パリなハッピーアワーから。
パリで書いている。
といえばかっこいい気もするが、実態は英語メニューを渡され、何も聞かれずに水をチャージされ、ワインは思ってた味と違っていて、料理も思ってたのを頼めなくて、「メルシー」って言っても店員さんは目を見てくれなくて、とても悲しい気持ちでいる。だから、憂さ晴らしに書いている。
パリの人は夜ごはんを食べない。
代わりにたくさん飲む。食事は頼まず、道端に広がるオープンスペースでビールやらワインやらを飲んでいる。私の見てないところで締めのラーメンへ行っているのかもしれない。知らんけど。
ちなみに私もほんとは飲むだけでよかった。でも「pour manger(食事で)」というワードを覚えたので言いたくて思わず言ってしまった。
パリからリモートワークをしている。
弊社には「スーパーフレックス制」という強そうな制度がある。コアタイムはなく5-24時の間で自由に働ける。基本はリモートワーク推奨で、出社を求められたらどこからでも出社する決まりだ。
ちょうど出社がない期間に、チームの皆さんに甘えつつ、1週間だけパリから働いている。朝会を昼会に変えてもらった。感謝しかない。
パリの日の入りは20時だ。
日本時間の24時は、パリでは17時。ノリでこっそり18時まで働いてもまだ外は明るい。ハッピーアワーだって始まったばかり。みんな働いてるのかわからんが、私が外に出る頃には既にみんな飲み始めている。なんならランチの時間からスーツのおっちゃんたちが飲んでいる。たしかに一杯ぐらいなら酔わないから飲んでも良い気がする。知らんけど。
(料理が思ってたよりも美味しくて、テンション上がってきた。ワインもこれはこれで美味しい気がしてきた。料理運んでくれた人は優しかった。マダムって言ってくれた。)
そういえば、昔は海外志向が強かった。
大学入学の時から「パリジェンヌになる」という夢があった。理由は、クラスの男子に「パリジェンヌっぽいよね」って言われたこと。その人との思い出はその時限りだが、おかげでフランス語を選択し、フランスにも留学し、こうしてフランス愛を育めているので感謝したい。
(隣の人がタバコを吸い始めた。美味しいご飯にありついた私には、これもこれでパリと受け止める余裕がある。)
ムーラン・ルージュで働きたいと思っていた。
大学でフランスに留学するも、当時から海外で働くイメージは持てていなかった。ムーラン・ルージュに通えるツアーガイドとかはありかもと思っていた。ビジネス職で働けるイメージはなかった。でも、フランスがとても好きで、海外に住みたいという気持ちはとても強かった。年頃の女子あるある?の「駐妻になりたいから商社マンと結婚したい」と願っていた。ダンナに着いて行って日本語学校を開いたり何かしら日本文化を広めるような仕事を立ち上げたいと思っていた。
いつのまにか、夢が消えていた。
忘れていた。パリの街を歩くだけで、なんだかうきうきする。フランス語を聞くだけで、幸せな気持ちになる。
私はフランスが好きだった。フランスに住みたいと思っていた。フランスに来て、フランスに暮らしてみて、思い出した。パリジェンヌになりたいって思ってた。
夢を叶えている、と思いたい。
パリジェンヌとはなんなのか。言葉の定義を考えるなら一旦やめにしたい。それよりも、なんで消えてたんだろう、忘れてたんだろう。そんなことを考えてみたい。
夢を叶える、目標を達成するというのは、非常にパワーがいることだ。目標達成欲が強い私にとって、夢が叶っていない状態は苦しい。絶対嫌だ。なんとかしたい。良い意味でストレスフルな環境といえる。一方で、「目標を達成している」と感じられる状態は心地が良い。
(別のワインを頼みたかったのに、同じやつが来ちゃった。またテンション下がった。悔しいのでもう一杯飲む。)
夢が叶ったことにしていた。
今の会社に入る前は、とてもストレスフルだった。やりたいことを仕事にできていない。やりたいことに向かえてない。それが苦しかった。
今の会社に出会って、転職をして、やりたいことを仕事にできるようになった。そしたら息をしてるだけで幸せだと感じるようになった。ピクニックしてるだけで幸せで、給与は半分になったけど貯金は倍になった。
もしかすると、夢に向かって走り出したはずが、夢に向かって走ることができている、という状態に満足してしまっていたのかもしれない。
そんな中で、夢を本当に実現しようとすることも、他の夢を描くことも、疎かにしてしまってきたのかもしれない。
向かえていることに、甘んじていないか?
「世界平和」「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」
私はとてつもなく大きなビジョンを掲げている。大きいからこそ実現するのには時間がかかる。進んでる感を得られづらい。でも、幸せは感じたい。だから、「ビジョンへ向かえていること」に満足してみる。その結果、現状に満足するようになってしまったんではないかと危惧している。
(お腹がいっぱいになってきた。ワインはモノプリで買って帰ろうかな。)
私の夢は、まだ道半ば。
やりたいことは、まだたくさんある。
誰もが夢持てる世の中つくりたい。笑顔を増やしたい。その思いは変わらずある。そのために走り続けていきたい。
その思いとちょっと離れてるように感じる夢もある。海外に住みたい。フランス語を話せるようになりたい。世界史を学びたい。おしゃれしたい。きれいになりたい。
そんな夢も、犠牲にする必要はない。諦める必要はない。忘れる必要もない。
全部を追いかける。それには覚悟も努力もいるけど、楽に楽しくやってのけていきたい。
挑むからには、達成を。
やりたいことに蓋をして、今に満足して生きることでも幸せは広がる。でも、わたしにはありがたいことにやりたいことがたくさんある。
「やりたい」と思える気持ちは本当に尊い。だからこそ、それを大切にしながら日々を走っていきたい。そして、「向かっていること」に満足することなく、実現した先を目掛けて、コミットし続けていきたい。
ふぅ、お腹がいっぱいになってきた。でも、私は食べ切ることを諦めない。
今日もパリのハッピーアワーは賑やかだ。
(追伸)
結局食べきれなかった。夢半ばにて破るる。あかんやん、知らんけど。
いつもありがとうございます。いただいたご支援は大切に次につなげていきます。これからも誰もがぽかぽかした日々を過ごせますように。