このレトロゲームが面白い! その4『アーバンチャンピオン』
座れ。
今回紹介するのは『アーバンチャンピオン』だ。
簡単に言えば、真の男が天下の往来で殴り合いをするゲームだ。
まぁ例によらず画面を見てもらえればわかる。
このように漢2人が殴り合うだけ。
1984年の発売なので、ストリートの戦士なアレよりずっと早い、対戦格闘ゲームの先駆け的存在といってもかごんではないはずだ。
そして攻撃はパンチのみ。
殴り合いこそが漢の決闘の原点にして頂点であると言わんばかり。
我々には原始より揉め事を拳で解決してきた本能が未だ根付いている。
冷蔵庫のドーナツを食われたと言っては殴り、視線が合ったと言っては殴り、不信任決議案が否決されたと言っては殴り、空が青いからと言っては人を殴ってきた。
おまえもそうだっただろう。おれはちがうが。
もちろん、チャンピオンを目指すような真の漢なのでそれなりに技術とタフさを備えている。
そうでなければこのミネアポリスでネズミ以下の存在とされ、デビュー前のロード・ウォリアーズにむさぼり食われる運命にある。
まずは攻撃面だ。
ジャブ、ストレート、アッパーの3種類のパンチがあり、それぞれに上下と強弱が存在する。
弱いパンチは出が早いが相手を殴り飛ばすことができない。
一方強いパンチは隙が大きいが相手を殴り飛ばすことができる。
このへんはまだ胎内のときから戦士に植え付けられている基本知識だ。
次に防御面。
上下のガード、そしてスウェーが存在し、熟練者同士の対戦ともなるとなかなかに有効打が入らないこともままある。
真の漢のガードは強固そのものであり、削りとかいったみみっちいものは存在しない。
波動拳だのソニックブームをガードしてるだけで負けるような奴らはこのアーバンにはお呼びでないのだ。
次は体力(スタミナ)について説明する。
画面左下に表示されているスタミナはパンチを出すと僅かに、パンチを受けると大きく消耗し、0になっても即敗北とはならないが、0の状態では威力も低く速度も遅いパンチしか出せなくなってしまい、弱パンチを受けても吹き飛ぶようになってしまう。
ミネアポリスの路地裏で体力を尽かし行き倒れにでもなれば、待っているのは911で呼ばれた救急車ではなくロード・ウォリアーズの強靭な胃袋だ。
タフでなければ生き残れない。
最後に勝敗条件についてだ。
相手を殴り飛ばして画面外に追いやるとスクロールが発生しステージが変化、最終的に背後にマンホールが出現するステージが出現し、そこに叩き落せば勝利となる。
自分が殴り飛ばされてマンホールに落ちればもちろん敗北だ。
ミネアポリスのマンホールは深さが200mあるので落ちれば一瞬で決着が着く。
↑システムをわかりやすくしたイラストだ。
※あくまでイメージであり、背後にマンホールが出現する条件は吹っ飛ばされた回数に由来するので、常にマンホールを背負って戦うこともある。
そしてこのゲームの面白いところは、あくまで「路上での殴り合い」であるため、ステージにギミックがあることだ。
第1に、騒ぎに起こった住人が窓から植木鉢を落としてくることがあり、これにヒットするとプレイヤーCPUを問わず一時的に気絶し、大きな隙を晒すことになる。
高いところから重いものを落とす。
これがどれだけ効果的な攻撃となるかは、あのテリー・ボガードもコミック内で使用したことからも明らかだろう。
第2に、ステージをパトカーが巡回することがあり、その際はお互いが素知らぬ顔で画面端に移動し、口笛を吹いて誤魔化すアクションを取る。
今まで画面端に追いやっていたのが双方端からの仕切り直しになってしまったり、逆に追い詰められている際には大きな救いになる。
このように、植木鉢を落とされる、パトカーが通りかかるというステージギミックがある。当時は非常に珍しいものだった。
男2人がただただ殴り合う。
ジャンプや必殺技も存在せず、非常にシンプルだが、それゆえに奥が深いし、単純に楽しむこともできる名作だ。
3DSではこのように立体視verも遊ぶことができる。
switchでも配信されている。
真の王者を目指すもよし、単なるストレス解消で遊ぶもよし、おれはお前らがミネアポリスでその拳を振るう日を楽しみにしているぞ。
本日はいじょうだ。
【おわり】