個人向け3Dスキャナーの選び方【2024年版】
個人向け低価格3Dスキャナーの選び方をお話します。前提として知っておくべき知識は別記事に書いたので初心者はご一読ください。
※写真から生成するタイプの3Dスキャン(フォトグラメトリーやAI生成3D形状)は扱いません。iPhone/ iPadを使った3Dスキャンも扱いません。比較検討が面倒な割にスキャン品質はこれから紹介する専用機材と比べて低いので。
この記事で紹介したスキャナの公式webと、過去のベンチマーク記事を記事末尾にまとめておきます。
ちなみにこの記事を書いている人間は「個人向け低価格3Dスキャナー」というニッチな商品が出始めた初期から界隈に突入し、個人輸入等で計10台以上を自腹で購入したおじさんです。これまで3Dスキャナーに費やした金額は平均すると1台10万円前後として・・・いや・・・この話やめようか・・・やっぱつれぇわ・・・
3Dスキャナの活用方法を整理する
何のために3Dスキャナを使うのか整理しましょう。代表的な使い道を3つ挙げます。
・3Dモデリングの参考資料
写真を見ながら3Dモデリングするより最初から3D形状があったほうが楽じゃね?という使い方。
どうせ3Dモデルは起こすので形状も色の再現性もそこそこでOK。でも、いろんな物を撮りたいので小物から大型のモノまで撮りたいはず。
・3D形状アーカイブ
土器などの文化財や骨格標本などそういう価値のある物体をデジタル化して保存、活用しましょうという使い方。
色も形状精度も欲しい。ただスキャン対象物はそれほど大きくないはず。
・リバースエンジニアリング
機械部品などを撮影して複製したり改造したりする使い方。
形状精度は重要だが、スキャンするモノは大きくなく、色の再現性も要らないはず。
何を基準に選ぶべきか
・形状精度
・色の再現性
・スキャンできる物の大きさ
・追尾性能
この4つでしょう。
選ぶ基準と活用方法を合わせて整理した表がこれです。
それぞれの選択基準について補足します。
・形状精度
「どれくらい細かい形状を撮影できるか」と「どれくらい正確な寸法で撮影できるか」の2つの観点があります。
これは「どれくらい細かい形状を撮影できるか」の例。
これは「どれくらい正確な寸法で撮影できるか」の例。
・色の再現性
3DスキャナーにはだいたいRGBカメラがついているが、おまけ機能なので画質が悪いものが多い。
これは比較的画質が良いEinstar VEGA の48MPカメラの例。
・スキャンできる物の大きさ
3Dスキャナーによって向き不向きがあり「小さすぎて撮れない」「大きすぎて撮れない」が発生する。メーカーが言う「小物向き」「大物向き」はまるっきり嘘ではないので参考にしておくべきです。
・追尾(Tracking)性能
地味なんだけど重要なのが追尾性能です。
追尾って何?っていう人はこれ読んでください。
https://note.com/hexcapbolt/n/n4179bd3e0d22#f8a567cf-89bd-41a3-b456-4c8c60268f1a
追尾性能が悪いと3Dスキャンに失敗します。
これは派手に失敗して形状がハチャメチャになっていますが、部分的に形状がズレる、ゆがむという失敗もあるのでどのような使い方でも追尾は大切です。それに加え、数分~数十分かけてスキャンしたデータが追尾性能のせいでお釈迦になるのはつらく、かなしい、腹立たしいです。
これはスキャナーの性能ではなくメーカーが提供するソフトウェアによって変わります。なのでRのつく安価な某メーカーはオススメしません。昔から追尾性能が悪くユーザーエクスペリエンスがゴミなので。
3Dスキャナーの選び方
使ったことがあるスキャナーを中心に整理しました。
性能は解像度と色再現性と追尾(トラッキング)を私見で合算しています。
・3Dモデリング参考資料向けスキャナ
最安 :Revopoint Inspire
コスパ:Revopoint POP3
ベスト性能:Einstar VEGA
コスパ的にはPOP3なんですけど、大物スキャンには向いていないので万能ではありません。大物までスキャンできるスキャナはEinstar VEGAがオススメです。手のひらサイズのスキャンをあきらめるならEinstarでも良いです。
RevopointとShining3Dの差は追尾(トラッキング)です。
・3D形状アーカイブ向けスキャナ
最安 :Revopoint POP3
コスパ:Revopoint POP3
ベスト性能:Einstar VEGA
あんまり安いのはおススメしません。満足する品質のスキャンはできないと思います。
とはいえ、いきなり30万出せってのも酷なんでコスパ的にはPOP3なんですけど、大物スキャンには向いていないので万能ではありません。ついでにRGBカメラがあまり良くない。
大物までスキャンでき、画質も悪くないスキャナとしてEinstar VEGAがオススメです。カメラが48MPなので色再現性が良く、現状トップクラスです。(2024年現在)
手のひらサイズのスキャンをあきらめるならEinstarも使いやすくて良いです。
・リバースエンジニアリング向けスキャナ
最安 :Revopoint Inspire
コスパ:Revopoint POP3
ベスト性能:Matter&Form THREE
あんまり安いのはおススメしません。Inspireでも撮れるけど満足する品質のスキャンはできないと思います。
とはいえ、いきなり30万出せってのも酷なんでコスパ的にはPOP3なんですけど、細部のディティールが甘いし、溝とか奥まったところが撮れません。
青色光を使ったRevopoint miniシリーズも悪くないんですが、最強はMatter&Form THREEです。間違いなく。比較的大きな物は苦手なんですが、それを差し引いても寸法精度も良くディティールも細かく溝も得意です。
紹介したスキャナーのURL
アフィリエイトやアドセンスなど収益要素はありません。メーカー公式に飛べる純粋なリンク集です。
Matter&Form THREE
Shining3D Einstar
Shining3D Einstar VEGA
Revopoint MIRACO
今は後継機種のMIRACO Plusになってます。
Revopoint POP3
今は後継機種のPOP3 Plusになってます。
Revopoint Inspire
Revopoint RANGE
Revopoint Mini
今は後継機種のMini2になってます。
3DMakerPro Seal
ベンチマーク記事まとめ
Shining3D VEGA vs Einstar vs Revopoint Range vs POP3
中型~大型スキャン編
小型スキャン編
MAF THREE vs Revopoint POP3 vs Mini
3DMakerpro Seal vs Revopoint Inspire vs POP3 vs Mini
Revopoint Inspire vs POP3 vs Mini vs POP2
Revopoint Range vs POP3 vs Shining3D Einstar
Revopoint POP3 vs Mini vs POP2 vs CR Lizard
Einstar vs Mini vs POP2 vs CR Lizard
Revopoint Mini vs POP2 vs CR-Lizard
CR-Scan Lizard vs POP2
異論反論・その他もろもろコメント
Twitter(旧:X)とか、この記事のコメントにご意見ください。
https://x.com/hex_cap