heno

読書の記録など。

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最近の記事

20240828 三冊

仕事帰りに三冊古本を買う。 その内二冊は日本の戦争に関する本だ。 「昭和16年夏の敗戦」(猪瀬直樹)、これは先日読んだ同じ作者の「土地の神話」が面白かったのもあり、探していた本だった。表紙が好きだ。澄んだ青空の写真が目を引き、タイトルと響き合っている。 「日本のいちばん長い日」(半藤一利)は、ちょうど今映画版を見ているところだ。戦争を終わらせるというのは大変なことなのだと見て思った。原作はノンフィクションで、詳細に記述され読み応えがありそう。 最近は日本の近現代史に興味が出

    • 20240820 若さ

      友人が出店するのでその手伝いに、コミティアに行った。 この前行った時は一万円分くらい本を買ったので今回もそれくらいかなと思っていたら、意外にも目に留まる本が少なく結局一冊しか買わなかった。 若い人たちが多いなと感じた。作品全体にも若さを感じて、どうもそれが駄目だった。 この場合の若さが何なのか、実のところよくわからないのだが。 出ている作品の質が変わったのか、あるいは自分の感性が変わったのか。

      • 20240807 こだわり

        三十二歳になろうとしている。 歳を重ねたせいか小さな楽しみが増えた。趣味でやっている麻雀や人物スケッチ、コーヒー、あるいは先日行った山登り、日本の近現代史の本を読むこと。 そういった最近楽しんでいることは、二十代にはほとんど興味がなかった。その頃は必死で何かを守ろうとしていた。小さく、固く、関心の幅を閉ざしていたように思う。 鋭く尖ったこだわりがなくなったともいえる。 それでも一方で、力が抜けて逆に、これまでは見えなかった一つ一つの小さなこだりの輪郭が見えるようなった。 一個

        • 20240806 蟹B

          日曜日、高円寺にある本屋「蟹ブックス」に行った。 イラストレーターの中村一般さんの展示をしていたので、それを目当てに。蟹ブックスにも一度行ってみたいと前から思っていたので行けてよかった。 中村一般さんの漫画作品「僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ」を購入した。孤独感や寂しさを感じさせる絵に引かれた。この方は身の回りの世界と対話を繰り返しながら生きているのだろう。植物や動物、人々の暮らしへの繊細で優しい眼差しは自分にはないものだ。

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        • 日々
          7本
        • 思考
          6本
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          12本
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        記事

          20240615 上達の道

          ジェスチャー・ドローイングという、一〜二分で描く人物スケッチを日課でやっている。 苦労するのは、腕や足などの部分を描きながらも身体全体のバランスを意識しなければならないこと。 また、限られた時間なので線の本数を減らす必要があって、迷いつつ何本も線を引きながら形を探ることができない。素早く、形に沿った線を引く。これもなかなか難しい。 それでも一か月ほど続けたら、少しずつ上達してきた。 上達、というのは、線をどこに引くか、という一回一回の判断が素早く、正確になったということだ。

          20240615 上達の道

          上手くなる

          近頃ハマっていることが二つある。一つは麻雀のオンラインゲーム。もう一つは、絵の練習。一回一、二分で描く人物スケッチだ。 二つの趣味を一定期間続けてみて、どちらも上手くなってきた。麻雀は勝ちが増えて昇段し、人物スケッチは線の迷いが減って、より正確に形や動きを捉えられるようになってきた。 継続していると、上手くなる。上手くなると楽しい。 これは当たり前のことかもしれないが、不思議な感じがした。上手くなるってこんなに安心するものなのか。 考えてみるに、自分はこれまで、上手くな

          上手くなる

          「絵と言葉の一研究」(寄藤文平)を読む

          デザイナーとしての仕事を通して出てきた違和感や疑問に、深い思考によって向き合う本だ。冒頭は、「もともとは、デザイナーをやめようかと考えて、この本を作り始めた」とある。 力の抜けたイラストや例え話が多く登場するので親しみやすくなっているが、問題に対して頭を使ってとことん考え抜いて答えを出している点、かなりストイックな本だと思った。自分が納得するまで考え抜く姿勢に勇気付けられた。 著者は自分のやっている仕事を、絵と言葉が作り出す距離に注目して捉え直している。「絵と言葉が作り出

          「絵と言葉の一研究」(寄藤文平)を読む

          20240316 装丁

          先週行けなかった、水戸部功と名久井直子の装丁の展示に行った。じっくり時間を掛けて見た。 水戸部功装丁のスタニスワフ・レム全集がよかった。半透明のカバーに隠された鮮やかな表紙の写真は水戸部功本人が撮ったものらしい。インクを水にに溶かした写真と、石の表面の写真という身近なものだが、遠い異世界の雰囲気を感じさせるから不思議だ。 同じく水戸部功による装丁の「生ける物質」(米田翼)も印象に残った。黒のカバーを外すと赤が目を引く。副題は「アンリ・ベルクソンと生命固体化の思想」とあり、

          20240316 装丁

          20240311 君たち

          宮﨑駿の「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞を取った。あの作品は何がよかったのだろう。映画館で見た直後は戸惑った。期待していたものとは明らかに違ったからだ。かといって、つまらないとも思わなかった。何だこれは、という戸惑いだった。象徴的なイメージが散りばめられた夢の中のような風景。ジブリ作品のイメージに反して過剰とも思えるグロテスクさ、不気味さ。すっきりと解釈できないストーリー。消化不良の感覚と、残念な気持ちもあった。これまでのジブリ作品からの引用表現に溢れていたが、それらは

          20240311 君たち

          「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(東畑開人) を読む

          東畑開人の本は「居るのはつらいよ」と「心はどこへ消えた?」の二冊を読んでいた。 この本はそれら二作とは趣が異なり、物語形式で書かれている。読者が著者と共に「夜の航海」を進めるというストーリー。それは悩みと向き合って自分なりの生き方を見出していくための航海だ。さらに、臨床心理士としてのクライエントとのやり取りの様子が詳しく書かれていて、その具体的なエピソードと航海のストーリーが関わり合いながら話が進んでいく。 専門用語や難しい言葉は使われず、喩えが多用されている。著者は現代の

          「なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない」(東畑開人) を読む

          「第四間氷期」(安部公房)を読む

          この本を読み、考えたことは次の四つだ。 ・AI(人工知能)との関連性 ・水棲哺乳類の魅力 ・現在と断絶した未来 ・自分は未来に対して保守主義者だろうか AI(人工知能)との関連性 内容については何も知らずにこの物語を読み始めたのだが、登場する予言機械は、まさに今でいうAIのことを描いているように思えて驚いた。書かれたのは一九五九年だそうだ。冒頭、こんな言葉が登場する。「電子計算機とは、考える機械のことである。機械は考えることはできるが、しかし問題をつくりだすことはできな

          「第四間氷期」(安部公房)を読む

          「デミアン」(ヘッセ) を読む

          読んだのは恐らく四回目。 一回目は高校生の時、二回目は大学生の頃だったと思う。三回目は記録が残っていて二年前だった。今の仕事に転職してから半年後くらいか。 「デミアン」の物語の前半部は、シンクレールがデミアンと出会い、暖かな家族に囲まれた明るい世界から善と悪の混在するもう一つの世界へと導かれる話だ。 子供から大人になる過程の、イニシエーションの経験を描いているように思える。 デミアンはシンクレールに、君は自分と同じ「カインのしるしを持つ者」であり、他の多くの人とは異なる特別

          「デミアン」(ヘッセ) を読む

          歴史を学ぶ楽しさと寂しさ

          この頃、歴史、特に日本史に関する本をよく読んでいる。 小中高と歴史は苦手な科目で、人生の中でここまで歴史に興味を持つことがなかったので自分のことながら少々驚いている。 昔ある人が、ある程度の年齢(確か三十歳くらいといっていた)になると誰でも歴史に興味を持つ、と話していた。 歴史は、経験を通して人間や社会への理解がそれなりに蓄積されてこそ、その面白さがわかるというのはその通りだと思う。 僕の場合、十代から二十代前半は特に、人間や社会への興味というよりも、それ以前の「世界の在

          歴史を学ぶ楽しさと寂しさ

          最近読んだ本 2021年12月

          ・ドストエフスキー「罪と罰(上)」 登場人物がまるで目の前にいるかのように生き生きとしている。作者によって作られた感じがせず、そのリアリティの強さに驚く。ラスコーリニコフの部屋が「棺のような部屋」と何度か表現されているのが印象的だった。彼を狂気へと駆り立てたのはこの部屋だったのだと思う。青年はなぜ宿命のように、反社会性を持つのだろう、とそんなことを思った。 「わかりますとも、わかりますとも……そりゃもちろんです……何だってあなたはそんなに僕の部屋を、じろじろごらんになさる

          最近読んだ本 2021年12月

          常識と哲学

          木村敏「異常の構造」を読んでいる。精神分裂病者から見える世界について考察しながら、異常とは何かを明らかにしてゆく本だ。 前半部で常識とは何かということについて詳しく検討されている。「常識とは知識ではなく感覚の一種であり、それもいわば実践的な勘のようなもの」だという。アリストテレスのいう「共通感覚」とも深いつながりがあると。最近読んだ中村雄二郎「共通感覚論」にも常識と共通感覚について書かれていたが、「異常の構造」の説明の方がわかりやすかった。 常識というのは認識的な知識という

          常識と哲学

          最近読んだ本 2021年5月

          ・「ラクガキ・マスター」(寄藤文平) デザイナー・イラストレーターの寄藤文平によるユーモアに溢れたラクガキの指南書だ。 「広葉樹は傘のかたまり」とか「川は溝」「山はシワ」など、言葉で書くと何をいっているのだ、という感じだと思うが、図で示されると説得力が凄まじい。つまりそのようにイメージで置き換えることによって木や川、山といった対象を「それらしく」描くことができるようになるのだ。 実際上手く描けるようになるのかはわからないが、読むだけで絵が上手くなった気がしてしまう! シンプ

          最近読んだ本 2021年5月