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息子の床屋 ~3年後のハナシ~

僕の息子は、9歳。
小学校3年生の元気な男の子だ。

最近、息子の髪の毛が伸びてきたので、息子と一緒に近所の床屋へ向かった。
息子が床屋へ行くときは、私が一緒に歩いてついていくことがほとんどである。

床屋という場所が、男っぽい世界観に感じるのか、息子は何故かママとは行かないのだ。

いつしか、息子の床屋は父親である私とセットになった。
ある意味、ウチでは数少ない、父親専業(特権)の育児シゴトだ。

ちょうど3年前にも、息子の床屋に関するハナシをnoteに書いた。

今日はその続きともいえる、3年後のハナシになるー。



息子との床屋の時間が私にとって宝物になっていた。


土曜日。
冒頭に書いたとおり、息子の髪を切りに一緒に近所の床屋へ歩いて向かう。

寒空の下、二人でポケットに両手を突っ込み、肩をすぼめながら、息子の学校での過ごし方や友達と何して遊んでいるのかなどー、他愛もない話をしながら歩いていた。

なんてことない、本当に他愛もない時間。

しかし、なんでか、父子2人っきりで外を歩くこのシチュエーションがそうさせるのかー・・・
いつもよりも会話のキャッチボールがスムーズなのだ。

普段あまり聞けない息子のハナシが聞けて、息子をなんだか独占しているような気分になれる。

いつしか、床屋へ連れていくのは面倒だと思いつつも、私は息子との床屋の時間がたまらなく好きになっていた。

「その話、ママは知ってるの?」

「しらないよ!まだハナシしてないもん!」

「そうか。」

・・・いつもは敵わないママに、なんだか肩を並べられたような、嬉しいような、ズルいような、申し訳ないような、不思議な気持ちにさせられる。


床屋での過ごし方が変わる息子

床屋へ着くと、数人先客がいた。

しかし、いつものことだ。
むしろ、息子にとっては嬉しい。

なぜなら、自分が呼ばれるまでの数十分、床屋に置いてあるコロコロコミックを読むことができるからだ。

コロコロコミックをスグに手にとり、読みだす息子。


コロコロコミックを読みながら、静かに自分が呼ばれるのを待つ息子

私はスマホでニュースやnoteを読む。

ー道中とは異なる、とても静かな時間だ。

三年前の同じ場所。
息子はまだ一人でマンガを読むことができず、私の膝の上で、コロコロコミックの「ドラえもん」を読み聞かせていた。

あの頃は床屋の待ち時間が長いと、呼ばれるまでどう過ごせば良いか、頭を悩ませていたが、今はそんな悩みは全くない。

今思えば、贅沢な悩みだったのかもしれないな・・・。


息子の名前が呼ばれて、散髪する。

床屋さんへの髪型のオーダーも自分でできる。
床屋についてしまうと、道中と違って、私の出番はほとんど無い。

お金を支払うくらいなものである。


帰り道

寒空の下、ポケットに両手を突っ込み、肩をすぼめながら、二人で家まで歩く。

「パパ、寒いね~」

「急に寒くなったな。。。まあ、もう11月だしなぁ。」

他愛もない、しかし私にとっては息子を独り占めできる、ぜいたくな時間。

薄着で外出してしまったので、夕方の寒空はちとキツイなと思いつつ…
ポケットに入れていた右手を息子の方へ無言で差し出した。

差し出した右手をぎゅっとつかむ、小さな左手。


なんと、寒空のおかげで、もっとぜいたくな時間になったぞ。


暖かくならないでほしいなぁ。
来年はもう10歳かぁ・・・

なんて感傷に浸りながら、家路についた11月下旬の土曜日であった。

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