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4月1日〜4月7日

お久しぶりです。

コンプラ的にインターン先のことをどのくらい書いていいものか悩んで(とか言いながらただ単にやる気がなくて)日記をしばらく更新していなかった。
毎日の更新をやめた結果、特に何かが変わったという感覚は、残念ながらなかった。Life goes on、という感じだ。在って無いようなデイリー・ルーティンのひとパーツが、最初から存在していなかったかのように、音も立てずに消えていった。
なんだか悔しい。留学中にこのnoteに費やした時間が全部無駄だったと、自ら証明してしまったようなものだから。

しかしそんな考えこそ無駄である。文章を捻り出すのに使っていた時間を、最近はネットサーフィンに溶かしている。それなら1日の終わりに少しでも自分の行動を省みる時間にした方がマシだ。浮いた時間を自己研鑽に使えるような人間だったなら、今頃私は英語がペラペラで、腹筋が割れているはずなのだ。
相変わらず、恵まれた環境に甘えきって、そんな自分を嫌悪しながらも何も変われないうだつの上がらない日々を送っている。
誰も興味ないだろうと思いつつも、そんな毎日を正当化したくて、また簡単に文字に起こしてみる。


4月1日
・バンガロールにある友人の姉宅で起床。メイドさんに作ってもらったオムレツを食べ、空港で気まずいまま彼と別れた。その後何やかんやあって仲直りしたけど、もっとマシな最後があっただろうと後悔している。
・チェンナイ空港に到着。暑い。スーツケースを引き摺りながらメトロでインターン先まで向かった。メトロはデリーのそれとほぼ同じ。

光の差し込み方がなんか良かった
こちらも日本が開発協力

・インド人のスタッフさんが迎えに来てくれた。英語話さなきゃ、と身構えていたら、開口一番「食べましたか?」という日本語。タミル語の "சாப்பிட்டாச்சா?" の訳だと思われる。「メシ食ったか?」が挨拶代わりに使われる文化圏、素敵だと思う。
・デリー同様路地裏はきったなくて臭いが、たどり着いた建物は流石に綺麗だった。メールでやりとりしていた日本人の校長先生と初めてお会いして、部屋に案内していただいた。インド人の旦那さん(ディレクターさん)と2人で運営している。
・部屋は綺麗で広い。事前に聞いていたが、バスタブもエアコンもある。エアコンは故障していてしばらく使えなかったけど。おまけに夜食におにぎりまで用意してもらい、もしかして天国に来たか?と思った。

4月2日
・朝、目の前で அக்கா(アッカ, お姉さん) と呼ばれるメイドさんがドーサを作ってくれる。呼び名はともあれ、亡くなった祖母より年上に見えるおばあちゃんで、なんか可愛い。レストランで食べる筒状になったのとは違い、丸くて平べったい、クレープのようなものだった。
・お休みをいただいたので部屋にこもっていたが、エアコンの調子が相変わらず悪い。おかげでせっかくあるバスタブも使う気にならない。お湯を出すと変な匂いがする。しかし無料で住まわせてもらっている以上、言い出す勇気がない。悶々とする。
・せっかくなのでとトイレットペーパーを探しがてら近所を散策する。暑い。英語もヒンディー語も一全く通じない。そもそもトイレットペーパーが店にない。最終的に迷子になり、1時間かけて帰還。
・道中、立派なヒンドゥー教寺院に迷い込む。カラフルで彫刻がたくさんあって、さすが南インドという感じ。ウロウロしていたら近隣住民に睨まれた。

日差しが強い
道端に突然現れた異空間
カラフル

・校長先生と一緒に夕食をいただいた。ご子息はインドと日本のハーフで、タミル語・英語・日本語のトリリンガル教育に苦戦しているという。複数言語によって脳が混乱しかえって発語が遅れたらしい。この手の授業日本で取っておけばよかった、と後悔。

4月3日
・他のインド人の先生方も交えたミーティングに初めて参加した。当然だが皆さんとても流暢な日本語を話す。しかし会議は英語で行われるので、完全に置いてけぼりになる。インド人は議論好きだというのはよく聞く話だが、今日ほどそれを実感した日はない。揃いも揃って全員がロジカルで、理路整然とした話し方をする。
・授業教材を見せてもらった。オリジナルのテキストはシンプルで、文法事項の説明は載っていない。つまり授業内で教員が明示しなければいけない。じわじわと不安が押し寄せ始める。

4月4日
・危機感を覚えたため、死ぬほど嫌いな英語に向き合うことにした。一先ず最初の授業のセリフ2時間分を、用意されたパワポを元に文字に起こす。早速、発狂しそうになる。大学の授業の5分のプレゼンでさえ泣きながら準備していた人間が急にそんなことできるわけない。
・日本にいる大学の教授とzoomで面談。院に進学しますか?就活するんですか?と聞かれて、返答に窮する。自分の将来についてどこか他人事で、「自分の人生に責任を持て」という知らない誰かに言われたセリフを思い出す。

4月5日
・午前中は引き続き台本作り。ついにChatGPTに泣きつく。流石に翻訳機として使うほど信用はしていなかったので、試しに英文をシンプルにナチュラルにしてもらうよう依頼した。私のカタコト英語は、みるみるうちにアメリカン・ジョークを交えた名文に作り変わった。ここでようやく、人工知能vs人類の叡智の二項対立はとうに崩壊していたことを知る。
・夕方、ご子息の学校の送迎に同乗させてもらった。ディレクターさん、まあまあ危険運転。毎朝晩1時間かけて、モンテッソリー式の学校に通われているそう。ご両親の日本語は理解しているが、返答はインド訛りの英語。シラバスもケンブリッジ式とか何とかで、とにかく自由に過ごされている様子。
・帰り道、子供服店に行く。ご子息のお友だちの誕生日プレゼントにクリスチャーノ・ロナウドのユニフォームをご所望だったが、3件回っても見つからず、「反抗的な少年」という不気味な日本語の書かれたTシャツを贈ることになったようだった。親御さんへの態度を見ていると、ご子息自身で着た方が面白いくらいだが…

デリーよりはアニメTシャツ人口少なめ

4月6日
・やはりエアコンの調子が悪く、暑苦しくて眠れなかった。何を思ったか暇つぶしにタミル文字を練習し始めてしまい、覚醒。おかげで8時半からの授業見学に寝坊した。早速醜態を晒してしまい、消え入りたい気持ち。
・1コマ目のオンラインの授業見学。この先生は理詰めでかかるタイプで、私の知らないような文法の成り立ちなどを丁寧に語っていた。ここで台本以外にも文法事項をまとめたノートを作った方がいいことに気づく。
・2コマ目はハイブリッド授業。この先生は生徒を巻き込んで授業するのが上手い。学生からの質問が多かったが、内容がそもそも聞き取りづらく、聞き取れてもどう返答して良いのかわからないものばかり。実際に自分の授業でこうなるところを想像して、泣きたくなった。1限目の先生と指導スタイルが違いすぎて迷走する。

4月7日
・この日も授業準備がメインだったが、集中力がまるで続かない。やることは山ほどあるのに、どれにも手をつける気にならない。台本を書いたり授業見学したりしたけど、ほとんど進捗がなかった。火曜に授業案を他の先生にチェックしてもらう予定なのに、間に合いそうにない。また泣きそうになる。


最初の週はとにかく授業準備に次ぐ授業準備で、何をするかは全て自分にかかっていた。そんな状況で自分を律することのできるタイプの人間ではないので、ひたすら先延ばしと自己嫌悪を繰り返す1週間となった。環境が変わったら気持ちを新たに頑張れるかと思っていたが、結局だらしない私は私のままだった。留学全体にも言えることだが、環境が変わったからと言って人間の中身まで簡単に入れ替わるわけではない。周囲にも自分自身にも期待しないこと、これが唯一インドで学んだことだと思うと虚しくなってくる。ちなみに翌週もこんな感じが続く。終わり。

♪ Work to Do / The Isley Brothers

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