シナジーベース/バリューベースのデッキビルディング ~ディープを添えて~
Swim氏がLoRのゲームデザインについて語っている動画↓の中で,ディープを例に2種類のデッキビルディングのあり方について語っている部分を抄訳.3:00くらいから8:00くらいまで.
今のメタはプレイパターンという観点から言ってコンバージェンス(convergence)が高い.どういうことかというと,デッキがシナジーよりもバリューを前提にして組まれているということ(訳注: パッチ1.5当時の動画です).なぜそうなるかと言えば,カードが追加されればされるほどデッキがバリュー重視のものへとなりがちだから.
カードの中にはシナジーの適用範囲がとても広いためにバリューが高いものがある.一番いい例がエズリアル.エズリアルはシナジーの高いカードだけど,カードが追加されればされるほどエズリアルは強い.だけど基本的には,特定のアーキタイプを支援するようなカードが刷られない限りバリュー重視のデッキが多くなる.重要なのは,シナジー重視のデッキビルディングとバリュー重視のデッキビルディングとの間には明確な裂け目があること.重力圏から物体が逃れるのに必要な宇宙速度(escape velocity)に例えるのが好きなんだけど,シナジー重視の戦略がうまくいくためには,シナジー重視のカードが単純にバリューの高いカードとのデッキ枠の奪い合いに勝たなければいけない.ディープを例にとって話してみよう.これがうまく行ってない一番いい例だと思うから.
デッキビルドのステップ1は「Ctrl+Fデッキビルディング」だ(LoRの検索窓に"deep"と入力して出てきたカードを片っ端から追加しながら).
もっともシナジーを重視したディープデッキでは,「深海への誘い」を三枚採用する価値があるだろう.デッキのコンセプトがシナジー重視になるための宇宙速度を越えるのがそこだ.それで,「深海への誘い」を3枚採用するなら,「当たり」を増やすために「潮乗りのザップ」を採用することも考えられる.海獣の数が臨界点を超えて,そしてもっと重要なことだけど,序盤を耐えきるだけの十分な手段が確保できれば,誘いを3枚採用する価値が出てくる.でも実際は信じられないほどその点からは程遠い.
「Ctrl+Fデッキビルディング」から始めたけど,少しずつ雲行きが怪しくなってきた.最初に気づくのは,「『誘い』は入れられないな,遅すぎる」ということ.このデッキはもっと速くならなければいけない.それで,「不死者の握撃」とか「蝕む嘆き」とかを入れることになる.それでどうなるかというと,まず序盤を耐えるだけの手段は用意できた.ただ重いカードがまだ多すぎる.だから例えば「船の墓場」の数を減らす.というように,ドミノ倒しのようにバリュー重視のデッキへと近づいていく.バリュー重視のデッキビルドとシナジー重視のデッキビルドはこういう関係になっている.全てのカードが綺麗にシナジーするようなところまでたどり着けないので,一部のカードを削る.一部を削ると,もっと削る必要性が出てくる.それを繰り返していくと,バリュー重視のデッキになる.バリューとシナジーの間に裂け目があるというのはこういうことだ.