ぼくらの100日モラトリアム(7/100)
100日前(2023年7月18日・火)
今日は新しい(と言ってもメルカリ調達)のバックパックで初通勤。夫に「バッグでか!」と言われたけれども、100日後にはマザーズバッグもといペアレンツバッグに下ろすつもりで、メンズが背負ってもいいデザイン&大きさにしたことを、私はまだ彼に告げていない。
出勤すると、もうすぐキックオフを迎えるプロジェクトの初回資料作成。
第1回定例会の資料のファイル名について、日付を先につけるか後につけるかで議論する。 私は、「第●回」がファイル名の先頭に来た場合、第11回になった時うまく並ばない(第1回、第11回、第12回……第2回、第21回…になる)から日付が先がいいと主張した。
ついでに「まぁ第11回目の定例会の日には、私は産休でもういないんですけどね」と言ってしまったのは口が滑ったなぁと思う。言わなくて良かったことだった。 こんな妊婦の手も借りたいくらい零細で、悲しくも(※特段そういった者に対する定型的な制度が整っていないの意)情に厚い(※上長たちに交渉してもらったら、特例扱いで色々配慮してもらった)美しい会社……と言えなくもないような会社なのに。
会議が終わると、夫からLINE。駅前で工事をしていた今日オープンの飲食店から火事が出たという。 昨日はお墓参りに行った際に義理の父が車止めに車をぶつけていたし、夫はお線香を燃やす時に自身の折り畳み日傘のカバーを燃やしていたし、ヒューマンエラーが頻発しているように見えるのは、この暑さのせいか。
その中でも特に気を抜いて生きているのが私なのだから、十二分に気をつけて生きていかねば。パンプスをスニーカーに履き替えてから駅の階段で落ちそうになることがなくなり、ローヒールでもつま先と踵に段差があるというのはおおごとなんだなあと思う。
私が最寄り駅についても、まだ焦げ臭いにおいがしていたので、その建物に激近のわが家に戻るのをやめ、少し離れた義理の実家に避難させてもらう。
仕事終わりの義理の父が、エビフライとカニクリームコロッケを揚げてくれた。 実の父が料理を一切しなかった(およびする気がない)ので、仕事終わりのラフなランニング姿で暑い熱いと言いながらも揚げものをし、レタスとトマトを添えて出してくれる高年男性が物珍しくて仕方ない。
99日前(7月19日・水)
これまでスーツを着て出勤していたので、出勤してもいいような私服がなくて困る。困ったので、ネイビーだからセーフだろう、と、まったく普段着用のうさぎ総柄シャツを着て会社へ行く。
最近メルカリで通勤に使えそうなシャツやカットソーの物色をしているが、別にポールスミスとかカッチリしたブランドに限らなくても良いよなぁと思い至り、改めてポルジョやランバンオンブルーを見ていたら、やはり好きである。いやポールスミスも好きなんだけど。もっと好きです的な意味で。
なぜかノースリーブのシャツばかり目についていたが、それに限る必要も特にない、というか袖付きの方が明らかに良いのでそうしよう。
普段の夏は、オフィスってもっと寒いイメージあったけど、長袖袖まくりで暑いなんて、建物が節電しているのか自分の体温が上がっているのか。
夜は運動がてら夫と散歩。とある日に気付いたが、ここのところ私はかかとが痛い。5月から7kgも増えているので必然か。あと姿勢も悪い方だし。
一駅分歩いただけなのに、ひどく喉が渇いたのでドンキに入って飲み物を買った。アイスを買わなかったので偉い。 ドンキは金髪プリンすっぴん女子がウヨウヨしていて、ドンキを出るとそんなこともないのに、どうしてドンキの中だけそんなことになるのか不思議。
98日前(7月20日・木)
マンションのインターホンの工事。 あと少しで出ていく家なのに、設備が新しくなるのは何となく損した気持ちになる。
Pokemon Sleepのアプリが英語表記しか検索に出ないがために、app store中を探し回ってしまった。そもそも、その現象が起きたのは私だけだったのだろうか。
終業後、彷徨う中で見つけてしまったたまごっちのアプリゲーム始めてみるが、育成よりサブゲームの3マッチパズルにハマってしまう。 いつもいつも王様をマグマから洪水から土砂から助けろという司令のCMばかり見て、どうやら3マッチパズルへの興味が大分高まっていたらしい。
肝心のたまごっちは、ヤンキーみたいなたまごっちに育ってしまったので最低限の世話以外放置する(※世話をしないとパズルが出来ない)。
豊島区からの手紙を受け取ったまま机に放置していたら、夫に「気になるから開け」と言われて開ける。私は開けなくても全然気にならない。
開けたら後期に差し掛かった妊婦へのアンケートだったが、どさくさに紛れて、妊娠初期に5万円相当のクーポンを申請し忘れたこと(を分かっていて黙っていたこと)が夫にバレる。つわりに斃れている間に申請期限が過ぎてしまったやつのことだ。
97日前(7月21日・金)
Pokemon Sleepの結果が散々で、バグかと思ったらバグじゃない。よく眠れていないようだ。それにしてもこれは酷い。生きてる?
このポケモンスリープの結果に焦ったわけではないけど、夜、急遽当日予約で近所のマタニティ整体の予約をとる。
少しお高めだったが、私の体が歪んでいるのはどの整体師もいうことだし、感じの良い先生で別の店を開拓するのも骨が折れるし、近いのは爆アドなので回数券を購入した。
そうえいば今日、同じフロアにいるけど最近あまり話すことがなかった先輩が「もしかしておめでた?」と聞いてきた。てっきりもう知っているのだと思っていたので、そのタイミングに驚く。みんなもう知っていると思っていた。思い込みって怖い。
確かにきちんと発表したわけではないし、そういうこともあるか。先日のうさぎ総柄シャツはタイトめ、今日の服は少しオーバーサイズだったのでそう思って聞いてくれたらしい。オーバーサイズの服を着ると、体型は逆にわかりやすいみたいだ。
96日前(7月22日・土)
昨日寝る前、飲み会から酔っ払って帰ってきた夫に寝入り端の時間を取られたので睡眠が足りない。だが検診なので病院に行かねばならない。
まだ寝ている夫に行ってくるね〜と声掛けしたら、検診なのを把握していなかったので踏んでから出掛ける。
その後、ミッションインポッシブルを観に行く。
戸田奈津子の字幕が叩かれていたけど、私は「エンティティ」より「それ」の方が分かりやすかったなと思う。英語が出来ないからかもしれないけど、私は戸田奈津子の訳に不満を持ったことがない。
映画の後はアウトバックでステーキご飯。アメリカンなステーキ屋だったけど、ヒレでもやっぱりアメリカンだった。私は日本のヒレステーキの方が好きだな。
あとはPokemon Sleepが楽しみ。今日はいっぱい寝るぞ。
95日前(7月23日・日)
夜、夫の作った豚の角煮を食べる。 美味しいのは美味しいけど、脂身が半分もある肉って何なんだろう。私は脂身を食べないから、実質食べるところが半分しかない。
自分の機嫌が悪い。原因はいろいろあるが、ここのところ睡眠不足なのが大きいような気がする。
だから自分の機嫌を取るために、久しぶりに長風呂をしようと思い立った。そしてそのためには、タスクがすべて片付いている方が、より気持ちいい。
そのために、夫がすると言っていた台所の片付けを彼が寝てる間に済ませ、ゴミ出しを試みる。 玄関から出るとき、狭いマンションの靴箱に入らず、出しっぱなしにしていた(ただし軽くカバーはしてあった。が、カバーが少しズレていた)大事なブーツのつま先に傷がついている事に気づいて、無理やり鼓舞していた気持ちが一気に萎えた。
夫にそれを愚痴ると「(靴箱の外に)出してあるからだよ」と一種の正論を言われ、片づけの中で多少整理されてきた感情がまたぐちゃぐちゃになる。これ、あなたからのクリスマスプレゼントだから大事に思ってたんだけど。
かっとなって「たまにあなたのスニーカーが脱いだ形のままブーツにかぶさっていることがあるんだけど」と声を荒げそうになったが、それが原因という証拠もない。そういうところが雑なことを見てわかっていたのに、対策せずに放置していた私も悪い。だけど責められる謂れもなければ、責め立てるのもまた気分が悪い。空気が変なことになる前にあわてて部屋を出て、やるせない感情をまとめてゴミ捨て場に捨てる。
なぜ私はただ、「そうだねそこにブーツがあるから気をつけようね」と、棒読みでいいから、一度感情を受け止めてほしかったのだ。心がこもっていなくともよかったのに。
たぶん、育休中の人間が孤独を感じるのってこういう時なんだろう、と思う。 社会とのつながりが限定される中、最も身近なその人は、自分の感情に寄り添ってくれない。
これまでにも、同意してほしいまで言っていないから、わかっているふりだけでもしてくれればいいからと思うことは多々あって、これからも、それがきっと、増えていくとは言わないまでも積もっていくのだろう。と、思うと、今すぐふて寝したい気持ちに襲われる。
今朝の夢見があまりよくなかったこともあり、ネガティブ思考の波が寄ってくるのを感じる。 生理がない生活になってから、ホルモンバランスに振り回されずにやってきた。体調が悪くて深く思考をしないことも増え、あまり落ち込むことなくここまでやってきた。だけど、この気怠い感じを私は知っている……。
とはいえ、まぁ久しぶりに長めに湯船に浸かり、ぽかぽかのままダラダラする時間を持てたこともあり、少し持ち直したと思いたい。
本当は実家をリフォームするための床材とか壁紙を決めたかったんだけど、今日も今日とてたまごっちアプリ……の中の3マッチパズルに阻まれている。
たまごっちはいい意味で昔と同様こまめな世話が必要で、悪い意味でめちゃくちゃ広告を見せられる(フィールドを移動しようとしただけで自動的に広告にシフトされた時は首を傾げた)ので、アンインストールすることにしよう。そう、明日になったら。
94日前(7月24・月)
帰りの電車で初めて席を譲られる。透明感のある美人のお姉さんだ。
よく「美人は性格が悪い」派と、「美人は性格が良い」派で争いがあるけど、私自身は性格の悪い美人にあったことはない、と思う。
というか、性格って顔の造作に出るよね? 典型的なドラマの悪役というか、ああいうのって、整ってる顔でもあんまり美人って思えたことない。
夜、夫と『硝子の少年』の解釈で揉める。
私はこれを当時からずっと「援助交際をしている好きな女の子を目撃してしまったガラスのハートの男の子の歌」だと思っていて、夫は浮気されたか何だかで女の子が自分の手元から去っていく歌だと言っていたのだった。
2番まで歌を聞いて、確かにどうやら援助交際の歌ではなさそうだと思ったけれども、じゃあなんで「未来まで売り渡す君が悲しい」という歌詞になるのかが謎だ。「僕が悲しい」ならわかるんだけど。 別の男と付き合っただけ(?)で、何がどうして「未来まで売り渡す」とまで言われなきゃならなかったんだ。「君が悲しい」とか上から目線が過ぎないか。男って、やっぱりよくわからない。
仕事帰りにキィニョンで買ったコッペパンとスコーンをエコバッグから取り出す。 レシートを見て、パンは米に比べて食費も高くなりがち、みたいな記事を読んだことがあるけど、一理あるなぁとは思う。 思うが、すぐに食べられる形式かつ机上に放置していてもいいパンの可用性と、炊くおよびチンおよび適切な保管が必須の米とコストが違うのは当たり前な気がする。
その記事も、おかずをしっかり食べる分にはコストはもっとかかると書いてあり、まさにうちの夫は鮭焼いてブロッコリー付けて目玉焼きや納豆エトセトラつけてますが?という気持ち。
まぁ私にしたって、そもそもコスト割高なパンにピザペースト塗ったりハムレタスチーズ挟んだり、ジャム付けたりしてるから、そこには永遠に追いつけないアキレスと亀のような抒情的な溝が横たわっている。
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