未来のおにぎり
セブンイレブンが初めて家の近所にできたのは、俺が小学生の時だ。元は酒屋だったところがセブンイレブンになったそうである。
開店日に俺はクラスメートたちと店を見に行ったが、「祝開店」の紅白花輪がいっぱい並ぶ中、店先のテントで、大人たちが祝い酒を振る舞われていた。近年の開店風景とはかなり違う、いかにも昭和な光景だったことを覚えている。
それと前後して、テレビではセブンイレブンのコマーシャルが流れ始めていた。クラスの奴らは何人かすでにセブンイレブンを体験し、その土産話でクラスは沸いていた。いつ開けても海苔がパリパリのおにぎりであるとか、「ブリトー」なるエキゾチックな食い物が買えるという。
様々な飲料がつめた〜い、またはあったか〜い状態で販売され、ハンバーガーなどを買えば店員さんが操作し、「チーン」と鳴るHOTマシーンでアツアツにしてくれるというではないか。かき氷みたいなドリンクがあるという報告もあり、手すくいのアイスクリームまで売っているという噂だ。
今まで、食料品店といえばファースト・モリタか向かいのハルタ商店であり、駅前に出きたてのフジ・スーパーがようやく追加されたばかりの時代、3丁目にできたセブンイレブンでの買い物を体験しない選択はない。ここでクラスの連中に遅れをとってはならないのである。
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