ミニチュアとコンセプトアート
よくぞ来た。以前俺は「令和版 メタルミニチュアのできるまで」で、メタルミニチュアがどのように企画制作され、原型を作り、型を取り、量産から販売に至るまでの流れを詳しく紹介した。
今回の記事では、メタルミニチュアの企画で重要なカギとなる「コンセプト」 …つまり、何をどう作るかという点にフォーカスし、俺が手がけてきたコンセプトアートとミニチュアを見比べていく。このエントリーは、俺の手がけるコンセプトデザインの変遷を時系列で紹介する側面もある。2021年から2023年という2年の間でさえ、俺のコンセプトアートは大きな変遷を遂げているんだ。
ハーミットイン・ミニチュアに興味のある人はもちろん、ミニチュアがどうやって企画されているかを知りたい人にも、「メタルミニチュアのできるまで」同様、大いに楽しんでもらえるだろう。
それじゃあ、いってみよう!
ビジョン
メタルミニチュアを作るとして、まずそれはどんな大きさで、何のジャンルで、どのようなキャラクターにするかを決めなければならない。そこに必要になるのが、明確なビジョンだ。
例えばハーミットイン・ミニチュアの場合、ミニチュアは人間サイズで28-30mmを基本とし、オールドスクール・ファンタジーミニチュアのジャンルで、俺が決定版だと思える最高峰のミニチュアであることが求められる。
単に「80年代インスパイア」であるとか「どこか懐かしい感じ」ではダメだ。現在進行形のオールドスクールファンタジーを標榜する俺たちは、自社ミニチュアにおいても、新たなスタンダードを提示していく。時代におもねらない。妥協や手抜きもしない。常に全力で創る。そう…ヘヴィメタルの精神だ。
デスグロの背景世界(例)であるところのハルクウーべンは、俺がガキの頃から現在に至るまで作り続けているオールドスクールファンタジー世界だ。ハーミットインの自社ミニチュアは、当然ながらハルクウーベンに住まう連中となる。ここがそもそもの出発点だ。
ハルクウーベンには、それこそ様々な種族が息づいているわけだが、自分自身で原型を作るならともかく、ミニチュアデザイナーに依頼して原型を作るとなると、デザイナーとのイメージ共有が最初のステップだ。複数人で何かを創ろうとすれば、創ろうとしているもののイメージを細部に至るまで共有することは必須である。それがバンドであれ、サークルであれ、雑誌であれ、アニメや映画であれ、企業であれ、ミニチュアであれ同じことだ。
一人でできることには限界がある。やはり志を同じくする者と協力し合ってこそ創れるものがあるよね。いかに多方面のスキルに長じた者でも、1日を24時間より長くすることはできないからね。
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