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横浜WILD LIFE

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俺の暮らす横浜のチベットは多分に緑が多い場所であり、未開発の地域がかなり残っている。俺自身生まれも育ちも横浜だが、他地域から「横浜のチベット」と呼ばれるエリアに初めて暮らしたので、夏はクソ暑く冬はクソ寒いのと、豊かな自然には本当に驚かされた(気温について言えば、実家のある保土ヶ谷と比べ、冬は4度以上低い)。

豊かな自然…それはただ景色がいいとか空気がうまいとか、そういうレベルの話ではない。家にいても、鳥たちのさえずりで夜明けを知り、あたりに咲く花で季節がわかる。空は高く、風は心地よい。そして野生生物と、別に探しているわけでもなく出会うようにもなった。

多くは「あっ、見たことのない鳥がいるぞ」「うわあ、リスだ。かわいいね」といった、小さな鳥獣たちとの微笑ましい邂逅である。先日には、とても興味深い経験もできた。夜散歩中、特定地点でフクロウの聴き声を聴けるポイントを見つけたのだ。

普段は散歩コースを決めていない俺だが、年明けからはかなりの頻度でそこを歩くようになっている。フクロウの声を聴くと、なんともファンタジーな気分になれるから、これはもう通ってしまう。

そこは一昨年に開通したばかりの道路で、道路向こうに手付かずの山林が残っているエリアだ。バックパッキングでの野営中に聴いたことはあったが、まさか家から徒歩15分の場所でフクロウの鳴き声を聴けるとは思っていなかった。毎回聴けるとは限らないのもいい。本当にいるんだな、と余計に思えるし、聴けると実にラッキー感がある。

毎回驚くくらい近く、そしてクリアに聴こえるので、こないだの夜散歩の時、動画を撮っておいた。時間にして午前2時くらいだと思う。興味があったらダウンロードして視聴してみてね。

*00:05~00:11と、00:37-00:42で鳴き声が聴こえるよ!*
*電車やバスの中で再生する時はイヤホンを使おう*

とまあ、これだけならいいんだけど、先週の金曜日、ひどく困った遭遇があった。俺自身初めての経験でめちゃくちゃテンパったが、なんとかなったので書き残しておこうと思う。

近頃は下の娘がドングリ集めに凝っており、以来保育園の帰りに近くの里山を訪れて30分ほど散策するのが去年秋からの日課になっている。里山なのですぐ近くに家が何軒も建っているし、車は通れないが人間用の舗装道路があるのでそれほどワイルドではない。

だがしかし、それは俺の甘い考えだった。娘と共にアンパンマンマーチをおごそかに・・・・・歌いつつ斜面を登り始めた時、俺はただならぬ視線が投げかけられたのを感じたのだ。

道のすぐ横。俺から3mと離れていない薮の中に、動物園でしか見たことのない生き物が座っている。事もあろうに、俺は野生のサルと目が合ってしまったのだ。

横浜市にサルは生息していないはずだが、目の前に居るのはどこからどう見てもニホンザルであり、ドングリか何かをもしゃもしゃと頬張りながら、不思議そうにこちらを見ていた。見たところ単独なので、奥さん探しに群れを離れたハナレザルと思われる。つまりこいつは腹を空かせたオスであり、刺激するとヤバい相手だ。ワイルド・オス・モンキーは手加減などしてこない。殺しに来る。俺はともかく、2歳半の娘に危害を加えさせるわけにはいかぬ。

目が合ってしまった以上、相手もこちらを認識しているし、むやみに興奮させると危険だ。だからと言って背中を見せたら襲われるリスクが高まる。幸い相手はメシを食っているところであり、これ以上刺激しなければ最悪の状況を回避できそうだと判断した。スキを見せず、この場を静かに離れるのが最上の策だ。

取るべき行動を頭の中で思い描きつつ、まず俺は無言のまま娘を抱き抱えた。サルをおどかさないよう、なおかつサルから目を背ける事もせず、そのまま後ずさりを始める。幸い娘は泣いたり驚いたりする様子もなく、静かに俺にしがみついていた。幼子なりに状況を察していると思われた。

きびすを返して駆け出したい衝動に駆られたが、背中を見せたら危ない。10mや15m離れたところで、サルなら数秒でこちらに躍りかかれる距離だ。相手をキレさせたらオシマイである。 

振り返らずに斜面を後ろ向きで降りるのは危ないが、今、あのサルに背中を向けるのはもっとやばい。柔道で鍛えたすり足が活きるのは今だ。柔道の開祖たる嘉納治五郎師範も、俺の姿を天国から見ておられるに相違あるまい。俺はゴマすりは苦手だが、すり足は得意である。すり足のモミちゃんとは俺のことだ。すってやるぜ。スリの銀次も真っ青なスリスリを披露つかまつろうではないか。

俺が後ずさりを続けているうち、サルは食事を終えて悠然と視界から消えた。どうやら俺たちは脅威とみなされなかったようだ。ホッとして車に戻り、娘をチャイルドシートに載せてドアをロックする。とにかく娘が無事だったのが何よりだが、斜面の後歩きは流石にヒザにきた。

帰宅後改めて情報を探すと、横浜市内の複数地点から目撃情報が寄せられていた。奴はすごい速さで移動しているようで、もはやあの場所にはいない様子である。

ともあれ、なかなかに肝が冷える事件であった。野生動物はマジで怖いから気をつけろ。

***

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