煮干しの出汁ガラ
オレは切羽詰まっていた。
毎朝、味噌汁を作るときに煮干しで出汁をとるのだがそのダシガラの煮干しが捨てられずに冷凍してある。それがいっぱいになってきたのだ。
伸ばし伸ばしにしてきたがいよいよだ。
オレは鍋に凍ったままの煮干しのガラを入れた。
けっこうな量があった。
もったいないと思いつつキクマサピンをドバドバと注いで、自分のそば猪口にもトクトクと注いだ。
それから火をつけ、生姜をタップリ刻んで放り込んだ。
グビッと一口、そば猪口に入った酒を飲んでからみりんをひとまわし入れた。
そうしてまた、そば猪口をぐびり。
うーん、あっ、醤油を忘れていた。
やや控えめにみりんと同じくらいの醤油を入れた。
やがて沸いてきたので火を弱くして椅子に座った。
することがないのでまた、そば猪口をぐびりとやった。
時間がかかりそうなのでキムチを小皿に出した。そのままでもよかったが思い出してヨーグルトをその上にかけた。
いい感じだ、ぐびりとやったらそば猪口は空になってしまった。
もう一杯注いで、ヨーグルトキムチをパクり。
しゃきしゃきの歯ごたえに唐辛子の辛味、複雑な旨味、ヨーグルトの酸味、クリーミーな乳っぽさ、乳酸菌祭りだ。
ぐびぐび。ぐびり。
鍋の様子を見るとだいぶ煮詰まってきた。
味見をした。
もっと煮詰めるとしてももうちょっと醤油か、タラリタラリと注いだ。
それから二杯ほど飲んでいると、鍋がいい感じに煮詰まってきた。
ほとんど煮汁がない。
火を止めて器に移した。
真っ黒だ。
パクり。
火が強かったのかそんなに柔らかくはないがオレにはこのくらいがいいかもしれない。噛めば噛むほど味が出てくる。
生姜もいいアクセントだ。
ぐびり、ぐびぐび。
白いご飯を我慢して、キクマサピンを飲み続けるオレだった。