バグベア 前編(ペイント大全ステップアップガイド)
ステップアップガイド
このシリーズは、ペイントスキルのさらなるステップアップを狙う君のためのガイドだ。とはいえ、『ショウケース』でやるような、じっくり塗り込みのテクや手順を紹介するものとは違う。
このシリーズで注力すること。それはミニチュアを最小限の手数で効果的にカッチョよく塗り上げ、テンポよく完成させることだ。いかに手を抜くかという単なるスピードペイントではなく、だからといってじっくり塗り込むコンテスト向きペイントでもない。その真ん中だ。
今回取り上げるのはバグベアだ。ハーミットインミニチュア製『バグベア』レンジより2体…『バグベア/斧と刃小手』『バグベア/メイスと盾』を前・中・後編の3回シリーズで製作する。原稿執筆時点では近日発売予定だけど、君が近い将来これらのバグベアを製作する時、必ず役に立つはずだ。
今回のシリーズ記事は、同一ミニチュアは無論、他のバグベア(商店には様々なバグベアたちが顔をそろえている)、そしてそれ以外のモンスターにも応用できるテクニックが盛りだくさんだ。
例えば今回のシリーズ記事では:
などが取り上げられる。ぜひ役立ててくれ!
そもそもバグベアって何者?
バグベアってのは、手むくじゃらのモンスターで、類人猿と人の中間みたいな姿をしている。とはいえ類人猿のように温和な性格じゃなく、凶暴で、獰猛で、怒ると手がつけられない(そしてたいてい一日中怒り狂っている)。
バグベアは、中世イギリスの伝承にその源流を見出すことができる。ゴブリンやホブゴブリンと同郷の妖精だ。伝承のバグベアは悪意に満ちた恐ろしい熊の妖精で、お父さんやお母さんの言うことを聞かない悪い子をさらって食ってしまう。バグっていうのは虫(Bug)じゃなくて、別の意味がある。中世英語のbugge(こわいもの)、ウェールズ古語のbwg(悪い妖精)、スコットランド古語bogill(小鬼)などがこの語源じゃないかって言われてて、今でも研究中みたいだ。
ドーバー海峡を越えた先…ヨーロッパ各地の民話にもバグベア伝承は伝わっていて、名前を変えながらも悪行を重ね、各地の子供達をビビらせてきた。日本にも、悪い子をさらう妖怪が昔から全国各地に住んでいるよね!
そんなわけで、元は民間伝承の怪物/妖精だったバグベアだけど、D&D初版で堂々たるファンタジーモンスターとして脚光を浴びた。以来、さまざまなファンタジー作品に登場しては、それぞれのスタイルで暴れ回っている。
デスグロのクエストモジュール『異端なる死の儀式』でも、プレイヤーが「ランダムエンカウンター」ルールを採用すると、バグベア(Lv.3)に出くわすことがあるね。デスグロの背景世界(例)に住まうバグベアについては『種族解説:バグベア』を参考にしてくれ。
ミニチュアの組み立て
左側が「バグベア/斧と刃小手」、右が「バグベア/メイスと盾」。どちらも3パーツ分割のメタルミニチュアだ。
ミニチュアの組み立て方法や手順、気をつけるポイント、使う道具についての詳細は下記エントリーで紹介ずみだけど、改めて紹介していこう。
ちなみに、俺が今回製作する2体のバグベアはマスターキャストと言って、原型を直接型取りしたものだ(実際の製品は、マスターキャストを型取りして製造する)。メタルミニチュアの詳しい製造法と手順については以下エントリーを見てね。
クリーニング
組み立ての前に、それぞれのパーツをクリーニングする。クリーニングとは、エアピンやバリを取り、パーティングラインを整形し、全体を真鍮ブラシで優しく磨き上げることだ。
マスターキャストなのでエアピンはなく、バリもなかった。ただしパーティングラインはちゃんとある。この手の不要部分を気にしない人もいるけど俺は気になるので、丁寧なクリーニングを心がけているよ。
ここから先は
寄せられたチップは、ブルボンのお菓子やFUJIYAケーキ、あるいはコーヒー豆の購入に使用され、記事の品質向上に劇的な効果をもたらしています。また、大きな金額のサポートは、ハーミットイン全体の事業運営や新企画への投資に活かされています。