人肉を食べる機会があったかもしれない話
3年前、洋服を作る仕事をしていた。
ある時、友人の会社で急な衣装の受注が入り、人手が足りないので手伝いに来てほしいと連絡があった。
私は次の仕事を探していたので二つ返事でOKした。
そして当日。
作業開始二時間が経過したころ事件は起きた。
定規を当てて生地をカットしようとした時、勢いあまって左手人差し指の先端を3ミリほど
すっとばしてしまったのだ。
ごうぼうのささがきのように、人差し指のささがきになってしまった。
あっ!と思ったときには遅く、ローラーカッターの刃は中指を三分の一ほど切った所で止まった。
その時の映像はスローモーションで蘇る。
指の先端が机の上に飛んでいくのだ。
肉片が飛んで拾い上げて指にくっつけるまで2秒位の出来事だったと思う。
私は非日常感にちょっとテンションが上がったのを覚えている。
「指飛んでくとかウケるな」って感じ。
すぐに病院へ。
混んでいて30分待たされた。
切断された肉片はどんどん白くなっていった。
診察室へ入るとすぐに麻酔を打たれる。
いてぇ、いてぇと喚き散らすうるさい女。
だって痛いんだもん。
止血するべく先端をゴム手袋で縛るとびゅっと鮮血が先生の顔に飛んだ。
先生には悪いがアクシデント起こりまくりで面白いという感情しかなかった。
「もうくっつかないね」
さらっと言われ私の人差し指の一部だったものは診察室のゴミ箱に捨てられた。
この日の感情おもしろい90%、若干引いた10%。
この後の生活がめんどくさい200%。
その後の話。
一週間くらい経って、私はあることに気づく。
「あの肉片、もし持って帰ってたら食べれたんじゃない?」と。
牛肉かなんかと野菜炒めにして混ぜてしまえばわからずに食べれたんじゃないかと。
しかも合法的に。
爪がついていたので取らないといけないけど。
カニバリズムを合法で行える機会が転がっていたのにみすみす逃してしまった。
自分の体の一部を自分で食べれるかもしれなかった話。
100%の興味本位で。
もし同じような機会があったら皆さんも試してみてはいかがでしょう。
私はやるかもしれません。
こんなけがの楽しみ方もありますよ(笑