『鉄道模型大作戦』が俺に教えてくれたこと
イントロダクション
いきなり「鉄道模型」が出てきたことに、君は驚いているかもしれない。ハーミット・カウンシルはオールドスクールファンタジーミニチュアのホビーマガジンだし、これからもそうだ。
小学生の時に出会い、中学で本格化し、高校から大学と、ファンタジー&ミニチュアを楽しむ中で、俺はさまざまな人に出会い、たくさんの本からも影響を受けてきた。
以前書いた「メタルフィギュアの世界」や「メタルフィギュアガイド」、あるいは今後書くであろう「メタルフィギュアマニュアル」、「D&D」そして「FGジャーナルとD&Dマガジン」などにはめちゃくちゃ学んだ。無論、他の本や英語書籍の数々からもたくさん学んでいるが、これらの本については、また別の機会に書こう。
「記憶は未来への手がかり」シリーズ第三弾。俺は今日、鉄道模型大作戦と、そこから俺が学んだことについて書く。
鉄道模型大作戦
鉄道模型大作戦。この本は、俺のたくさんあるホビーの一つ「Nゲージ」の原点であるだけでなく、俺に趣味との向き合い方を教えてくれた。
プラモやガレキ、RPGなどと並んで、いわばミニチュアの「お隣ジャンル」の一つといえる鉄道模型を扱うこの本は、俺がもっとも影響を受けた本のひとつでもある。
つまり、ミニチュアホビーや製作法について俺が語るときの書き方やアティチュード、そして根底にある考え方やスタンスの形成において、大きな影響を受けた本のひとつということだ。
巻末の紹介文によると、監修者である野本明氏は、執筆時に世田谷のNPと言う模型店のオーナーであり、関東鉄道模型専門店会の理事であり、Nゲージ研究会の幹事という立場にある人だそうだ。むやみに肩書きが多いことに時代を感じるが、間違いなく、当時の鉄道模型シーン牽引者のひとりと言えるだろう。
その知識の深さとカルチャーへの思い、そして子供たちにNゲージの素晴らしさを伝えたいという気持ちは、本書を読むことで火傷しそうなくらいにわかる。
氏の願った通りの鉄道模型シーンが現在国内で育っているかはわからない。だが、現在でも各メーカーから新製品が送り出され、根強いファンがいるのだから、次世代へのバトン渡しはできたのだと思う。今の世代が次なる世代へホビーのバトンを渡せるか、渡せたとしてどんなシーンになるかは、今のシーンを形作るメーカー各社や店舗は無論、やはり鉄道模型趣味を楽しむNゲージャーたち次第だろう。どのジャンルも一緒だね。
刊行は1981年で、すでにこの本は絶版だ。子供たちが有り余る知識欲を少しでも満たすべく、オールジャンルで出ていた“分厚い文庫本”を読みあさっていた時代…ケイブンシャが大百科シリーズを、実業之日本社が大作戦(こどもポケット百科)シリーズを出し、その他の出版社も似た形式の本を出しては観測気球を打ち上げていた頃のことだ。
俺が初めて「鉄道模型大作戦」を手にしたのは、刊行年にあたる幼稚園の時。父が贈ってくれた。俺が鉄道にあまり興味を持っていないことは知っていたが、俺が模型に目がないこともまた、父はよくわかっていたのだろう。
なにせ幼稚園児である。ほとんどルビがふってあったとはいえ、読めない漢字だらけであり、読み方がわかってもそれが何の意味かわからない場合がほとんどだったので、父や母に言葉の意味も含めて教わりながら読んだ。結果的に、たくさんの言葉を知る機会にもつながった思い出深い本だ。
では、今日の主題である鉄道模型大作戦について語ろう。
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