【第18回】びょうきだってことを…
執筆:副島 賢和(昭和大学大学院保健医療学研究科准教授、昭和大学附属病院内学級担当)
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「障害をもつ子どもたちは、友人や周りに自分の障害を理解してほしいと思うのでしょうか。あまり知られたくなのでしょうか?」
ある医療系大学の講義での、学生さんからの質問です。
病気や障害の受容について考える機会をいただき、「障害の受容」に関する講義を行いました。
そこで、私は次の詩を紹介しました。
退院が近くなり、学校に対しての説明をどうするか、本人と話し合ったときの思いを詩に書いてくれたものです。
保健の先生には、必ず伝えておきたい
こういう気持ちでいることは、担任の先生にも知っておいてほしい
クラスの友達には詳しくは話さない
ということになりました。そして、そのことは、お母さんから学校に伝えてもらうことになりました。
子どもたちが退院後、学校に通うことができるようになったときに、何を、どこまで、誰に、誰から説明してもらうかを考えることはとても大切だと考えています。
その子やクラスの状態によっては、伝えておいたほうがよいことや理解しておいてほしいことなどがあるでしょう。
その話し合いは、多くの場合大人だけで行われることが多いように思います。大人たちは、その子のことを一生懸命考えて、決めてくれます。でもそこに、その子の考えや気持ちを組み込むことを考えていただきたいと思うのです。
子どもは、「周りの人が私のために一生懸命に考えてくれた」と感じると、ほとんどの場合、
「はい。大丈夫です」
と受け入れるでしょう。「なんとなく違うんだけど…」と思っていても…。
もちろん全員が詩を書いてくれた彼女のように考えているわけではありませんので、はじめの大学生からの質問に対する正解があるわけではないでしょう。
ただ、あとから大人の対応に傷ついたことを話してくれる子どもたちは少なくありません。
学校での対応は、教師がしっかりと務めなければならないことです。だからこそ、医療者の方にも少し手伝っていただきたいのです。退院に向けて準備が整っていくその時期に、教師や親に言えない子どもたちの、ちょっとした引っかかりや不安を受け取っていただけたらありがたいなと思うのです。
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※本記事は、へるす出版・月刊誌『小児看護』の連載記事を一部加筆・修正し、再掲したものです
★2024年5月号 総特集:発達が気になる子どもとリハビリテーション
★2024年4月号 特集:特集:小児看護技術の学び 後編;多様な実践の場における修得と教育の再考
★2024年3月号 特集:小児看護技術の学び 前編;子どもの権利擁護の実践に向けて
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