20240316 装丁
先週行けなかった、水戸部功と名久井直子の装丁の展示に行った。じっくり時間を掛けて見た。
水戸部功装丁のスタニスワフ・レム全集がよかった。半透明のカバーに隠された鮮やかな表紙の写真は水戸部功本人が撮ったものらしい。インクを水にに溶かした写真と、石の表面の写真という身近なものだが、遠い異世界の雰囲気を感じさせるから不思議だ。
同じく水戸部功による装丁の「生ける物質」(米田翼)も印象に残った。黒のカバーを外すと赤が目を引く。副題は「アンリ・ベルクソンと生命固体化の思想」とあり、この赤から生命体のエネルギー、あるいは血液を連想した。黒と赤は、無(宇宙)と有(生命)の対比だろうか。抽象的な図形の配置や色からも、内容の深みを感じる。
これだけ本がたくさんある世界に生きていて、つい一冊一冊にありがたみを感じずに消費してしまう自分を反省する。改めて物質としての本の存在の偉大さを思った。