3. 芸は身だけじゃなくて下手な英語も助ける
英語を使いこなせるようになる為には、一にも二にも、実際に使ってみること。これは、誰もが理解していることだと思います。
では、実際に、どうすれば英語を使ってみることが出来るのか?
それには、とにかく、英語で会話をしてみることだと思います。
海外旅行へ出かけたり、海外でしばらく暮らしてみた時に、実際に英語を使ってみようとするものの、きっかけが掴めなくて、頭の中で、何度も話し掛ける言葉を練習してみたのに、結局はその言葉を口に出せなかったことはありませんか?
後から、「勇気を出して、話し掛けてみれば良かったなぁ」と後悔したこととか、ありませんか?
また、ホームパーティなどに呼ばれた時に、話し掛けるきっかけも、会話に参加するきっかけも掴めず、何故か一人でポツンと取り残されてしまったこととかありませんか?
海外では、ホームパーティに招かれる機会も多かったりします。
仕事上で、カジュアルからフォーマルまで、いろんなパーティに招待されたりもします。ここで、多くの人が戸惑うのが、一緒にパーティに出かけたパートナーや友人と、パーティ会場で一緒に過ごすとは限らないということです。それぞれが、別々に行動し、性別や年齢に関係なく、パーティに参加しているいろいろな人と会話をする場合が多いように思います。
私の友人に、パーティに参加している全ての人と、とても上手に、しかも、きちんと会話をしている人がいます。旦那さんとずっと一緒に行動するわけでもなく、決まりきった人とだけ話をするわけでもなく、流れるように、全ての人と話をしていきます。話し掛けるタイミングも、話を切り上げるタイミングも絶妙です。慣れもあると思いますが、「社交的」とは、こういうことを言うのかと、いつも感心させられます。
でも、そういった社交の場に慣れていない人や、英語に自信がない人、自分から積極的に人に話し掛けることが苦手な人にとっては、英語での会話を自分から始めることは、かなりの勇気が必要なことだと思います。
こんな時、オススメなのが、相手から話し掛けてもらうという方法です。
このことに初めて気づいたのは、私がオーストラリアへ、一人で、バンジージャンプをしに行った時のことです。バンジージャンプをした後に、街のカフェで、ある家族連れから、「あなた、バンジージャンプしたでしょ。見てたわよ」と、話し掛けられたのです。また、私の手の甲には、バンジージャンプをした時に油性マジックでしっかり書かれた体重を示す数字があったので、宿泊先に戻った時などにも、「あっ、バンジーやったのね」と何度か声を掛けられました。その時、日本人目当てのセールスやナンパではなく、私のしたことに興味を示した人から、自然に話し掛けてもらう心地好さのようなものを感じました。
そして、人は、興味を持ったり、目を引くことがあれば、相手が自分と同じ言葉を話す人であるかどうかに関係なく、話し掛けてくれることもあるのだと気づきました。
ちょっとしたアイデアと工夫、そして事前準備で、話し掛けてもらうシチュエーションは、自分で作れたりするものです。
下記の例を参考に、試してみることが出来そうなものがあれば、是非、挑戦してみて下さい。英語を使う環境が周りにないという方は、まずは日本語で同じようなことをしてみて、相手に話し掛けてもらえるか、会話を盛り上げることが出来るかを、試していただいても良いかと思います。
自己紹介編(難易度低):
事前に準備するもの-自分の出身地に印を付けた手作り日本地図
東京や京都、大阪なら知っている人も多いけれど、それ以外の場所だと、地名を言っても、「ふ~ん」で会話が終わってしまうことが多いもの。そんな時に、小道具を使って会話を盛り上げてみようという作戦。
必ずと言っていいほど、出身地は聞かれるので、「日本のどこから?」と聞かれたら、待ってましたとばかりに、ポケットやカバンの中から、ちょっと芝居掛かった感じで用意しておいた地図を取り出す。「なんだなんだぁ~」と、相手が興味津々になったところで、もったいぶった様子で地図を開く。手書きの地図でもいいし、コピーした地図でもいい。その地図について、必ず相手から何か聞かれるはずなので、地図を見ながら出身地の説明をしてあげればいい。余白があれば、名産品の写真や絵を貼っておいたり、興味を持ってもらえそうな名物を描いておくと話がより広がるかも。(2023年追記:今なら、スマホの中に準備しておいた地図とか、名所や名産品の写真を集めたアルバムとか。)
旅の途中編:
その1-衣装(難易度高)
浴衣作戦パート1
人目を引く衣装は、向こうから話し掛けてもらえるチャンスが増える。私は過去に、浴衣でニュージーランドに入国したことがある。その時はシンガポール経由のフライトだったので、日本からシンガポールまでは普通の服、乗り継ぎの4時間の間に、手荷物に入れておいた浴衣に空港のトイレで着替えた。今は、そんなことをしていると怪しまれるかもしれないので要注意。その頃は、トイレで出会った人たちも、鏡の前で帯と格闘している私を好意的な目で暖かく見守ってくれていた。(と私は感じていた。)機内で隣に座ったカップルは、「日本ではみんな、着物を着ているんだよね」と、自信有りげに聞いてきた。(ほんの10年前のこと ※追記:1990年代のことです。)「ちっ、違います」と焦る私に、「あ~、旅行する時用のお出かけ服なのねぇ~」と追い討ちをかけてきた。そこから会話は弾み、ニュージーランド到着まで、いろんな話をすることが出来た。
空港到着後も、好意的(?)に写真を撮られたり、心配していた入国審査や税関でも、「その服素敵だね」と言ってもらえた。
でも、「服だけ、私は?」と切り返したら、笑われてしまった。(英語の世界で、こういう切り返しは、発音の上手下手より大切だったりします。)
但し、旅行中に目立つ服装でいることは、多少、勇気も必要なので、大勢の人たちに注目されたくない人にはオススメ出来ない作戦。
(注…犯罪に巻き込まれ易くなるような挑発的な衣装や、他の人たち、特に入国審査官や警察官に不信感を抱かせる衣装は、危険なので絶対に止めた方が良いです。※追記:その土地のカルチャーや宗教的にダメなものも避けましょう。)
その2-食べ物(難易度低)
自分で料理を作ることの出来るバックパッカーなどに宿泊した時に、食事の時間は、調理をしている間も含めて、会話のきっかけを得る絶好の機会。日本食は勿論、洋食や中華も、日本で食べているものは、実は、日本式にアレンジした調理法である場合が多いので、注目を集める可能性はある。日本的なお椀や、箸と箸置きセット等を持ち歩いておけば、これまた話し掛けてもらえる機会が増える。
興味を持ってきた人には、試食させてあげたり、会話のきっかけが掴めた後は、相手の料理しているものについて質問する等して、話を広げることも出来る。ニュージーランドの場合、世界中から旅行者が来ているので、いろんな国の変わった料理にも出会えて、結構楽しめる。余談だけれど、電子レンジや洗濯機&乾燥機の使い方に詳しくなっておけば、バックパッカーズで使い方が分からなくて困っている人から、話し掛けてもらえるチャンスも増える。
その3-小道具(難易度低~中)
お土産に、それが何かを聞かなければ分からないようなものを用意しておいて、お世話になった人や仲良くなった人にあげると、必ず会話は始まる。高価なものである必要はなく、例えば、五円玉(穴が開いているので珍しいのと、五円とご縁について話してあげると喜ばれる)や折り紙(目の前で折ってあげる)、100円ショップで見つけた、他の国に無いようなものもオススメ。以前、友人のカレンに、100円ショップで見つけた水道の蛇口に付けると、水をシャワー状に出来るキャップをあげたら、とても喜ばれた。日本には面白いものがあると、カレンの友達にも語り継がれていた。
パーティ編:
その1-衣装(難易度中~高)
浴衣作戦パート2
クリスマスパーティやニューイヤーズイブパーティ(ニュージーランドは真夏)に、何度か浴衣で参加し、喜ばれたことがある。まず、浴衣について何か言ってもらえるのは確か。多くの人が、着物と誤解するので、浴衣は着物より簡易で、夏のものだということを説明してあげると良い。出来れば、西陣織か何かの巾着、下駄、団扇か扇子も、小道具として持ちたい。男性の場合は、羽織袴を着ていけば、かなり喜ばれる。その他、サンタ帽など、日本のものにこだわらなくても、目立つ何かを取り入れておけば、話し掛けてもらえる可能性は大きくなる。場違いだったり、完全にハズしてしまった時は、笑って誤魔化すか、そのパーティのことは直ぐに忘れてしまうこと。
その2-食べ物(難易度低)
ニュージーランドのホームパーティの場合、ポットラックと呼ばれる、持ち寄りパーティが多い。事前に持ってくるものを指定された場合は別として、何でも良いと言われた場合には、他の人たちは食べたことがないだろうなぁ~と思われる日本食や、日本的な皿にお洒落に盛り付けた食べ物や、手巻き寿司など、食べ方に説明が必要な食べ物を持って行くと、黙っていても、必ず周りの人から話し掛けられる。日本の食べ物に関する英語で書かれた本や写真付きのレシピ本などを一緒に持って行っても良い。
その3-小道具(難易度低~中)
日本のものに限らず、とにかく、面白グッズを何か持って行って、話題が途切れた時などに、そういえば、私は面白いものを持ってきたと切り出してみると、簡単に注目を集めることが出来る。自分から話を切り出すことなんて無理という人は、何気なく、他の人の目に触れるようにそのグッズを手にして、相手に話し掛けるチャンスを与えてみると良い。その土地に無いもの、新しいもの、自分で作ったもの、ジョーク絡みのもの等、話題性のあるものなら何でも可。勿論、日本の小物、音楽、雑学本、日本で先行発売されているもの等でも良い。高いものである必要は無し。
皆で楽しめて、会話が盛り上がるものを選ぶのがこつ。せっかく持って行ったのに、披露する機会が無かったとしても気にせず、次の機会を待つこと。
その他小技の使用例:
お話トップ10作戦
日本への一時帰国から帰って来た時に試してみたら、意外に好評だった作戦。
日本訪問中に自分の身に起きた出来事のタイトルを紙にタイプしておいて、ニュージーランドに帰国後、カレンを含む、友達グループに会いに行った時に、そのリストの中から、聞きたい話を順番に選んでもらった。事前にタイトルを英語で準備しておけば、ある程度、相手は内容を理解してくれるので話し易いはず。(※追記:今なら、スマホ上に準備したり、ソーシャルメディアでタイトルのみを投稿しておいて、詳細はあった時にと前振りしておく手も。)
余裕があれば、コピーライターになった気分で、興味を持ってもらえそうな意味深なタイトルを考えると、より盛り上がる。
日本講座作戦
日本に関する英語の解説小冊子や写真を携帯しておくと便利。
いつでもどこでも、相手の目に入るようにこれらの小道具を出して見せれば、話し掛けてもらえる可能性有り。(※追記:何でもデジタルの時代に、あえて紙媒体の小物を準備すると、逆に新鮮で目立つかも。)
本は、イラスト入りで見ていて楽しいもので、小さくて軽いけれど、日本についての代表的な事柄は全てカバーしているものが一冊あれば重宝する。写真は、自分の家族、日本の冠婚葬祭、イベントなど、話が広がるものを。
何かを見せながら説明すると、自分の言葉だけによる説明と違い、「英語を話す」ことに対するプレッシャーが減るので、意外に話し易い。
上記、全ての場合において、事前に、英語でのある程度の説明が出来るように、準備しておくと心の負担が減る。英語での説明に自信がない場合でも、身振り手振りでの説明で、伝えたいことは結構通じるものなので、諦めずに頑張ること。
そして、今回の技は:
「話し掛ける勇気がなけりゃ、相手に話し掛けさせましょう!」
※この記事は、2003年に発行していた「下手英メールマガジン」で紹介していた「下手な英語を使うための技」に加筆修正を加えて、現在無料再掲載中のものです。令和版は、近日有料公開予定!
下手英メールマガジン発行から20年後、2023年の後書き:
スマホがなかった時代に書いたものなので、なんだか、ものすごく年代を感じました。それでも、今でもそのまま使えるヒントが、たくさん含まれているように思います。是非ぜひご活用いただければ幸いです。
ちなみに、当時は、メルマガ第3号にして、1000人の読者登録を達成して、かなり浮かれていた模様です。当時、英子のメルマガを読んで下さっていた皆さんは、今、どうしていらっしゃるのかな?今も、英語を楽しく使っていて下さっているといいなと思います。
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