Strength
ふとした瞬間、あぁ自分にはもう、守ってくれる後ろ盾はないんだな、と感じることがある。
それは歳を重ねるほどに増え、日常のあらゆるシーンで思い知らされる。
友達だっている、彼氏もいたりいなかったり、きっと私が助けてと言ったら1ヶ月くらいは誰かの家を転々として、日々を過ごせるだろう。
だけどそういうのではなく、そういうのじゃなくて、しっかりと自分の脚でこのコンクリートを踏みしめながら歩いていく強さが欲しい。
保険のことも、積み立てナントカも、死ぬまでにあと1000万円貯めましょうも、幾つになってもちゃんと理解できなくて、心にはまだ、ひたすらに守られていた頃の自分が体育座りしている。
女子高生って、最強だったな。
一歩外に出て、少しでもアウトな事をしたら即終了なこの世の中で、そのギリギリのラインを綱渡りしながら生きていく。人生は、なんてスリリングなんだろう。
ごめんなさい、間違えました、知らなかったんです。で許されていたのは、あの、青くて白い最強の夏ぐらいで、私たちはもう、自分の脳みそで判断して、自分の脚で立って生きていかなくてはならない。
強さ、欲しいな。
強さが欲しくて、中国の武将の伝記を買ってみた。赤と黒で構成されたカバー、血にまみれながら必死の思いで捻出し、書き上げたであろう書。
自分が生きた後もずっと、こうして、弓矢の代わりにwi-fiが飛び交う時代の民たちに読まれているとは、夢にも思っていないだろうな。
強くて硬くて血のにおいがする、彼らの言葉を、自分の柔らかい心の中に置いていく。柔らかい部分は一瞬、それを拒む。どうしてせっかく白いところに赤を足すのかと。
大丈夫だからと再び置き直す。それでも嫌だと跳ね返ってくる。それを何回か繰り返す。そうやって少しずつ、自分の中に赤を、黒を、配置する。
それ以外にもそうで、繰り返す日々の中で起こる様々なこと。
自分の色に合わないこと、置きたくない色、トーンの違う人との関わり、全て全てすべてを、少しずつ、自分の中と呼吸を合わせながら擦り合わせていく。
後ろ盾が無いのなら、倒れないように、強くてしなやかな軸を作ればいい。
赤と黒を置く私、青くて白かった私。
この先また違う色を置いて、また強くなるのだろう。
そして忘れてはいけない、優しさも強さだということを。
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