しい形の記念写真みたいなもの。2Dでなく3Dで記録したい人向け。
3.3Dプリント(テクスチャ不要・メッシュ重視)
スキャンで得られたメッシュを小加工でそのままプリントするような運用
4.リバースエンジニアリング(寸法/形状精度・メッシュ重視)
寸法、形状をデータ化してアレコレする運用。この場合、スキャンしたデータは最終製品に必ずしも使われないので、スキャンデータが3Dプリント可能な状態である必要はない。
各スキャン手法の長短所
1.フォトグラメトリ
◆長所:
・手軽さ(最低限スマホかカメラがあれば試すことができる)
・テクスチャ品質の良さ(デジタル一眼レフはスマホより画質が良い)
・適用できるサイズ・距離に制限が少ない(小物~風景撮影も可)
◆短所:
・画像処理に時間がかかる
・スキャンしながら結果を確認できない
・寸法は出ない(距離を計測しないのでノンスケールしか無理。)
結論:テクスチャ品質が高く、汎用的に使える⇒3DCG用途向き
2.iPhone/ iPad
◆長所:
・手軽さ(iPhone X以降の世代ならすぐ試せる)
・TrueDepthはスキャン精度が良い
・3Dデータとテクスチャ品質、スキャンサイズが両立している
・利用人口が多く、情報が多い
◆短所:
・LiDARは比較的解像度が低く小物撮影ができない(参考文献1)
・TrueDepthは画面側に搭載されており使い勝手が悪い
・データ処理能力・処理時間はiPhone/iPadの性能に制限される
結論:わりと万能
3.低価格専用機材
◆長所:かっこいい
短所:
・クセが強い(POPは大物無理、L515は小物無理)
・テクスチャ品質が劣る(本体搭載カメラの画素数に制限がある)
・利用人口が少なく、情報が少ない
結論:機材のクセに利用価値を見出せるオタク向け
参考
①業務用3DスキャナとiPad TrueDepthのスキャン品質評価
https://www.mdpi.com/2227-7080/9/2/25/pdf
②Intel Realsense L515 と Revopoint POPと、iPhoneの比較レビューhttps://www.youtube.com/watch?v=qEDek-ztaAw
③iPhone LiDARの大体の精度 https://blog.turigoro.com/lidar-survey.html