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ふじわら先生から学んだこと(1)

クラブハウスでふじわら先生と対話させて頂いて、さまざまな気付きがありました。今回は先生のお話から「自分の身体と向き合っていくこと」を深堀りしてみました。この文章は、学術的なものではなく、筆者が個人的に考えたことをまとめています。

<ふじわら先生ポイント1>

自分の身体と向き合う時間の減少

ホンマ!それ。大人も子どもも身体を使って仕事したり、遊んだりほとんどしなくなりました。

大人の仕事の変化

ちょっと古い図ですが、2011年の厚生労働省の「労働経済の分析」から日本の戦後からの産業別就業構成割合の変化をみてみましょう。戦後は約50%あった農林漁業従事者が2010年には5%以下になっているように見えます。

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また働き方も1953年の 42.4%しかいなかった雇用者は、2010年には 87.3%となっていると報告されています(厚生労働省、2018 p.92)。

つまり、雇われてオフィスで働く人がほとんどになったのです。実際は掃除や運搬などの仕事もあると考えられますが、それでもやっぱり身体を使って働く人が少なくなったとは言えるでしょう。

子どもの遊びの変化

村瀬・落合(2007)の「子どもの遊びを取り巻く環境とその促進要因:世代間を比較して」の結論の部分をちょっと長いけれど以下に引用してみます。

1.現代の子どもは親世代と比較して屋外で遊
ばない傾向が強くなっている.
2.遊びを取り巻く環境において親世代と現代
の子どもの違いは,広場や空き地で遊ばなくなっ
ていること,テレビやインターネットなどのメデ
ィアの影響が大きくなっていること,スポーツク
ラブ等に通う子どもが増えていること,自然の中
で遊ばなくなっていることがあげられる.
3.どの世代においても山・海・川や広場や空
き地で遊ぶことが外遊び・スポーツ遊びに親しむ
ことへの強い促進要因となっており,スポーツク
ラブ等への参加,親,先生など大人との関わりも
外遊び・スポーツ遊びに親しむことへの促進要因
となっていた.またこれに加えて,現代では公園
で遊ぶことも外遊び・スポーツ遊びに親しむこと
への促進要因となっていた.一人で遊ぶことにつ
いては,親世代においては外遊び・スポーツ遊び
の阻害要因として強い影響力を持っていたが,現
代ではその影響は小さくなっており,子どもの遊
びの孤立化が進んでいる.(村瀬・落合、2007. )

これを見ると、この文献が出た14年ほど前にはすでに子どもたちは外で身体を動かしてリアルにみんなで遊ぶことが減っていたことがわかります。外遊びはドラえもんのアニメに出てくる土管広場や、裏山ではなく、しきりで囲われた中で大人に管理されたルールに乗っ取り遊んでいることがわかります。また、室内ゲームなどで遊ぶことが増えており、ここでは「子どもの遊びの孤立化」が指摘されています。これに関しては最近はゲームで世界中に繋がっていたりするので、孤立しているかどうかはわかりません。でも明らかに身体を使った遊びをしなくなった、とは言えるでしょう。

つまり、日本は大人も子どもも本当に「身体」を使わなくなってきたんですね。そういった変化が戦後50年ほどで急速に日本に出現したのです。

またその50年はほぼ昭和の高度成長と重なります。滅私奉公の土日もなく働く「モーレツ」社員、良い就職を求めて良い大学へ入学する受験戦争も「4当5落」(5時間寝た人は落ちて、4時間しか睡眠せず勉強した人は合格する)が持て囃され、賃金、偏差値に代表されるモノサシ上で皆が競う社会へと突入していきました。

そろそろ見直す時ですね。

<ふじわら先生ポイント2>

自分の身体を通して自己理解できないと他者理解も難しい

ふじわら先生は身体を通して自己理解をする機会が少ないことを問題としてあげられています。身体と心は相関しているので、身体を知ることは心を知ることにもなります。このように自分の身体を理解し、心を理解し、それらを統合している全体としての自分を理解することが大事なのです。そして、ふじわら先生は自己理解がなければ他者理解もできないのではないか、とおっしゃっています。確かに!

国立研究開発法人日本医療研究開発機構のページで心身相関について脳の働きとともに書いてあります。下の図は「心」の信号を「体」を調節する神経系へ伝達することで心身相関を実現する、脳の重要な神経伝達路の図になります。

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ポイント1で述べたように、ただでさえ減少している「自分の身体と向き合う時間」の中で、私たちがしていることは自分との対話(自己理解)よりも他者評価の中で自分と向き合うこと(他者から見た外見的評価)の方が多いのではないでしょうか。そして私たちは他者理解することよりも、他者評価を理解することにたくさんのエネルギーを注いでいるかも知れないです。

本当に自分を理解し、他者を理解し、そのうあ協働できるような人になりたいですね。

<ふじわら先生ポイント3>

自分の身体と対話し、自分をマネージメントしよう!

下の図はマサチューセッツ工科大学(MIT)のリーダーシップ研究スクールやハーヴァードでも紹介されたリズさんとモリーさんという二人の女性チームが作っているイラスト図です。

上半分は我々現代人が誰かに教えられた「成功」の測り方です。半分が「役職」そして後の半分が「収入」となっています。下半分はもっと良い「成功」の測り方です。身体や心の健康が大きな要素をしめています。

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このように「成功」が大好きなアメリカ人も、自分の身体と対話し、自分をマネージしていくことが本当の「成功」であることに気付き始めています。

さて、アメリカの北にあるカナダのオンタリオ州では2017年より、教育の評価をガラリと変えて社会情動学習スキル(SEL)を大きく取り入れたものにしました。オンタリオ州の保体カリキュラムでSEL スキルは大きな柱となっています。しかし、保体だけではなく、なんと数学教科の中でもSELスキルを教えるカリキュラムが組まれています。下の図はオンタリオ州の教育目標を表したイラストです。

上のリズとモリーの図と比べて見てください。似てませんか?面白いですね。

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<ふじわら先生ポイント4>

小さい時から、まわりのみんなと自分身体のことを話そう
ふじわら先生は自分の身体を通して自分を知ることを一人でしないことを提案されていました。自分一人で身体のコントロールをしようとせずに、コミュニケーションしながらすることは大事なことです。人と話すとそれだけでもメタ認知になりますし、人から意見をもらうとそれによってまた考え深まったり他者視点を獲得して物事を包括的に俯瞰することが可能になりますよね。

それを小さな時からやること、これもポイントですね。いきなり思春期になって身体のこと話すとかハードルが高いし、大人になってからならなおさらです。

以前、NPO法人地域医療連繋団体.Needs 代表理事の進谷先生(先生のご紹介、めっちゃ素敵な先生ですhttps://med.antaa.jp/shintani)から緊急外来のお話を聞いたことがあります。東京では老若男女が「ああ、これは大変でしたね、でも大丈夫ですよ」という声を医師から聞くために緊急外来に来るそうです。私たちは家族の中でも近所の人にも自分の身体のことを気軽に共有する関係を築かないできているとお思いました。

対話や会話を通して近くの大人、友人と小さなころから自分の身体を理解し分かち合うことの大切さを現代の日本人は見落としているのかも知れません。

<チャンスをつかむフレームワークは健康>

ここまできて、いきなりチャンスをつかむ話です(笑)。

チャンスはつかむ物ではなくて、チャンスというものはしがみ続けると実現してチャンスを掴んだことになる、という話を聞いたことがあります。夢を諦めるな、も同じ感じかな?

でも、ここで大事なのは多分、「健康」です。心と身体の「健康」を壊してチャンスにしがみ続けることはないということです。

そのためにも、自分で自分の身体と向き合ってみましょう。心と向き合ってみましょう。そしてできたらそれを身近な誰かと分かち合えるといいですね。

なぜならチャンスはまためぐって来るからです

それではまた!!

参考文献

厚生労働省. (2011). 経済社会の推移と 世代ごとにみた働き方.https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/11/dl/02-3.pdf

国立研究開発法人日本医療研究開発機構 トップ ニュース プレスリリース 心と体をつなぐ心身相関の仕組みを解明―ストレス関連疾患の新たな治療戦略へ―https://www.amed.go.jp/news/release_20200306-02.html

村瀬, 落合, & 落合. (2007). 子どもの遊びを取り巻く環境とその促進要因--世代間を比較して : 2007-03|書誌詳細|国立国会図書館サーチ. 体育学研究, 52(2), 187–200. https://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I8779140-00

Ontario Ministry of Education Health and Physical Education in Grades 1–8  https://www.ontario.ca/document/health-and-physical-education-grades-1-8

Fosslien, L., & West Duffy, M. (2019). No Hard Feelings: The Secret Power of Embracing Emotions at Work. Portfolio. https://www.amazon.com/gp/product/0525533834?tag=randohouseinc2152-20

Frydenberg, E., Liang, R., & Muller, D. (2017). Assessing students’ social and emotional learning: A review of the literature on assessment tools and related issues. In Social and Emotional Learning in Australia and the Asia-Pacific: Perspectives, Programs and Approaches (pp. 55–82). Springer Singapore. https://doi.org/10.1007/978-981-10-3394-0_4

SOCIAL-EMOTIONAL LEARNING (SEL)SKILLS IN MATHEMATICS AND
THE MATHEMATICAL PROCESSES https://assets-us-01.kc-usercontent.com/fbd574c4-da36-0066-a0c5-849ffb2de96e/c53cc9da-cf10-4d49-a465-3723ff1ea5c8/SEL_AODA.pdf


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