ペイント大全ショウケース:ゴブリンのまじない師 パート3(茶色のローブと灰色のローブコート)
イントロダクション
よくぞ来た。今回のペイント大全は『ショウケース』…つまり、俺がどうミニチュアを塗り込んで仕上げていくかを順序立てて紹介していく。前回に引き続き、「ゴブリンのまじない師」を進めていこう。
今回は、まじない師の着込んだローブをじっくり進める。それじゃあ、始めようか!
長衣も重ね着
このまじない師は、かなり厚手のローブを着込んでいて、シワの入り方も、薄い布ではなく、分厚い布、あるいは革のように見えるね。正面に注目してくれ。ゴワついた感じのシワを持つローブの下に、風合いの異なる布地が見えている。つまり彼は、ローブを一枚着た上に、コートのようにもう一枚着込んでいるんだ。
ここからは、これらのローブを塗り進めていく。
茶色いローブ
このまじない師が下に着ているローブには、まるでレースのカーテンのような、薄い布特有の細かいシワが造形されている。上に着ているローブの硬くごわついたシワの入り方とまるで違うんだ。このあたりの作り分けも、ケビン・アダムズ造形のもたらすリアリズムと説得力につながっているよね。
俺は今回薄汚れた茶色でこの薄手ローブをペイントすることにした。ちょうど修道僧が着ているローブのような、ちょっと貧相で安っぽい染め物という感じ。くすんだ茶色は、革や木材とはまたトーンの違う茶色になるし、彼が着ているローブの灰色と頭巾の赤紫の邪魔をしない色でもある。
ベースコート(フラットペイント)
奥まった部分からペイントすると、ハミ出しのリカバリーがやりやすい。そこでまずは彼が下に着ている一枚目のローブをペイントしよう。
この項目で見せる写真には映っていないけど、腰から下の前側だけでなく、左足後方の裾にも、下に着込んだローブがチラッと見えている。そこも同じように進めていくよ。
コートデアームズ529【ベージュブラウン】をパレットに出して水を少し加え、ローブをフラットペイント。灰色のローブにカラーがハミ出ても今は全然問題ないけど、地面にカラーをはみ出させないように気をつけてね。
ハイライト(レイヤリング)
ここからは、明るい色を段階的に重ね塗りしてハイライトをかけていく。レイヤリングでね!
529【ベージュブラウン】と222【ホーストーン:ローン】を6:4の割合で混ぜ、パレットを3割透かすくらいに薄めてくれ。キッチンタオルに筆を滑らせて余分なカラーを取り、筆先を尖らせたら…
シワや穴などの奥まった部分を除いてレイヤリングする。1回でなく、面積を狭めながら2回、同じカラーでレイヤリングするんだ。上写真左が1回目、上写真右が2回目ね!
薄まったカラーは下地をより透かすから、面積を狭めながら同じカラーを2回重ねることで、スムーズなグラデーションが手軽に得られる。水だけで均一に薄められ、透過力に優れるコートデアームズならではのアプローチだ。君がコートデアームズ以外でこれを目指すなら、対応するメディウムとかを添加して頑張ってくれ。
222【ホーストーン:ローン】をパレットが7割透けるくらいまで水で薄めてくれ。これで、すその端やシワの突端部、穴の周りなどを、点描ぎみにレイヤリングする。かなり明るいので典型的な白飛びハイライトになるけど、これでいい。次で調整するからね。
それと、ここで点描というのは理由がある。ここで線を引くようなレイヤリングをすると、ハイライトが強調されすぎ、硬さが出てしまうからだ。線を引くようにではなく、チョンチョンと点を打つようにカラーを筆先で置いてゆくことで、ささくれた布の風合いをGETできるよ!
全体の色味を暗くする(ステイニング)
かなり明るいハイライトをかけたので、今のままだと少し悪目立ち中だ。奥まった部分にあるローブだから、それとなく暗く仕上げて奥行きも強調したいところ。ステイニングで全体のトーンを暗く調整しよう。
519【チョコレートブラウン】を、上写真左のようにシャバシャバに薄め、筆先を尖らせてから茶色いローブ全体を1回だけステイニング。凸部も凹部も関係なく、うっすらとかぶせてくれ。これでグラデーションがよりなめらかになり、白飛びしたハイライトが落ち着くはずだ。
陰影を加え、全体を暗くする(シェイディング)
さらに全体のトーンを暗くして、凹部にクッキリと陰影を加えてやろう。そう、シェイディングの時間だ!
177【シェイド:ダークブラウン】を水で少し薄め、パレットを8割透かす状態に。筆先を整えたらローブ全体をシェイディングだ。
今回は1回だと陰影がやわらかすぎるので、2回塗り重ねることでしっかり陰影をつけよう。カラーをいったん乾かしてから、凹部にだけジュースシェイディングの要領で薄めたカラーを流しこめ。すると上写真右下のようになる。全体の色味を暗くしつつ、ひときわハッキリした陰影をつけるんだ。
これにて茶色のローブはひと段落としよう!
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