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横浜博覧会はココナツジュースと魚肉ホットドッグだった

1989年…昭和64年にして平成元年だったこの年、横浜で博覧会が開催された。いわゆる万国博覧会ではなく、バブルでしこたま儲けて御坊財閥みたいになった企業や自治体のマネーがバクハツして開催された都市博覧会の一つである。

横浜生まれ横浜育ちの小学生ボーイであった俺は、地元がブチ上げたこの巨大なイベントに純真で熱い思いを抱いていた。桜木町の海を大々的に埋め立てて、なんぞバカでかい土地をこさえたと思ったら、そこで博覧会をやろうとは、ビッグドリームここに極まれりではないか。ジャパンはモーレツな好景気の絶頂であり、会場建設にあたっては、作業員が万札で汗を拭いているという話さえある。

しかも世界最大の観覧車が建設され、駅からは「動く歩道」なるハイパー未来建造物が整備されるという。かのリニアモーターカーも期間限定で運行し、会場内では電気で動く車にも乗れるということではないか。カネがうなり声をあげるとはこういうことである。ジャパンバッシングもなんのその、世界まるごとハウマッチというわけだ。

未来がきたのだ。21世紀を先取りするチャンスだ。マスコットキャラクターは手塚治虫が手がけ、「宇宙と子供たち」というテーマで開催されるという公報とパンフレットも配られた。しかも開催は1989年3月25日から半年間という。俺の誕生日ではないか。

「さすがは横浜市…ぼくが小学校を卒業する年の誕生日に開催開始をあて込んでくるとは、かなりわかっているな…主賓はぼくだ!」と勝手に盛り上がったものである。

だが、一人で勝手に行くわけにもいかない。小学校を卒業したばかりで、一緒に行ってくれる友だちもいない。俺や妹は春休みでも、両親は働いているのだ。ゆえに、横浜博覧会は主賓であるはずの俺が行けないまま、全然問題なく開幕し、入場者を増やしていった。別に俺は主賓でもなんでもないので当然である。

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