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徒然んぐす⑤【主人公の成長】~即興暴君(インプロボーク)~
前回は、主人公に不可欠な要素についてお話ししましたが、今回は「主人公の成長」についてお話ししたいと思います。
以前お話ししたように、私がフルレングスインプロとして規定する上で大切にしたいことが2つあります。
1つ目は「物語性を持っている」ということです。
これには、広く一般になじまれている構成があると、物語性を持たせやすく、観客にも理解がされやすくなります。
その代表的な例として、3幕構成を挙げていました。
そして2つ目が、「主人公の成長がしっかりと描かれる」ということです。
この主人公の成長が描かれていることが、フルレングスインプロにおいてとても重要だと考えています。
ここまでをまとめると、物語というのはただ出来事の顛末を描くだけではなく、主人公の成長を描くことが求められる、ということです。
なお、私がかつてフルレングスインプロの指導をしていた時は、第2幕を前半と後半に分けて考えていました。
つまり、第1幕、第2幕の前半、第2幕の後半、そして第3幕という構成です。その中で、主人公の変化がどのように進むのかを以下のように段階的に規定し、指導していました。
※少し抽象的ですが、各幕での主人公の状態を象徴化したものです(実際には具体例を示して説明していました)。
良かったら参考にしてみてください
【各幕での主人公の変化】
・第一幕(設定)
→孤児
・第二幕(前半/反応)
→放浪者
・第二幕(後半/反撃)
→戦士
・第三幕(解決)
→殉教者
さらに、主人公の成長の例としては、以下の6つのパターンを共有していました。
【主人公の成長の基本的な6パターン】
1 子供から大人へ
→それまでの信念に疑問を持ち、新たな信念にもとづいた道徳的行動をとる
2 成人からリーダーへ
→自分自身の為の正しい道のりから、他者が正しい道のりを見出す手助け
3 すねた者から積極的に関与するものへ
→2の特別版。個よりも大きな社会・世界を導く価値に気づき、社会に戻る
4 リーダーから独裁者へ
→自分に従うことを他者に強いる存在へ
5 リーダーから予見者へ
→社会全体がどのように変わるのか、未来の生き方はどうなるのかを予見する存在に
6 変身
→別の人間や動物や物になる。シンボルの使用が必要
これらも少し抽象的なものですが、典型的なパターンかと思います。
もちろん、これだけが全てではありませんし、あくまで基本的なものです。
ですが、まずはこの6つを押さえることを目指しました。
実際の稽古でインプロをしながら物語を作っていく際には、スタート地点でどのパターンを選ぶか、あるいは進めていく中でどのパターンに当てはまっていくかを見極めたりをしていました。
なかなか思うようにはいきませんでしたが、主人公の変化がしっかり描かれると、私が考えるフルレングスのインプロとして満足できるものになったと思います。
座組や団体、ユニットとしては、こうした指針があるかどうかで、物語の方向性やプレイヤー同士の意識の統一に大きな差が出てくると思うので、まずは、これらを共通認識としてしっかりと把握することを初期の目標としても良いかもしれません。
もしかしたら今回の公演でも、こうした成長のいずれかが描かれるかもしれませんし、全く別のものになるかもしれません。
なお、この内容については、今回の公演の稽古中には特に共有されているものではないものの、もし物語が上手いこと転がっていけば、こうしたパターンが現れてくる可能性もありえると考えています。
果たしてどうなるのか…その答えを、ぜひ劇場で目撃して欲しいです!
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【公演情報】
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私が出演するのは、15日日曜日の15:00〜/19:30〜の2公演となります。
ぜひご興味がある方は、こちらの申し込みフォームからご予約をお願いします。
【ご予約フォーム:へちゃっぷりん扱い】
https://www.quartet-online.net/ticket/onestory60?m=00gabij