ヘンプクリートと持続可能性③二酸化炭素の吸収
ヘンプは、光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。また、成長が速いため、他の植物よりも多くのCO2を吸収することができます。
一例として、Vosper(2011) の試算によると、ヘンプ約1トンあたり1.65トンのCO2を吸収できると試算しています。土地利用では、平均収量を5.5〜8トン/haと仮定すると、1ヘクタールあたり9〜13トンのCO2吸収量に相当します。
これに 対し、森林は生育開始から20年間で、4.5トン/ha(北方地域の針葉樹林)〜40.7トン/ha(湿潤地帯のユーカリ林)のCO2を 吸収することが一般的です(UNCTAD 2022: 63)。
ヘンプクリートは、また加工、使用の過程で二酸化炭素を吸収します。
加工の石灰とヘンプシブが合わさるプロセスで、Carbonationと呼ばれる、二酸化炭素を吸収しながら、硬化する化学反応が起きます。
このCarbonationのプロセスは様々な研究がされており、例えば、Jami et al. (2016)の研究では、1m3あたり、307.26kgの二酸化炭素が吸収されることが明らかになっています。
ヘンプクリートは建築材として、壁や天井の活用された後も、化学反応は続き、二酸化炭素の吸収は100年以上機能します。その結果から、住宅内の酸素量の増加にも貢献することが明らかになっています。
つまり、ヘンプハウスは生きている、呼吸をしている家であると言えます。
参考資料:
Jami, T., Karade, S. R., & Singh, L. P. (2019). A review of the properties of hemp concrete for green building applications. Journal of Cleaner Production. https://doi.org/10.1016/j.jclepro.2019.06.082
UNCTAD. (2022). COMMODITIES AT A GLANCE Special issue on industrial hemp. United Nations Conference on Trade and Development.
Vosper, J. (2011). The role of industrial hemp in carbon farming. Submission to the Australian Parliament.