ナベさんのラーメン
町内に住んでいたナベさんは、横山剣をちょっと細くしたような顔で、庭のある一軒家に住んでいて、カッコいい車に乗っていた。ロックンロールが好きで、いつもタバコを吸っていた。ナベさんには子供が二人いて、犬が大好きな奥さんと暮らしていた。ナベさんは父と仲がよく、その絡みから、俺も随分かわいがってもらった。
ある夏の土曜日。俺が部活の朝練を終えて家路を急いでいると、道でばったりナベさんに出くわした。ナベさんは買い物帰りのようで、近所の食料品店「ファースト・モリタ」の袋を下げている。俺がアイサツするとナベさんはタバコの煙を吐きながら、ニヤリと笑って俺にこう言った。
「ようちゃん、うまいラーメン、今から一緒に食べに行こうぜ」
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