アーリー・アフタヌーン・ウィズ・ブルー・ブルー・スカイ番外編「ロード・トゥ・ゼンコー・テンプル」
刻は応永24年(1417年)、葉に赤みの差してきた肌寒い秋の昼下がり。
シナノ・ランドの聖地、ゼンコー・テンプルの境内には横たわる無数の人々があった。
彼らに共通するのは牛の蹄による踏み跡である。
ある者は背に受けのたうち回り、ある者は腹に受け声も出せず。
突如参道に出現した一匹の仔牛は、次々と参拝客を押し倒し、引き倒し、踏み潰して本堂へと進行を開始したのだ。
山門を超え中門に至り、立ちふさがるソー・ソルジャーを蹴散らす。
岩のような肌に槍も矢も通らない。
御仏の加護もないことを知ったソルジャー達は一斉に逃走!
だが本堂前に一人の僧があった。
牛をしっかりと見据えたまま直立不動。
「『牛に轢かれて善光寺参り』ってのはな、そういう意味じゃねえんだ」
その男、イッキューは静かに呟きカラテを構えた。
【続く】
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