【中国ビザなし渡航】144時間滞在可能トランジットビザを使用したレポ
※2024年8月6日時点での情報です。渡航を考えている方は最新情報の確認をお願いいたします。
現在、日本人が中国に渡航するためには中国人と結婚していたり中国居留許可証や永久居留書類を持っている場合などを除き、原則ビザを発行する必要がある。
以前は日本人は観光や出張などの目的の場合については事前の申請不要で日本国パスポートさえ持っていれば手軽に入国し、15日間滞在することができた。
しかしコロナ後以降中国はその政策を完全に停止し、2024年8月の今も日本人の我々には事前に日本のビザセンターに行って、決して楽ではない手間と時間と費用をかけて申請手続きを行わなければいけない。
1度のビザ取得でセンターにも平日に最低二度通う必要があり都内に住む人ですら負担がかかるのに、いわんやビザセンターから遠い場所に住む人にとってはかなりの負担になるでろう。
そこで少なくとも観光目的として、ビザ申請をせずに済む一つの方法として72時間/144時間トランジットビザの存在を紹介したい。
既にインターネット上で様々なメディアで紹介されているためN番煎じのコンテンツではあるものの、
実際に使用してみた体験記ベースのレポも残したのでこれからトランジットビザを使う方の一つの参考になれれば嬉しいです。
72時間/144時間トランジットビザとは?
そもそも72時間/144時間トランジットビザとは何か。
もともと私がこのビザを知ったのは、会社の同期がこのビザを使用して四川省に遊びに行っていて存在を教えてもらったことだ。
てっきりビザを申請しなければ全面的に中国に行けないものだと思っていた私は、さっそくインターネットで調べることにしてみた。
何事もまずソースを見るのが良いであろうということで、中国移民管理局の公式ウェブサイトを見た。
簡単に言うと自分が現在いる地点から第三国を目的地として中国を経由する場合に有効となるビザであり、パスポートと必要情報さえそろっていれば事前申請無しで発行することができる。
このビザを利用して中国入国しようとするとあらゆるところで目的地はどこか、と聞かれる。
表向きはあくまで中国を目的地に向かうまでの中継地点としたトランジットビザ※とは言ってはいるものの、実はれっきとして観光やビジネスを前提に作られている制度である。
※似たものとして24時間トランジットビザがあるが、これは似て非なるものなので注意したい。
制度の穴を突くことになってしまうのでは…と心配される方もいるかもしれないが、上記引用のように公式発表もされているので、安心していただきたい。
使用ルール
このビザを使用するためにはいろいろとルールがあるので押さえておきたい。移民局公式サイトに書かれているルールについては以下である。
【72時間/144時間適用範囲】・・・湖南省・黒竜江省・広西壮族自治区の指定出入国審査場(空港・港など)から入った場合72時間の入境許可が得られ、
京津翼区域(北京、天津、河北省)・沪蘇浙区域(上海、江蘇省、浙江省)・広東省・遼寧省・山東省・河南省・重慶市・雲南省・四川省・陝西省・福建省・湖北省から入った場合は144時間の入境許可が得られる。
これらの地域は絶賛拡大中である。最近で言うと2024年7月15日から河南省への入境可能・雲南省の移動可能地域が拡大されている。
【入境・出境チケットの確保】・・・第三国に向かう日程・座席が確定したチケットを事前に確保しておく必要がある。バウチャー印刷推奨。
【第三国の定義】・・・出発した国とは別の国・地域。また第三国にはマカオ、香港、台湾も含まれる。日本人が日本から出発するなら行きやすい第三国として韓国・ベトナム・台湾・香港etc.…が挙げられるだろう。
【日数のカウント】・・・入国をした日の翌日の0時からカウントがスタートする。すなわち72時間/144時間と謳ってはいるものの、理論上滞在可能なのは3日 or 6日 + 23時間59分59秒間となる。(もちろん、中国入境と出境の便の時間に左右される)
【行動範囲】・・・【72時間/144時間適用範囲】で示した範囲以外からは出ることができない。詳細は版権の問題もありそうなので以下のリンクの表を参照にされたい。
たとえば入った空港が上海浦東国際空港なら、理論上滞在可能な144時間+ 23時間59分59秒間の間で移動できるのは上海市・浙江省・江蘇省の3地域だけになる。
また、たとえば厦門高崎国際空港から入った場合、福建省の中でも厦門市の中でしか移動することができない。
このように、入り口によって行動可能な範囲が変わり場所によっては省レベル、またある場所では省の中でも一部地域しか移動可能でないことがあるので、必ずチェックしたい。
北京・上海・広州・深センといったような一線都市と呼ばれる大都市経済圏の入国審査場になるほど移動範囲が広く、そのほか都市の規模が小さくなるほど移動可能範囲が狭まる。
【出入境時】・・・出入境時にそれぞれ手続きを行うこと。
その他ルールには書かれてはいないが準備を推奨するものとしては、
【宿泊情報】・・・中国滞在中のすべてのホテル予約バウチャー。印刷推奨。日本出国の際、中国入国の際に行程の説明をする際にスムーズだった。
私の同期もこのビザで手続きを行った際、どこに泊まるのか?と聞かれたらしく事前に印刷しておいて役立ったと言っていた。
【体験記】:実際に使ってみた
上記までは知っている方も多い内容かと思うが、144時間ビザの体験について書かれている記事は個人的に少なく感じたので、実際にどういう流れで中国入境できたかということをお伝えさせていただこうかと思う。
成田空港でのチェックイン
2024年6月某日、天津に行くため今回は中国系LCC春秋航空の日本分社である春秋航空日本の成田→天津便を利用した。
成田空港第三ターミナル。韓国のソウルを目的地として144時間ビザを使うつもりのため、チェックインまではどこにも申請は行っていなかった。
ただし、事前に集めた情報から以下の印刷済み資料を準備していた。
・パスポート(これは当たり前)
・日本→天津の飛行機のバウチャー
・石家庄→ソウルの飛行機のバウチャー
・中国滞在中のすべてのホテルのバウチャー
・ソウル→成田の飛行機のバウチャー
・ソウル滞在中のすべてのホテルのバウチャー
見渡すと圧倒的マジョリティの中国人と、ごくごく僅かな日本人らしき人が見受けられた。
チェックインレーンに入ると、中国人と日本人が別レーン運用なのか待ち時間0秒で案内された。
カウンターのスタッフから開口一番、
「天津行きで間違いないですか?ビザはありますか?」
と聞かれた。
144時間ビザを使いたい旨を伝え、用意してきた資料を見せながら行程を説明する。
今回は中国到着日の翌日0時から144時間をカウントするというルールを最大限生かし、144時間以上中国に滞在するプランとなっていた。
スタッフはタブレット端末を操作しながら確認作業を行っていた。
ひとしきりの作業の後、その上で先輩と思われるスタッフを呼んで一緒に確認作業を行っていた。この時点では20分ほど待っていた。
その後、別の中国人スタッフに呼び出され、チェックインカウンターの横にある簡易的な椅子と机のある場所に案内された。
そして椅子に座り、申請書を記入するように指示された。申請書の内容としては、
・氏名、性別、生年月日、国籍、電話番号
・行き、帰りの飛行機の便名および日にち
・滞在先ホテル
・中国で待ち合わせしている人の名前及び電話番号
これらの情報が必要で、私は中国で会う友達にwechatを通して名前と電話番号の記入が必要な旨を伝えるとすぐに電話番号を送ってくれたのでその番号を記入した。
その間、4人ほどのスタッフに囲われながら見守られながら書類を記入した。
どうやら教育の一環なのか、スタッフ同士で制度の確認を行なっているらしい。
記入が終わるとスタッフの念入りなチェックを受けた。okをもらうと再びもう一枚同じ書類に転記を行い、さらにもう一度チェックを受けた。
その後、スタッフはパスポートの個人情報記載欄とその申請書のスマホ撮影を行い、wechat上で
これから向かう天津の空港とやり取りを行なっていた。
続けてQRコードを差し出され、スマホで読み取ってリンク先の申請サイトから質問事項に答えるように指示された。
サイトは中国語版と英語版が用意されていた。
どう言う内容かと言うと、必要事項を入力したりいくつかの質問内容に答えるものだった。
質問内容を簡単に訳してみた。
・お持ちの有効な出入境証明書(だいたいはパスポート)の有効期限は3ヶ月以上ありますか?
・5年以内に中国において不法に出入国、居留、就業を行った記録はありますか?(この中国がどこまでを指すのかは不明)
・2年以内に中国にて宿泊登記ルールを破り公安機関からの処罰を受けましたか?
・2年以内にパスポートまたはその他旅券において、ビザ関連機関からの入国拒否の印はありますか?
・すでに72/144時間以内の日程・座席が確定した、第三国または対象地域行きの接続便を確保していますか?
・北京、天津、河北省以外に行く予定はありますか?
内容を見ると全て単純に違反者は不法入国などを防ぐため、またはビザのルールに従っているかの確認のための質問のようだ。
その上で次のページに移ると、
名前やパスポート番号、出入国の日付や審査場および便名、滞在予定地、2年以内に行った国および地域
を記入するページが現れる。
送信を押すとQRコードが発行されるのでそれを航空会社スタッフに読み取ってもらい、行き先の審査場のチェックを受けることになる。
また、QRコードは一応スクショを撮っておくように指示された。
私はパスポートの番号を間違えて送信してしまったが、どうやらもう一度最初から入力して送信し直すと問題ないようだ。
そして中国側の審査場からOKが下りると、ようやく再度チェックインカウンターに行き荷物を預け、チケットが発行された。
そこから搭乗まではとくに変わったことはなく、飛行機の自分の座席につくとスタッフが話しかけてきて
「乗り換えと伺っていますので、下りる際は一番にご案内いたします」
と伝えられた。
中国到着後
飛行機が天津に到着。
通路に既にたくさんの人が並んでいるが、トランジットビザ利用者として座っていた私はスタッフに呼ばれて一番に飛行機を出た。
飛行機の扉が開くと、4人ほどのスタッフが私をデッキで待ち構えていた。
「この子?」
「そう、よろしくね」
という空港スタッフと客室乗務員の会話の後、さっそく待ち構えていたお姉さんがスマホに目を落としながらうなずいて案内してくれた。
ずっとスマホを眺めて無言のお姉さんの後ろについて空港内を歩く。
後ろからスマホを覗くとtiktokで美女の化粧動画を大音量を放ちながら鑑賞していた。
その光景を見て本当にここは中国だと思った。
そしてカウンターに案内され、成田空港で書いてきた申請書を提出し、さらにまた申請書を書くよう指示された。
防弾プレートで覆われ手元の小さい空間でしかやり取りのできないカウンターでお兄さんに申請用紙を渡されて、その場で記入を行った。
(提出する中身は日本で書いてきた申請書や一般的な入国カードで書くような内容くらいだった)
お兄さんに臨時入国のシールをパスポートに貼ってもらい、反対側の窓口に行って申請書を提出した。
その後は入国審査で、中国入国時お決まりの指紋採取と顔写真撮影を行って無事入国となった。
中国出境時
これも144時間のトランジットビザを使用したことを伝えると問題なく通過した。
余談だが私は中国滞在中に怪我をしてやむを得ず病院に行くために旅程を変更し、提出した宿泊先とは違うところに泊まっていた。
成田空港では航空会社のスタッフに途中でホテルを変更しても問題ないか?と聞いていた。
中国では外国人がホテルにチェックインをする際にはその旨が記録されるので、
あくまで出国の審査場および便が申請通りで、ホテルの場所が滞在可能エリアにあれば特に問題ないということのようだ。
まとめ
最初に日本初の飛行機に乗るときには申請に1時間半ほどかかったものの、簡単に制度を利用することができた。
飛行機・ホテルのバウチャーは印刷しておきましょう。
※私は今回天津行きで本記事のようなプロセスがあったが、別の審査場から入国する場合、また制度が変わった場合は違うプロセスや確認項目になる可能性もあるのでそこはご了承お願いいたします。