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dorobouneco
週末の夜と千早茜
好きな本、
好きな作家さん、
たくさん。
だから、好きな本は?は聞かれるととても困る。
ミスチルの1番好きな曲を聞かれるくらい。
特段大それた趣味がないので、本音で読書が趣味と言うとまぁ、そんな話しに派生する。
でも本棚は趣味嗜好の表れなので、どこか答える時には慎重になる。
千早茜さんのデビュー作「魚神」がとても好きだった。好きな作家さんの1人でほとんどの作品読んでいる。最初に読んだのは20代だったが、世界観、主人公のもつ神秘性、文体、一気に惹きこまれて何日も余韻は続いた。
(実は、私は遊廓や赤線の歴史にノスタルジーを感じ色々と文献を調べたり名残がある場所には多く足を運んでいるので、舞台となるの架空の島の設定にもまず惹かれていた)
その独特の世界観を心の中に大切にしまっておきたくて、独り占めしたい作品で、あんまり人に聞かれた時に口にしていなかった。(実に心が狭い)
さて、そんな千早さんがこの度(と言っても数ヶ月経つが)めでたく、直木賞を受賞された。
とても嬉しかった。
そしたら嬉しい幸運は重なって、友人が実は千早茜さんとつながっていることが判明したりした。
嬉しくなって、魚神が大好きだったことを堰を切ったように友人に話していた。そうしたら無性にまた読みたくなった。
初読から10年以上が経ち、子を持つ母となり読むと、受け止める重さが違った。
カラフルだけど、どこか淡い色合いの泡が弾けそうな印象の世界にどこかグレーの紗幕がかかっていた。
ああそうか。
若さと情熱と純粋さへの憧れを失くしていたことに気がついた週末の夜だった。
そんな風に味わいの変化を楽しめるのも、芸術の面白さであろう。
そう、ミスチルのNo.1曲も然り。
その時の恋の状況によって変わっていたっけな。
片手どころか中指までで数えるほどの小枠の中の恋愛だが。