ヒーローヒロコさん
はじめに
今、私はちょっとした事情から、ヒロコさん家でお世話になっている。
ヒロコさんと私は小学校から高校までが一緒だった。
ヒロコさん家にはよく遊びに行った。
いつでも味方になってくれる、ちっこいけど大きな存在のじいちゃんがいた。
明るくよく笑うばあちゃんもいた。
相撲部屋のような食事を毎回用意する優しくてきれいなお母さんもいた。
子供と同じくらい真剣に遊ぶお父さんもいた。その弟の叔父さんもいた。
ヒロコさん家は大家族だった。
弟が2人いるから8人家族だった。
家の中で飼ってる犬もいたし、亀もいたし、鶏もいた。その昔はポケットモンキーといわれる猿もいたそうだ。外に大きな小屋を持つ犬達もいた。
シェパード2匹だっただろうか。
とにかく、じいちゃんが動物が好きでいろんな生き物を飼って大事にしていた。
私は動物が飼えなかったから、ヒロコさん家に行くのが楽しみだった。
もう30〜40年も昔のことだ。
さて、私は昨年からヒロコさんの家でお世話になっている。
私は何も持っていなかったので、ヒロコさんが書くnoteを読んで面白いと思い、自分も書いてみたくなった。
スマホもないので、ヒロコさんがパソコンを貸してくれていたが、そのうちタブレットを買ってくれた。
Wi-Fiも繋げてくれたからとても快適だ。
私は、ヒロコさんのことをモデルにした物語を書きたいとヒロコさんに話した。
ヒロコさんは、「恥ずかしいやんか、カッコいいこと一つもあらへんしさ。でも私のことはさておき、友ちゃんが書きたいことは何でも書いたらええ」と言った。
「ヒロコさんが買ってくれたタブレットで、ヒロコさんとの思い出からいろいろ書いたら、権力者の誰かから探られたり、ヒロコさんが調べ上げられたりしない?」
「ひゃーははっ。そんなミステリアスな物語書くの?そもそもそんなに、私には探られてマズイことってないかなあ。弟のアイスクリーム勝手に食べたこともバレたしなあ。
それに、私がそこまで世の中から注目されたらアイドル級じゃない⁉︎笑うやん。ひゃーはははっ」
ヒロコさん、あなたはアイドルではなく、私達のヒーローだから心配してるんです。
いつも弱い者の味方だった。学校の先生の誰にも臆せず言うべきことを言った。
それによって先生達からキツイ扱いをされてたこともあったじゃない。
ヒロコさんはヒロインというよりも…。
男子よりもたくましく、先生達でさえ見て見ぬふりだったいじめっ子を追い払い、いじめられてた子の苦しみに寄り添った。誰に対しても同じ態度だった。10歳に満たない女の子がだ。
ヒロコさんには悪いけど、美しく、か弱い雰囲気はあなたには全くない…。
今で言うジェンダーレスを、いや老若さえも越えて、人の心を傷つける言葉や態度をとる相手に対して、きちんと話せる子だったので、私はあえて「ヒーロー」と言いたい。
目が線のようになるほど笑っているヒロコさんに私は、
「ヒロコさんのこと、アイドルとは思わんけど…、
こないだ車に乗せてくれた時、ちょっと後を付けられてなかった?あれってストーカー行為やんか」
「付いてきてるように、やっぱり思った?ひゃーはははっ!今度付けられたら巻いてやろうぜっ。いひひひひっ」
…怖くないのか、気持ち悪くないのか。
そして、ヒロコさんもその時のことを思い出しながら、
「友ちゃん、あれはファンの人達かもしれへん」
と言った。
アホなこと言うのもほどほどにしてほしい。前にあったことも思い出した。
駐車場に置いていたヒロコさんの車の真後ろに、車間距離なくビッチリ付けて駐車していたあのナンバー、忘れられへん。
一緒にいた友達も怖がってたやんか。
同じナンバーで同一人物が乗るバイクでも、ヒロコさんが歩いてる時に後を付けられてたやんか。ほんま危ないって。
私の心を察してか、
「友ちゃん、よっぽどのことなら警察に言うから安心してや。今の私にとっては、顔が分かる範囲のことなら私に危害を加えるような人達はいないと思うわ」
「ヒロコさん、過信はしんといてえや」
「うん、ありがとう」
「なあヒロコさん、ほんで、小学校から高校までの出来事書くけど良い?」
「ええよ、私が忘れてること思い出さしてくれそう。note書けたら教えてや〜」
教えるつもりは今のところない。
ヒロコさんに読んでもらうには、ちょっと恥ずかしい文章だ。学がない私にはハードルが高い。
でも、ヒロコさんへの恩を返せるものは何もないからnoteを書く。
迷惑をかけたくないので、ヒロコさんをモデルとした小説としておく。
でも名前は外せない。
もしも、万が一、この小説が書籍化したなら、夢のような話だが、感謝の思いとしてヒロコさんの名前を残すことができるから。
ヒロコさんにとって大切な今日という日に、初めての作品をnoteに投稿できて嬉しい。
なお、ヒロコさんの一番欲しいものを聞くと「コンバット」だった。
ヒロコさんが持たせてくれたお小遣いだけど、少し使わせてもらうよ。
ヒロコさんのお誕生日のプレゼントは、本気で欲しがっていた「コンバット」を贈ることにした。来年からは私のお金で買って贈るからね。
ヒロコさんの真似をして、著作権も記しておこう。
<写真・文 ©️2024 友>
この小説は、多くがノンフィクションです。
一部調べがつかないもの、著者の主観のものがあるため、その部分をフィクションとします。
実在するヒロコさんをモデルに、10代を20世紀で生き、20代からを21世紀で生きる彼女の人柄と私を含めた取り巻く環境や出来事を書きます。
毎日を生ききることに背中を押してくれた感謝を残したいです。
2024年8月3日 友