失敗の共有は経験価値に転化する
名古屋駅と言えば、昔からホームの立ち食いきしめんの「住よし」が有名だが、中央コンコースにある「ぴよりん」は、昨今のSNS効果で人気上昇中である。
「ぴよりん」は、名古屋コーチンを使ったヒヨコをモチーフにしたスイーツである。ショーウィンドウに並んだその可愛いらしさはいかにもSNS映えしそうなデザインである。
1個380円。なんとも愛らしく味も美味しいお土産スイーツである。しかしながら、「ぴよりん」は繊細で揺れに弱く型崩れやすい。お土産であるぴよりんを家まで無事に持ち帰れるかは、いつしか「ぴよりんチャレンジ」と呼ばれるようになりSNSを賑わせている。
私が初めて「ぴよりんチャレンジ」にトライした時の写真がこちら。
なかなか原型を留めてるじゃないか!チャレンジ成功!とFacebookにアップしたら、速攻「目とくちばしは?」とツッコミがきた。「ぴよりん」を運んできたパッケージを良く見たら、そこには飛び散った目とくちばしが…
恐るべし「ぴよりんチャレンジ」
目とくちばしを回収しなんとか元通りの姿に復元。
こちらの復元PhotoにはFacebook上で見守っていてくれた私のお友達たちから「いいね!」の嵐をいただくことになる。
普通、お土産が崩れやすかったらクレームに繋がりそうなものだが、「ぴよりんチャレンジ」では、むしろ無事に持ち帰るというより、どこまで失敗できるか?が価値になっている。ぴよりんはスイーツとしての本来の価値より、ユーザー同士の「あるある失敗経験」の共感価値によりその存在が拡散され、認知がひろがったのだ。経験価値マーケティングの成功例と言える。「ぴよりん」は、「おいしい」より「かわいい」、「かわいい」より「面白い体験」の話題作りで、お土産市場で唯一無二のポジションを勝ち取ったことになる。
「ぴよりん」の味は甘過ぎず食感も絶妙で文句なく美味しい。とても丁寧に作られたスイーツである。「ぴよりん」が10周年を迎えられたのは、本質である「美味しさ」であることは間違いない。オモシロ話題だけで10年続くことは無いからだ。また、季節限定や味のバリエーションの研究にも余念が無い。
今日はカフェモカ味の茶色い「ぴよりん」を特急しなのに持ち込んでのぴよりんチャレンジにトライしてみた。
結果は、電車が動き出す前の席に着いた時点で完敗であった。。
お味はたいへん美味しゅうございました。
ぴよりんチャレンジ revenge coming soon