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ペイント大全ショウケース:怒れるドラゴン パート1(ウロコのペイント前半、腹板と翼膜のベースコート)

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よくぞ来た。今回からは、怒れるドラゴンを題材に、完成までの塗りこみをじっくり紹介していくショウケースだ。前々回「マスターズ:大型ミニチュア組み立て伝説」で組み立て、前回の「マスターズ:ベーシスト列伝 遺跡建造奏法」で崩壊した遺跡のベースデコレートをしたドラゴンを、じっくりと塗り上げていこう。

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今回のショウケースでは、大型ミニチュアのアンダーコートにおける留意点、各部の配色決め、そしてウロコ部分をはじめとした各部の大まかなベースコートと、ウロコ部分の途中までを進める。

それじゃあ行ってみよう!



大型モンスターペイントの心得

ドラゴンのような大型モンスターのペイントは、同じ手順で塗る面積が当然広くなる。ジャイアントやトロール、オウガなどと違い、ドラゴンやグリフォンなどは生物であるため、文化的な装飾品や防具などをまとうケースは珍しい。その分、“似たような色でのペイント”をかなりの時間、さまざまな部位で繰り返す事になる。

俺がそうであるように、君も普段のペイントでもやっているなら別にいい。だが、普段やっていない人のためにあえて言及しておこう。使った色の名前を必ずメモに記録しろ。そして混色をする場合は、後日に同じカラーの調色ができるように混ぜる割合も書いておくんだ。それぞれの色名の隣に、筆先でその色をチョンと載せておくとさらにいい。こうすることで、日を空けてペイントを再開する時に、「あれこの色どうやったっけ?」と途方に暮れずにすむ。記憶ではなく記録に頼る方がいい。

ドラゴンのような大型モンスターを同じ日に完成させるのは、相当な早塗りが必要になるよね。でも俺は、せっかく購入した大型モンスターを、チャチャッと早塗りで仕上げたいとは思わない。物語であればクライマックスに登場するであろうボスキャラ...あるいは主人公の友人となる強力な味方だ。俺はやっぱり、ドラゴンをじっくり手間暇かけて仕上げたいよ。

それだけに、数日どころか数週間、ペイントセッションの頻度によってはそれ以上の日数をかけて塗り進めていくから、ぶっちゃけカラーの名前や混色の割合は確実に忘れる。だから必ずノートにミニチュア名とカラー名を書いて、余白にそれぞれのカラーをチョイと載せておくんだ。後日そこを見れば、すぐに再現できるからね。

*水溶性カラーの各色に同系類似色が多い理由*

コートデアームズにせよ、ファレホにせよ、シタデルカラーにせよ、水溶性カラーは、必ずと言っていいほど、色味の似たカラーが同一ブランドから凄まじい数で販売されているよね。赤系、黄色系、青系、茶系、緑系、灰色系などなど、同系色で明暗や色相、彩度が異なるカラーがたくさんある。
これは、似たミニチュアを何度もペイントするこのホビーの性質上、混色の機会をなるべく減らす=色味の再現性を高める、という思想背景があるんだ。

だから、君がどのブランドでカラーを揃えてるにせよ、さまざまな色をなるべくたくさん、可能であれば全色揃えることが、混色機会を減らす=再現性の担保とストレス軽減につながるだろう。例えば同じ「赤」でも、色味や明暗の異なる各種の赤を揃えれば、その分混色の機会を減らし、いつでも同じ色をパレットに出せることに繋がる。つまり、色数が多いほど、色彩表現の幅を広げつつも、再現性の高いペイント環境を手に入れられるってことさ。

水溶性カラーであるコートデアームズ、シタデルカラー、ファレホ、アーミーペインター、Scale75など、そして絵画用アクリルであるアクリラガッシュなどは、全て互いに混色できる。性質が同じだから、弾くことはない。だから、主軸となるブランドを決めつつも、気に入った色があれば、ブランドをまたいでどんどんコレクションし、君のカラーパレットに迎えてやろう。

もちろん、カラーコレクションも程度問題で、際限なく何百色も揃えるのはちょっと極端すぎる
。使わない色をただ寝かせてもしょうがないし、混色をするのが悪いわけじゃないからね!  記録のクセをつけ、何度も混色する中で再現性を担保できるなら、一つのブランドに限定するどころか、カラーの色数を最低限にとどめてもいい。君のホビーだ。カラーコレクションも、君の好きなバランスで、君の好きなようにやるのが一番だぜ!

ちなみに現在、俺の主軸は大好きなコートデアームズだけど、シタデルカラーのBASEは一通り手元にあるし、TECHNICALの一部、そして、アクリラガッシュの金属色及び一部の蛍光系カラーなどを補完的に使う。CITADEL CONTRASTも、何色か試しているところだ。色々使ってみて、君ならではのカラーコレクションを作ろう。

メーカーはどこも「うちので全部できます」というだろう。俺はそうは思わない。どのブランドにも、そのブランドならではの強みと弱みがあるからだ。俺はコートデアームズが大好きで日本に持ってきたが、これだけで十分とは思わない。シタデルカラーのBASEが持つ隠蔽力はやっぱスゴイし、ファレホのカラーレンジは圧倒的な色幅だ。Scale75は、慣れればむちゃくちゃモダンな色味のペイントができる。どのカラーにもそれぞれ良さがある。だから、君自身が実際にどんどん試して、君のカラーコレクションをブランドをまたいで作っていくんだ。レビューだのインプレだのは、仮にどっかのメーカーやショップの広告案件や忖度記事でないにしても、結局君じゃない誰かの意見にすぎない。君自身に合うかどうかは、君自身が試して判断するんだ。他人を信じるなとは言わない。だが、他の誰よりも君を信じろ。


大型ミニチュアのアンダーコートは特に念入りに

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