【働き方改革】騎手にも制度的休暇を(困難は承知のうえ)
ミルコ・デムーロ騎手がnetkeibaでの連載で体のメンテナンスについて語っています。
見てのとおり、騎手はかなり無理な体勢で騎乗しており、長年続けていくと体のどこかにガタが来るのは容易に想像できるというもの。デムーロ騎手の場合は落馬で負傷した鎖骨のメンテナンス(もともと手術予定だったが、結局しなかった)ので今年の1月をまるまる休養に充てています。夏で言えば、ルメール騎手の1カ月間の休養、川田騎手、津村騎手、菅原明良騎手の2週間の休養があります。ルメール騎手は単にバカンスだと思いますが、他の3人は体の治療、昔の手術の際に埋めたボルトの撤去、予防的な手術という理由です。特に川田騎手はnetkeibaでのコラムで、2週間の休養のうちの1週間はベッドから出ることすらできなかったと述べており、けっこうハードな治療だったと思われます。
原則、競馬関係者の公式な休日は月曜日だけ。生き物相手の仕事ですから、厩務員の方々は代わりばんこで月曜日に働いているはずです。騎手は火曜日から毎朝の調教に乗って、週末はレースという流れかと思います。となると、1日の実質的な労働時間が少ないとは言え、週休1日。労働基準法では違反ではありませんし、実際に週休1日で働いている人は世の中にはたくさんいらっしゃると思いますが、ここでは騎手の話に絞ります。
長く活躍するためには休養も必要というのは上記のデムーロ騎手のコラムでも言及されておりますが、現時点ではそれも取りにくいでしょうね。ルメール騎手はちょいちょい休んでいますが、それはルメール騎手だからです。その他大勢がやってしまったら、復帰後の乗鞍が確保できるかというとどちらかと言うと難しいのではないかと思います。そのような結果が想定されるのであれば、騎手は自由業みたいなものですから、積極的にやるとも思えません。よって、制度的休暇が必要だというのは、現実的に騎手自身が能動的に休暇を取得するということが難しいと考えるからです。
自由に休暇を取れるようにするのか、あるいはお盆の時期といったような固定期間での取得にするのかは議論が必要かと思いますが、まずは後者の固定期間の運用がよいのではないかと思います。ついでに競馬自体も夏休みでもいいんじゃないかと思います。先日の記事で取り上げた須田鷹雄さんも夏の開催については北海道限定でということに言及されてますし、その辺の制度変更と並行してやるというのもひとつの手です。
毎週の競馬を楽しみにしている人にすればふざけた議論をするなという話ですが、長期的に見れば、騎手、厩務員のなり手が少なくなっている現状、競馬界が突っ込んだ改革をすると示しておかないと人手不足の流れが加速し、結果的に開催が減るということもありうる話です。となると、結果的に損するのは毎週競馬を楽しみたいファンになるでしょうから、いまのうちに変えておくことは重要です。
仮に夏休みを導入した場合には地方競馬と連携して大きめのレースを地方競馬で行ってもらうなどの代替案はあると思います。JRAの即PATでも発売すれば地方競馬の収益にも貢献できますし、悪いことはないのではないかと。でも、それじゃ地方競馬の労働環境は変わらないか・・・
さて、皆さんはどう思いますか?
(了)