記事一覧
【小説】『マルチェロ・フォスカリーニのカーニヴァルの最悪な一週間』 10. そして再び水曜日(最終話)
翌日からのヴェネツィアの町はすっかり静まり返っていた。長く続いたカーニヴァルが終わり、とうとう四旬節に入 ったのである。
広場での大道芸や見せ物小屋は解散し、劇場や賭博場のリドットはすべて閉館、昨日までの賑わいが嘘のようであった。
その粛然とした空間で、フランス貴族オランクール伯爵家の子息、リュシアン・アンリ・ドゥ・レヴィエスの葬儀がサン・ミケーレ島の教会でひっそりと行われた。
ダンドロ