あの神文字書きが、犯したいほど憎いんだ 第十三話「長瀬瑠美」
「なあ、長瀬。ーー」
飲み干したアイスコーヒーのグラスから顔を上げないまま、虚と言っても良いくらいに温度の感じられない声で
「もし、小説を書くのならどういう風に書く」
と、周野才斗は聞いた。
温度が感じられないのは声だけではなく、彼の顔色からして、今日は薄白く見えた。普段からして色素の薄い肌の男で、長瀬瑠美は講義で購読した文章に白磁のようなという比喩があったときに、大袈裟だと自分で苦笑しながらも才斗の艶やかな頬を思い浮かべたほどだが、しかし、その白さは健康的な輝きであった筈で