ボブ・オーリー物語
「幻想世界の窓辺から」シリーズ最新作となる今回は、ミニチュアデザイナー1人をピックアップして紹介しよう。今回はボブ・オーリー。ミニチュアデザイン界におけるレジェンドの一人だ。1970年代のファンタジーミニチュアシーン誕生以来現在までで、もっとも多くのメーカーに原型を提供したデザイナーでもある。
1980年代初頭から2021年現在までの時点で、彼はのべ60社以上のメーカーにミニチュア原型を提供してきた。現在、オールドスクールファンタジーミニチュアシーンで八面六臂の活躍を見せるかのケビン・アダムズですら、20社ほどであることを考えれば、ボブ・オーリーがどれだけ手広く仕事をしてきたかが想像できるだろう。
自宅アトリエでポーズを取るボブ・オーリー。この写真が撮影されたのは2000年代初頭とされている。
画家ボブ・オーリーがその名をミニチュアシーンに初めて轟かせたのは、画業から一度離れたボブが80年代初頭に立ち上げた『アイアンクロー・ミニチュア』である。その独特な世界観と個性溢れる造形はイギリスのシーンですぐに有名になり、その噂を聞きつけたゲームズワークショップは、ボブを招こうと手を尽くした。
そして87年のことだ。『アイアンクロー』はゲームズワークショップが擁するブランドとなり、ボブ・オーリーはシタデルミニチュアのスター・デザイナーとして、自身の名を冠したシグネイチャー・レンジを手がけるようになる。
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