斜に構えている人の傾いた背中からは 一瞬を刻む砂粒がこぼれ落ちてゆくので それは 可能性の輪郭を掴めないまま 退屈を噛み潰しながらチャンネルを変える指先 とにかくは 目の前の人間を幸せにするしか 出来ることなどそうないのだと 気づいた人からアガリの自由形自意識競技 愛の正体は覚悟です 何を捨て選ぶかを決めることが始まりであり極地でもあるのだと 愛の持つ光は覚悟の持つ光です ロックンロールが相対主義を打ち破る hey,I love forevermore. 百年の恋、千
そんなことでもあるいはいい 眉が上下に走ってみせる 許してあげたい言葉が手繋ぎ 踊って見せてはくれないけれど そんなことでもいい日もあった 弱さと引き換え手にした眼光も減衰 それでもいい 諦めた日に出た新芽 薄い緑が日に日に昇る 朝の風を受けたからいい あなたの暴力が私を諦めるための装置だった 針を折った 許せないままでいい 粒子が吹き出す穴が空いている椅子 踊り疲れた兎が眠るためにある椅子 解けたリボンの結び皺にたまる砂 誂えていなくとも幸福は宿るよ当たり前に 響
言葉がお腹の中でぐるぐると滞る 瞬間的な痛みはやってくるのに、言葉として排出するのには時間が足りない 明るい部屋を読みたい 言葉と物も読みたい 私は知らないことが多くて、眼鏡も歪んでいる 痛みに抗することに不慣れで、すぐに泣く 人間よりも好きなものが多い 毛並みも声も優しい頬も早く欲しい 綺麗に畳んであるカーテンに包まって あなたが守ってきた家がある 天国のような縁側 レースカーテンが光を透かす あなたが守ってくれた日々がある ありがとう 愛している 愛しているよ それしかい
渋滞を起こして腹を下す その時その時の自分が亡霊になって立っている 許して欲しいと顔に書いたままこちらを見ている 成仏するために必要なものは全てもう水底に沈み 視線が背中に集まると目頭が熱くなり一枚一枚と捲られる皮 私が私を放り投げた日の空はまるっきり乾いていたはずで 匂い、湿度、中古品だらけの紛い物宝石 賢い子に育てなかった罰 もういなくなってしまった犬と老人 私の帰りをずっと待っていたんだって 情念を纏い続けている限りきっとものを作るよ あの日を救えなったことを赦すために
たなびく ほらねと言ったところで笑う 声が浮いている 日差しと交錯 カラカラ キュルキュル クククク 引き戸が鳴いている 背黄青鸚哥 いつもの事だけど どこの子みんなおんなじ名前それでも愛する 柔らかなものに囲まれる 日向がある分日陰に湿度が生まれる やさしいものに囲まれる 何度も聞いた話でも、初めてのように 何度も聞いた声でも、初めてのように 思い出すたびに時間が発生すると知ってるから 一緒にお餅をつきましょう 私が餅を混ぜるから、思う存分ついてね 何度でもいいからね 短い
自己同一性の根拠には世界のリアリティがある、私の手は7年前の手ではない、シワも黒子も全てが違う きちんと過去が過去になるように走り続けてきたからまとわりつく風を振り払って来れた 名前も顔も変えてしまいたい それと特定の時空間での出来事を無化することは同一ではないと知っていても
白い丸が規則的に並ぶ いつか朝に見た煮凝りの色 「若い女性って何歳までですか」 回る舌から聞こえる摩擦 攪乱、蜂起、似つかない、発さない音 ピンク色で固めたゼラチン 乾く外面 10年前の歌にかけられた呪い 愛す一生わたしあなた節 清潔さに汚される地方都市、鳩逃げて 弱さに守られ50年 創業当時から引き継ぐ垢 「ずっと大切にしてね永久保証の私だから」 バサバサ音立て靡く偽物 差し色はピンク 目の開くような唇 本当は気がついてるくせに誰も止めなかった 週末は布団でパーティーを開こ
それすらできない 毛布巣窟の奥 安易なイメージ 流通しきってこんなところへ 若さは人生は女は男は有限 白い犬と老人と海辺 安売りロマンス あんたに相応しい場所はどこ あんたに相応しい人はだれ 選んだ街の匂いが嫌いでもそれはただの観察の不足デバイスばかり見つめてる、一瞬が不足 目の前にある80円切手で送れるものを贈れ 祈りを込めてただ 「人生は短い」 似て非なるもの 本物の贋作 手に手をとって 手に手をとって手に手を だれの指の太さ だれの肌のきめ だれの足取り だれの目
ほどけかけた視線が交わした約束 そんなものは最初からなかったと言う目尻 大きな声で話してくれたことがない? 見て こんなに膨らんだ うみ 膨張が止まらない、予感が消えない0時半 脆くて 生命繋ぎま線 ここ、ほくろも1つ 最初に月を見上げた人 不動の体頸椎の奥眠る 耳から光漏れ出して 盗まないで ヒビ入ってんじゃんなんで ステップ 1. おもれー女 おもれー虫1匹 玉虫色に偏光する卵を飲み込む生えた角 つん裂くさざめき2人前 諸々のボロが出てもう終わり? 信じて崩れて信じて崩れ
裸眼のラカン、羅生門で談笑 女狐が15.5 吐いて捨てても帰ってくる顔 細切れ切れ切れ禿鷹の爪 妙な実感晩産化 だからごめんって 導き引き挽き 恥の下地 ピンと張ったナイロン 糸がプチンて 昨日にしないで 始まりが汚れていたらずっと透けるの哀愁 お前が決めたのだと差す熱に魘される なぜと問う蟹 ホワイガニ 目が合った穴 埋め立てるための風がない よく仕組まれた結末 二巻で打ち切り 後悔先生の次回作にご期待ください ああ すり潰しすぎて元に戻ることはない 全てが焼け野原 朝の
埃を被って過ごす休日 新しい朝が来ないまま間伸びする3時半 来た 呼ばれて来た 呼んでくれたら 生贄になった夏がまだ風を吹かせている 傷を全て無かったことにできたらもっと 全てに対して心地のよい人でいられるのに 首が強張る 力みすぎマイナス8点 君のことが大好きだよフロム風呂桶 洗い立てのタイルが欲しい 枕に机に靴に鞄に全てに巻いて角を守りたい 日々がすべて鬼になる 日光浴が足りていない 強火で焼こうと思ったのが間違いだった 消したいことばかりなのに、愛せなんて無茶 後悔ば
元に戻らない、どうしても戻らないことが多い、いつからかもわからないまま漏れていた雨 じんわりと全てを蝕む雪崩 湿度はない方がいい、本当にいい 分かり合おうというのはおかしいのかも 分かり合えないままでいいなんて言えない 分かれてしまっている、バリが痛い なんとなくもうわかっている なんとなくもう知っている ああ 千切れたら楽になる、わけがなく ずっと苦しむことになる、知ってる あ、 あなたがうんざりしてる顔してる?知ってる 要求がおかしいのか、悪い態度なのか、 前提
ひび割れた喉、ザラつく目玉、 永久保証の安心をください、冬はどうも辛い、 毎朝走って走って乗り込む轟音、 よければそれも全部ください、浅はかな寝具、 左は赤右は青の靴下、空っぽ炊飯器、 溜まっている水、染み付いた匂い、 おいしいものが食べたい、本音を話したい、 その場しのぎの8つ切りトースト、 唯一の救いだったもので競わされる不条理、 都合いい時にだけ連絡する、される、 友達を作るのがすごく下手、集中力不足、 興味がない、関心はある、それだけ、 朝日が登らない部屋にいる、ここ
人生が上向きになってほしい、でも今寝転んでいる地点における上がどちらの方角を指しているのか知らない、前を向くとは違う、「前」は今いる位置からただまっすぐ進むだけでいい、「上向き」には常に方向を規定する必要が内包されているから、すんなりとはいかない。 何かを決定することが苦手な人間です、人間の不確実さ、不誠実さに怯えきっている、それ故にどこかの地点で、震える手先からコンパスを滑り落としてしまったから、あらゆる可能性は彼に対して悪魔の顔をして襲い掛からんとしている、と彼は夢想す
大きな国、大きな窓付き画面を作る、 大きな国の人は身体も大きい30cmを超える靴だってなんのその、 大きいことと優しいことは比例したりしなかったりするそれは、 大きい人が悲しい人だから、他人よりも沢山のまばたきを必要とすることを詫びる為の 世界への少しの配慮によるもの、 愛を伝えたくない奇妙な捩れが2.5mm 素直に求めて認めて何度も踏み躙られてしまった不運だっただけの磨り硝子 甘やかすにはみりんを大さじ5、それではいけません水を足さなきゃなりません、 テフロンとれて焦げつ
波がある、冷静さだけが手綱になると知る、 とても穏やかな太陽、秋の日はこれまでの日々の一番綺麗なところだけを思い出させるから、もし自死をするのなら絶対によく晴れた秋の15時がいい、ちょっとだけ、どうでもいい海の岸辺あたりがいい、何人かの、大好きな人の顔を思い浮かべながらがいい、その時だけは音楽を聴かずに、頭の上をちょうど烏のつがいが飛んだ時がいい、 少し前に犬が死んだことをまだ受け入れられていない、写真を直視できない、胃の中にあいつの毛の塊が生まれてしまう、捨てられない毛の