LoRゲームデザイナーAlexz&Rubinによるパッチ2.11レビュー(ざっくり翻訳)

パッチ2.11は変更点があまりにも多すぎたため、カード個別の調整意図まではパッチノートに含めることができなかったとのこと。

それを解説するための配信がLoRゲームデザイナーのAlexz LeeとSteve Rubin(バランス調整チームのメンバー)により行われた。

配信url: https://www.twitch.tv/videos/1075622127

以下、配信の内容をざっくり訳したもの。要点をまとめただけなので細かなニュアンスは大いに異なっている可能性があります

パッチ全般について

・今回のバランス調整は結構無茶な労力を投入して行ったもので、今後これと同じくらい大規模なパッチがまた来ることは基本的にはないと思って欲しい

・とはいえ今回の調整がユーザーに好評であったことは理解している。今後のバランス調整方針に活かしていく。

・普段はメタに影響を及ぼさない些細な変更やメタに影響を及ぼしすぎる大きな変更は行わないようにしている。が、今回はその方針を投げ捨てた。

・昨年は二週間ごとの頻繁なバランス調整を行っていたが、OPデッキに対処療法的な調整を入れることで、カードプール全体を俯瞰したときにLoRの地域の独自性が薄れる結果となってしまっていた(例:レイニングバレットのナーフでAoEに長けているというビルジウォーターの長所が失われた)。今回のパッチは過去に行ったそのような変更を巻き戻すことも意図としている。

・具体的には、ビルジウォーターとアイオニアは地域としての強みがこれまでの調整によって失われてしまっていた。一方ターゴンは想定していた地域としての弱み(除去が少ない、横並びへの対処手段がない)が実質存在しないような状態になってしまっていた(除去→招来蛇座、横並び→ネクサス回復で耐えられる)。今回のパッチにはそれらを是正するような調整も入れている。

・パッチ適用後の環境を予測し、問題となるであろうデッキに先回りして調整を入れることも今回は行った(普段は行わない)。ナサススレッシュやアジールイレリアに調整を加えた後の内部テストでドレイブンエズリアルが強すぎることが判明したため、ドレイブンエズリアルにも調整を入れている

・各地域のチャンピオン最低一枚にバフを入れることにした

ジャーヴァンIV

・もともとジャーヴァンはわざと弱めの調整をした状態でリリースした。バーストスピードで出てくるユニットというデザインが未知の領域でぶっ壊れにならないか懸念していたため。進化した状態で出てきたほうがいいよねということでバフ。

カルマ

・進化前カルマは6マナにしては明らかに弱すぎると思っている(4/3スタッツで役に立つかも分からないスペルをくれるだけ!?)。6マナになっていたのは1ラウンドに二回カルマをプレイさせないためだった。

アジールイレリア関連カード

・アジールイレリアの問題点は両チャンピオンが場に出ずとも進化条件をすぐに満たし、その進化チャンピオンが二体場に並んだらゲームが終わることにある。舞い踊る雫へのナーフと合わせて両方のチャンピオンの進化を遅らせることにした。

・イレリアの瞬刃を1マナにする案もあったが、進化イレリアで場所を入れ替えビュンビュンする行為はイレリアのカードデザインのロマン要素そのものであって、1マナになることで入れ替えできず手札に使えない瞬刃が溜まっていくのを見るのは面白くないだろうと思った。

・アジールのナーフに関しては、進化条件ではなくスタッツを1/4にナーフする案もあった。1/4でテストしたところ、アジールイレリアデッキではそもそもすぐにアジールが進化しタフ5になるためあまり意味がなく、非情なる狩人にアジールが一方的に取られることによりむしろアジールバーン等他のデッキが弱くなる結果となってしまった。

・皇帝の高座は3マナでは弱すぎるので2マナのまま。アジールイレリアのキーカード三枚(アジールイレリア高座)がすべて3マナになるのはよろしくない。

・目立ちたがりの門弟はアジールイレリアデッキではありえん強いと思っている。が、古いカードが新しいデッキに居場所を見つけるという現象自体は面白く、目立ちたがりの門弟がほかのデッキで採用されていないこともありナーフ見送り。タコ殴りボクサーとクレッシェンダムのシナジーが猛威をふるった際も似たような議論を行った。

・舞い踊る雫はアジールイレリアのためのナーフではなく、そもそも1マナのカードとして単純に強すぎであり、今後1マナカードをデザインするときにパワーレベルを雫に合わせなければいけないのはマズいためナーフが入っている

非情なる狩人(ナーフしなかった理由)

・シュリーマは無防備付与が強みの地域で、狩人はその強みを明らかにキャリーしている一枚。今回ほかのシュリーマカードへナーフを入れたこともあり、地域の強みを消しすぎないためナーフしなかった

ハイマーディンガー

・1/5への変更も検討していた。

ヘカリム

・ユニットを守る手段がないシャドウアイル、かつ場に残るユニットがそもそも少ないエフェメラルデッキの主軸チャンピオンが6マナ5タフネスではかわいそう

ナサススレッシュ関連カード

・今までのナサススレッシュは、スレッシュ狩人などのブロック操作と進化前ナサスのフィアサムが相俟って進化前ナサスの打点をネクサスに通しやすく、一回ナサスにネクサスを殴られたらあとは残虐で負けという明らかな理不尽要素があった。フィアサム取り上げに加え基本スタッツを1/1にする案もあったがやりすぎであると感じたため却下。

・貪欲なブッチャーをナーフしても代わりに命の風波が採用されるだけで意味がないと思った。より替えが効かない牢番をナーフした。砂丘の防人を1/2に変更したことにより防人ブッチャーの展開がすでに弱くなっていたのでブッチャーでなく牢番をナーフしたというのもある。

シヴィア

・シヴィアは単体では強いが強みが活きる特定のアーキタイプが存在しない状況にあった。今回の変更でキーワードシェアがもっと活かせるようなアーキタイプが見つかるといいね

アフェリオス

・アフェリオスをボコボコにナーフしたパッチではもともと月読みの寺院をナーフする予定はなく、ギリギリになって寺院もナーフしたほうが良いのでは?となった。寺院のナーフを踏まえるとアフェリオスのタフを2にするナーフは完全に不要だったが、そこまで対応できなかったのがバランス調整を頻繁に出すことの弊害である。

ダブルアップ・スロットボット

・ビルジウォーターの地域性の一つである「デカい賭けに挑戦し、成功すればリターンを得る」という要素を象徴するようなカード二枚(スロットボットは召喚時にスタッツがシャッフルされることでよりギャンブル性が増した)。地域の独自性を目立たせるためのバフ

アイオニアの意思

・えげつないバフなのは理解している

双の行

・えげつないバフなのは理解している

・アイオニアの特色の一つとして本来「ユニットのスタッツそのものは他地域と比べ劣っているが、スペルを生かしたトリッキーなムーブで敵を翻弄し有利を取る」というものがあった。しかし現状アイオニアのコンバットトリックは環境にほぼ存在せず、双の行は警戒網などと比較しても明らかに弱かった。

老猾な軍師

・進化ルブランを絡めた無限奮起コンボを防ぐために攻撃力4に設定されていた。が、名声デッキでこのカードより瞬歩が採用されるような現状ではさすがに軍師の存在意義がないためバフ

ジェイ・メダルダ

・前にメダルダに変更を行った際に5/5にする案は出ていたが、このカードはデザインに不快要素を含んでおり(メダルダを除去しようとしてコンバットトリックで躱されるとこちらのスペルで相手がカードを一枚引く結果となり、不快)、強くなりすぎるくらいならネタカードのままでいた方がゲームにとって良いだろうという結論になった。ただ今回のパッチでは冒険しようということでバフ

ごちゃごちゃおもちゃ箱

・このカードが1マナだと、今後破棄シナジーを持ったデザインのカードを新たに作ることが難しくなってしまう(例:パックンチョッパーのような新カードを作るとしたら、どうあがいてもおもちゃ箱から1マナで出てくることを想定したデザインにせざるを得ないためデザインスペースが限られてしまう)ため、ゲームの将来を見越してのナーフ

ウォッチャー

・かなり調整が難しいナーフだった

・(なんで17/11/17っていう変なスタッツなの?というチャットの質問に対して)んー、今の段階で言えるのは、ウォッチャーは実に奇妙な存在なんだよ、ってことだけかなあ...

忍び寄る闇

・ターゴンの回復をナーフしたことによりバーンデッキが強くなることを危惧した。破滅の獣や星霊の狐との組み合わせが強くなりすぎるのではないかということでナーフ。

・シャドウアイルはLoRの歴史を通して常に強かった地域だが、その理由の一つとして本来シャドウアイルが得意とはしていないはずのドロー・バーンがこのカードのせいで全然できてしまうというところにあるのではと議論していた。

砂丘の防人

・シュリーマ単やアジールバーンでは健全な強さだが、イレアジやナサスレといったシナジーがあるデッキではぶっ壊れになってしまったカード

・内部の統計データを調べたところ、前環境のイレアジ/ナサスレメタにおいて試合の平均終了ラウンドは8以下と過去最低の数字を記録していた。理由はいろいろあるだろうが防人が悪さをしていたというのはその一つだろう。

霊峰の逗留者

・ターゴンの独自性であるはずのサポートシナジーが全く光を浴びていない現状なので思い切ったバフ

・ターゴンの回復を弱くしたので代わりに別の側面をバフしたみたいなところもある

凶兆の蛇座

・除去が弱いはずのターゴンで0マナ2点チャレンジャー(ジェムなどがつけばそれ以上)はやりすぎ

・星の静寂も1マナの疑似除去として機能するためターゴンの弱みを無かったものにしてしまう強すぎ天空カード。蛇座と星の静寂のどちらをナーフするか迷った(両方ナーフするのはやりすぎだと感じた)が、ターゴンの独自性の一つは沈黙効果だと考えたため蛇座をナーフ

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