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楽して英語は非現実的?

どうして、いつまで経っても英語が使いこなせるようにならないんだろう?

いったい、いつになったら、思うように英語が使えるようになるんだろう?

何をどうしたら、英語は話せるようになるんだろう?

こんな問いかけを、自分自身にしたことはありませんか?

最近では、「たった○×日で英語が話せるようになる」とか、「一日○×分で、直ぐに英語が話せるようになる」とか、「誰にでも簡単に英語が身に付きます」などといった広告が、そこら中に溢れているような気がします。

「そんな馬鹿な…」とか、半信半疑でいる人も多いと思いますが、信じる、信じないに関わらず、毎日のようにそういった広告を目にしていると、人は、無意識の内に、「楽して英語を身に付けることが出来る」というイメージを持ってしまっているのではないかと思います。
少なくとも、「楽して英語を身に付けることが出来る人は存在する」と思ってしまうのではないでしょうか。

そうすると、「自分はこんなに頑張っている」のに、「英語の勉強に長い間時間を費やしてきた」のに、「もしかして、自分には英語を身に付ける才能が無いのではないか」という気になったりするのではないでしょうか。

「楽に、簡単に、英語が話せるようになればいいな」と願っている人は多いと思いますが、現実的に考えると、私は、英語は、そんなに簡単に身に付くものでは無いと思います。(多くの広告を否定してしまうことになりかねませんが、これは、あくまでも、私の個人的な意見です。)

言語は、これさえすれば、誰でも直ぐに、必ず身に付くという種類のものでは無いような気がします。
言葉は、コミュニケーションの為の道具であって、それをどう使うか、それを使って、何を、どのように伝えたいのかは、人それぞれ違うはずです。
だからこそ、自分が納得出来る状態でその言語を使えるようになるまで、それぞれが、それぞれに合った努力や経験を重ねる必要があり、長い時間が掛かるのだと思います。

スポーツや芸術など、いろいろな分野で優れた技術を身につける時、下積みの期間というか、地味な努力を重ねる期間が必要ではないかと思います。それと同じように、英語を身に付ける時にも、小さな努力を積み重ねなければならない期間があると思います。

苦手なことを練習したり、失敗を繰り返しながら努力を続けることは、あまり楽しいことではないかも知れません。
そんな時、「誰でも簡単に…」とか、「英語圏で生活さえすれば、自然に英語が身に付く…」といった話を耳にすると、努力をしなくても英語を身に付けることが出来る楽な方法があるというのに、なかなか目に見える成果が現れない中、英語を上達させる為に苦労している自分に、自信が持てなくなってしまうのではないかと思います。
自分の中に、しっかりとした目的意識を持っていないと、「一生懸命な努力=無駄」といった間違ったイメージさえ抱きかねません。

いつの間にか、「楽をして英語を使いこなせるようになりたい」と思っていませんか?
無意識の内に、「より楽をして英語を身に付けなければ損」という意識が芽生えていませんか?

母国語だって、苦労すること無しに身につけた人はいないと思います。
ただ、その言葉に囲まれ、聞く、話す、読む、書くといった経験を繰り返し、子供の頃から長い時間を掛けて身につけてきたので、苦労した過程を覚えていないだけなんだと思います。
また、子供の頃に言葉を学ぶことは、新しいことを吸収する柔軟性を持っているというだけではなくて、周囲の協力も得易いということから、苦労をあまり感じないのだと思います。

例えば、英語を学び始めた頃に、誰もが苦労する電話での会話

日本語の場合を考えてみて下さい。
まだ幼い子供を持つ友人宅へ電話をすると、子供が電話に出たりします。
そうすると、自然に、ゆっくりと、出来るだけ分かり易い言葉で話してあげませんか?
たとえ、電話に出た子供が話している内容のほとんどが理解出来なくても、「うん、うん」と、気長に話を聞いてあげませんか?
言葉になっていない日本語に対しても、きちんと相槌を打ち、必要ならば、言葉を返してあげませんか?

話すことを覚えたばかりの子供が電話に出て、
「どなたですか?」と聞くので、
「お母さんの友達の英子です」と答えると、
電話の向こうで「英子っていう人から電話~」という声が聞こえてきたとしても、名前が呼び捨てであることに、不快感などは持たないですよね。
「英子さんからって言わなきゃ駄目でしょ」という友人の声に、微笑むくらいですよね。

こうやって、実際に、何度も、何度も、日本語を使うことを繰り返す努力をしながら、私達は、日本語を身につけてきたんだと思います。
しかも、他の人が使う日本語と全く同じではなく、自分を表現する、自分流の日本語を、長い時間を掛けて身につけてきたんだと思います。

以前にも書きましたが、英語圏で生活すれば、自動的に英語が話せるようになる訳ではありません
10年以上英語圏で生活していたとしても、日常、英語をほとんど使うことなく生活している人は、英語を使いこなすことが出来なかったり、英語圏以外で生活している人より、英語が苦手だったりします。
英語を使うという努力無しでは、たとえ英語圏で生活しても、英語は身に付きません。

電話の話に戻して、考えてみましょう。

最近では、自分の部屋に自分専用の電話回線を引き、普段は携帯電話を持ち歩く留学生も増えました。(※追記…スマホ時代の今、他の人の電話を取り次ぐ機会も、アプリではなく「人」を経由する伝言も、ほとんどなくなりました。)
そうすると、自分の友人以外からの電話に出たり、ホームステイ先の人への伝言を受けたりする機会を失います。
そうでなくても、英語に不慣れな内は、電話に出るのが怖いものです。
そんな時、自分専用の電話以外には出なくても良い環境を与えられると、英語で応答しなければならない他の電話からは、自然に遠ざかってしまうものです。
そうやって、練習する機会を失ってしまうと、いつまで経っても、電話に対する苦手意識は無くならないものです。

私の場合はというと、ニュージーランドに来た当初、電話では本当に苦労しました。
相手の名前が聞き取れなくて、カタカナでメモをしておいて、ホストマザーが帰ってきた時に、メモした名前を英語っぽく読んでみたものの、誰のことだかさっぱり分からなくて、ホストマザーを困らせてしまったり。
スペルを聞き取ることを学んで、何度も確かめながら聞き取ったものの、それでも、間違えて聞き取っていたり。
ある時は、「留守番電話にメッセージを残した方が良さそうだから、一旦電話を切って、掛け直すけど、電話には出ないでね」と、電話を掛けてきた人に頼まれたこともありました。言葉を覚え始めた子供に対するように、気長な対応はしてもらえないことが多かったです。
その分、苦労もしますし、努力も必要になります。
でも、そうやって、家の人に迷惑を掛けたり、恥を掻いたりしながら、私は、徐々に、電話での応答を学びました
その後、英語圏のオフィスで働いた時に、この時の電話応答練習を生かすことが出来ました。

(電話を滞在先の人と共有すると、伝言を受けたり、伝えたりする為に、お互いの交友関係やその日の行動を知る必要が出てきます。
自然にお互いの会話も増えます。海外でホームステイをする場合は、大変な思いをするとは思いますが、是非、電話は、ステイ先の人と共有してみて下さい。)※追記…残念ながら、このアドバイスは時代遅れになってしまいました。。。

「努力することなく、楽に英語を身に付ける」という考え方は、非現実的だと、私は考えます。
ただ、自分の目標を達成しようとしていることで、楽しく努力をすることは可能だと思います。

「英語を使いこなせるようになることは、簡単なことではない」ということ。これは、素直に認める必要があると思います。

かといって、身構えたり、辛い思いをしながら英語を学ぶ必要はないと思います。
肩の力を抜いて、恥を掻いたり、間違ったり、苦労したことを、笑い飛ばしながら、自分のペースで、楽しく学んでいけば良いのだと思います。

「英語がなかなか身に付かないこと」、「長い間努力してきたけれど、成果が見えないこと」、「英語を身に付ける為に苦労していること」は、当たり前のことだと思います。
それは、学んでいる人に非があるわけではなくて、言語を学ぶということは、そういうものなんです。

どうせ、長い時間が掛かって、コツコツと積み重ねていく努力が必要なのなら、その長い時間も、努力も、楽しんでみませんか。
楽では無いけれど、楽しみながら努力出来る自分の為の英語学習法を、見つけてみませんか?

努力すればするほど、目標を達成した時の喜びも、より大きくなるものです。
「楽して英語の意識」は捨てて、楽しく努力を重ねて、楽しく英語を使えるようになりましょう。


今回の技は:

「努力して努力して、覚えた言語は、使う時の楽しさ百倍、自ら進んで楽しい努力を重ねましょう!」



※この記事は、2003年に発行していた「下手英メールマガジン」で紹介していた「下手な英語を使うための技」に加筆修正を加えて、現在無料再掲載中のものです。令和版は、近日有料公開予定!

下手英メールマガジン発行から20年後、「2023年の後書き」:
電話の共有や応答に関しては、時代遅れの内容になってしまいましたが、基本的な考え方は、何も変わっていないと思います。

「〇〇をすれば、誰でも必ず英語が話せるようになる」というのであれば、メールマガジンを発行していた当時から今日までの20年間で、日本の人たちは、みんな、英語が自由に話せるようになっているはずです。

英語圏で幼少期を過ごしたとか、家庭内に英語環境があった等、英語環境が当たり前に存在した人たちによる、英語学習の情報が、今でも、インターネット上に溢れている気がします。
あるいは、英語を実際に身に着けた経験の無い人たちによる、営利目的の情報や、営利目的ではなく100%の善意からというものの、人から聞きかじっただけの間違った情報が、実際の経験に基づく情報を上回ってしまっている気がします。

日本で生まれ育って、インターネットが存在しなかった時代に、20代半ばで、知り合いが誰一人いない海外へ飛び出して、30年近い海外生活を実体験してきた今だから伝えることが出来る、英語を使えるようになる方法を、これからも発信していきたいと思っています。
応援していただけると、とっても嬉しいです。


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