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司法書士と公証役場に提出する委任状の作製に関する件(法曹界雑誌昭和14年3月1日)

司法書士と公証役場に提出する委任状の作製に関する件(議案昭13第267号昭和13年12月15日委員会第4次決議)


1 司法書士は公証役場に提出する委任状の作成を為すことを得ず行政代書人に於て作成するは差支なし
2 司法書士が双方代理をなし公証人に公正証書の作成を嘱託するは司法書士法第9条に違反す

問題 準会員 京都府与謝郡岩滝町 上田 浅蔵

 司法書士の公証役場に提出の委任状等の作製は司法書士法に反するや 若し反するとせば行政代書人に於て作製すれば差支なきや
私見 司法書士法第1条に裁判所または検事局に提出する書類とあるも公証役場や執達吏役場も裁判事務の執行機関の一部なるに付き差支えなしと解す
 司法書士の相手方が双方代理を認諾したる委任状に依り双方代理をなし公証人に公正証書を作成を嘱託するは司法書士の業務の範囲を超えたる行為なるや
私見 双方代理にて登記申請を為すと等しく債務の履行と解す従て民法第108条に抵触せずと解す

決議
所問1 
前段は司法書士法第1条に違反す 行政代書人に於て代書するは差閊(さしつかえ)なし
 同法第9条の違反なりと認む

(参考・昭和10年法律第36号司法書士法)
第1条 本法に於て司法書士と称するは他人の嘱託を受け裁判所及検事局に提出すべき書類の作製を為すを業とする者を謂う
第9条 司法書士はその業務の範囲を超えて他人間の訴訟その他の事件に関与することを得ず

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