ワークマンを見誤った
随分前に、友人から「ワークマン」について聞かれたことがあった。
まだ今のように「ワークマン」が世間一般にブレイクする随分前のことだ。
ほぼ同時期に、2人の友人から違う角度で相談を受けたのだが、今となっては自分の「見る目が無かった」ことに反省をする材料となっている。
どんな相談かというと、1つ目は株式投資を熱心にしている友人から。「ワークマンの株ってどうよ?」という意見を求められた。
もちろん私はワークマンの関係者でもないし、株も深くやっていたわけではない。その友人も、色々な人から単純に意見を聞いていたのだろうし、確か酒でも飲みながらだったので、軽い会話の中での雑談にすぎなかった。
ただ、友人としては、私が当時、流通業のビジネスをしていたので、業界について多少の見地があると思って、尋ねたのだと思う。
確かにその頃、ワークマンは独自路線を貫き、郊外ロードサイドに集中的に店舗展開し、かなりニッチな顧客を囲い込んでいた。
面白い店舗展開をする企業だなとは思っていたが、とはいえ今後の成長には限界があるのではと思っていた。店舗の前を通っても、繁盛している様子には見えず、軽トラや作業者が数台程度停まっている程度だった。
もう一つの相談は、友人の働いている会社に遊休地があって、そこで新規事業を検討しているとのこと。その土地で「ワークマンをフランチャイズでやるのはどうよ?」という話だった。
郊外の主要幹線沿いで、周辺には田んぼや住宅、ホームセンターやスーパーマーケットがあるような場所。ワークマンの出店地としては最適なように感じた。しかし、当時のワークマンは繁盛している様子もなく、事業としての疑問はあり、大きな投資をかけて取り組むべきかどうかは悩ましく思えた。
ちなみに、現時点でワークマンのホームページをみると、フランチャイズ契約は個人のみであり、法人は対象になっていない。コンビニのように、その店舗に専任で入れることが条件らしい。
何れにしても、当時のワークマンには事業としての魅力を感じることができず、私は上記相談に対しては否定的な反応を示してしまった。これが大きな反省である。
ワークマンが脚光を浴びたのは、衣服の機能性である。機能的な服といえばユニクロくらいであったが、ワークマンは作業着で培ってきた機能性をそのままに、デザイン性と低価格という武器を加え、さらにメディアをうまく使い、一気に認知度を高めた。加えて、アウトドアの要素を付加した。安くて良質なアパレルを提供することに、ストーリーが完成した。このストーリー性に、メディアがこぞって取り上げた理由があった。
まさかここまで将来性があるとは、当時の私には全く見抜けなかった。早計な判断はしてはならないという教訓だ。
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