頭痛の部位に注目!臓腑との関係性
東洋医学と頭痛
東洋医学では、頭は体の最上部にあり、体全体の陽気(清陽の気)が集まる場所と考えられています。そのため、頭痛の部位と臓腑には関連性があるとされ、経絡の循行により、部位によって使用する薬物が異なるとされています。
頭痛の部位と臓腑の関連性
東洋医学では、頭痛の部位によって、関連する臓腑が考えられます。以下に、代表的な頭痛の部位と臓腑の関連性をまとめます。
前頭部:脾、胃
頭頂部:心、肺
後頭部:腎、膀胱
片頭部:肝、胆
経絡の選択
太陽頭痛(太陽膀胱經):頸項部から後頭部
少陽頭痛(少陽胆經):こめかみから側頭部
陽明頭痛(陽明胃經):前額から眉稜部
厥陰頭痛(厥陰肝經):頭頂部
1.急性の頭痛
急性の頭痛の多くは外感頭痛です。
【外感頭痛】
外感頭痛とは、風邪やインフルエンザウイルスなどの
外部からの侵入(外邪)によって発症する頭痛です。
このような外邪はほとんどの場合、風に伴われて体内に侵入する。
寒邪が侵入した場合は【風寒頭痛】
熱邪が侵入した場合は【風熱頭痛】
湿邪が侵入した場合は【風湿頭痛】
といいます
いわゆる「かぜひき」の頭痛や感染症の頭痛に相当し
寒け、発熱などの感冒症状を伴っています。
①風寒頭痛
寒は凝縮して滞る性質
冷えや湿気などの性質を持つ邪気のことで
体内に侵入すると、血液や津液の流れを滞らせます。
気血のめぐりを渋滞させ詰まりが生じ、痛みが起こる
外邪が体表の大部分を占める太陽の経を犯すことが多く
太陽頭痛を呈するのが一般的です。
風寒頭痛の特徴
頭痛が鈍く、重苦しい感じがする
項背部(後頸部から両側肩甲骨間の背部)のこわばりを伴う
強い寒気、軽度の発熱などが見られる。
治療
体を温める
発汗を促す
体を温めるには、湯たんぽやカイロで温める
温かい飲み物を飲むなどの方法があります。
発汗を促すには、運動や蒸しタオルなどで汗をかくようにします。
②風熱頭痛
熱邪は、熱や乾燥などの性質を持つ邪気のことで
体内に侵入すると、血液や津液の流れを促進し
頭痛や発熱、のどの痛み、口渇などの症状を引き起こします。
風熱頭痛は、熱邪が体内に侵入することで発症する頭痛です。
熱邪は、体表を走行する太陽経を犯すことが多く
頭部に滞ることで、頭痛を引き起こします。
インフルエンザや炎症性疾患の初期に現れやすい
風熱頭痛の特徴
頭痛がズキズキするような痛み
項背部(後頸部から両側肩甲骨間の背部)のこわばりを伴う
軽度の寒気、高い発熱
のどの痛み、口渇、咳、黄色い痰
治療
体を冷やす
発汗を促す
体を冷やすには、冷たい飲み物を飲む
冷やしたタオルを額にあてるなどの方法があります。
発汗を促すには、蒸しタオルなどで汗をかくようにします。
③風湿頭痛
湿邪が体内に侵入することで発症する頭痛です。
湿邪は、頭部に滞ることで、頭痛を引き起こします
湿邪とは
粘りや重さなどの性質を持つ邪気のこと
体内に侵入すると
血液や津液の流れを滞らせ、頭痛や肩こり
関節痛などの症状を引き起こします。
風湿頭痛の特徴
頭痛が鈍く、重苦しい感じがする
寒気や発熱は強くなく、頭重感、身体がだるく重い、食欲不振、軟便などの症状を伴う
治療
体を温める
湿気を吸収し、めぐらせて除く
体を温めるには、湯たんぽやカイロで温める
温かい飲み物を飲むなどの方法があります。
湿気を吸収し、めぐらせて除くには
運動やマッサージ、ツボ押しなどの方法があります。
その他の急性に発症する頭痛には
ストレスなどにより急に発症する肝火頭痛があります。
【肝火頭痛】
精神的ストレスや怒りなどで、情緒機能を有する肝が化熱し、
肝火となって頭部に上炎するために起こる頭痛です。
怒り・悩みにひきつづいて激しい頭痛が生じ、割れるような拍動性の痛みが持続し、いらいら、怒りっぽい、目の充血、顔面紅潮、口が苦いなどが見られます。
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