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henshu_ckr
2018年3月25日 21:06
目を開けると、あかいくつバスが停車している。 どうやら、神様は俺を逃がしてくれるつもりがないらしい。 じっとバスを見つめる。 重い足取りで、バスに乗り込んだ。パスケースでタッチをして清算を済ませ、運転手のそばに立つ。 バスが扉を閉めて、ゆっくりと発車する。 俺はバスをよく利用する。景観が良いからでもあるし、パワハラ上司に会うまでに遠回りをしたいからでもあるが、なにより父親が乗って
2018年3月22日 18:56
十二月の風が、今度はなんだかやけに染みた。目の前のあかいくつバスに、もう乗らなくてもいいんじゃないか、という気さえして来る。 別に、彼女を救ったから、どうこうということを期待していたわけではない。困っている人がいたら、助けたい、という気持ちに近い。そう思っていたのだが、俺はやはり、咲子さんを助けて彼女に優しくされ、感謝されたいと思っていた。 それが、蓋を開けてみたらどうか。 彼女を助
2018年3月18日 20:00
世の中で知らないうちにバスジャックブームでも起こっているのだろうか。 君が爆弾テロ犯だったのか? と目眩がし、膝から崩れ落ちそうになる。 何故なのか? 俺と別れてから変な宗教にハマってしまったのだろうか。「咲子さん、なにしてるの」「見てわかるでしょ? 選手交代でバスジャックしてるのよ」「なんでまた。どうしたんだよ」「とにかく、誰も動かないで!」「俺になら教えてくれてもいいじゃない
2018年3月11日 20:18
同じ時間を繰り返し、同じバスに乗り、バスジャックに遭っている。 だけど、バスジャック犯と組んで、事件を解決しようとしているのは初めてのことだ。「で、お前はどいつが怪しいと思うんだよ」 岡本に訊ねられ、そうですね、と俺は口を開く。「あのギターケースとクーラーボックスは怪しいですよね」 なにしろ、バスを吹き飛ばすくらいの爆弾だから、サイズもあるだろう。 くしゃくしゃ頭の男、立花
2018年3月8日 20:32
いつもの風が吹き抜けて、目の前のあかいくつバスの扉が開く。運転手からの視線を受けて、俺はバスに乗り込んだ。 七周目で、俺は自分が大きな誤解をしていたことを思い知った。 バスジャック犯と爆弾テロ犯は別にいる。 思い返せば、道理で、と思うことが多い。バスジャック犯が取り押さえられているのに、起爆できたのもおかしかったし、人が降りようとしたら爆発していた。 バスジャック犯の目的は妹の手術
2018年3月4日 20:01
バスジャック犯、岡本のリュックサックからは、爆弾ではなく葉っぱの詰まったジップロックが散乱した。おそらく脱法ドラッグだろう。 それを見下ろす岡本が大いに落胆するのを見て、俺はどういうことかと首を傾げる。 バスに乗り込んで来た時、岡本は俺が滑川なる悪党の手下なのではないか、と心配していた。「いっつもこうだ、チクショウ。オレは肝心な時にやらかす」 バスジャック犯の、弱々しい声が漏れ聞
2018年3月1日 20:45
十二月の風が吹き抜け、体が震える。 嫌な汗が流れ、さっと首に触れて確認をする。血は流れていなかった。痛みも残っていないことに、ほっとしつつ前を見ると、いつものあかいくつバスが停まっている。運転手が催促する目つきで俺を見ている。 さっきのバスジャックで得た情報を整理しながら、バスに乗り込む。 急ブレーキ作戦は悪くないと思ったのだが、首を切られるとは思っていなかった。今日はオーブンを売るこ
2018年3月1日 12:13
現在好評連載中の如月新一「爆破ジャックと平凡ループ」。連載10回目を記念して、これまでに判明している登場人物の紹介と、6週目までのリープの結末をダイジェストでお送りします!■あらすじ平凡なアラサー男が、特別な力を手にした時に起る奇跡の逆転物語。主人公はバンドマンになるという夢破れた営業マン。ある日バスジャック事件に巻き込まれる。何度も“やり直し”を繰り返して明らかになって行く真実。主人公は元恋