久々の映画はミニシアターのレイトショーで
ここ数年、出張続きの日々を送っているが、夜ホテルの部屋でダラダラTVを観るより、タイミングが合う時は映画館でレイトショーを観るようにしている。
そういえば昨年、話題になった「鬼滅の刃」を観たのも小倉のシネコンのレイトショーだった。
高崎のドーミーインの向かいにはNPO法人が運営しているミニシアター“シネマテークたかさき”がある。高崎に出張に来るたび気になっていたが、仕事が長引くことが多く、毎回ミニシアターのレイトショーが始まるまでにホテルに帰ってこれず残念に思っていた。
今夜は珍しく7時までにホテルに帰ってこれたので、このミニシアターで「MISSミス・フランスになりたい!」のレイトショーを観ることにした。
小さな受付で手書きの席番号シールが貼られたチケットと映画のパンフレットを買って、上映10分前に会場に入る。
小さな上映会場に入るとソーシャルディスタンス用のPOPがひとつ飛ばしに座席に貼られていた。
オーソンウェルズやヒッチコックが「ここはわたしの席です」と語りかけてくる。これからこの名優や名監督たちが一緒に映画を観てくれるような憎い演出に思わずニヤリとしてしまった。
「MISSミス・フランスになりたい!」は、LGBTQをテーマにしたハートフルコメディのフランス映画。主演のアレクサンドル・ヴェルテールはフランスで圧倒的な美貌のユニセックスモデルらしいが、ルーベン監督がアレクサンドルのInstagramを見つけての抜擢というのが今時だと思った。ストーリーは美貌の男性アレックスが、子どもの頃からの夢であるミス・フランスのコンテストに挑戦する中で、葛藤しながらも仲間に助けられ成長し、自分のアイデンティティを見つけるというもの。ドラァグ・クイーンのローラや家主のヨランダなど個性豊かで魅力的な登場人物のウィットの利いたセリフがとてもフランス映画らしかった。フランス語のセリフの響きも映画全体のオサレ度を上げていて耳にも心地よかった。
ついついスマホの小さい画面で動画を見る日常を過ごしガチである。ミニシアターの小さなスクリーンでも映画館で映画を観るのは、何ともリッチで気持ちが満たされる良い時間となった。
SOCIAL DISTANCEの文字の下で大林監督が優しく微笑みながら「映画はやっぱり映画館だろ?!」と語りかけてくるようだった。