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ウインクできなくたってへっちゃらさ!『どこでもない場所』の読書会で鴨さんにいろいろ聞いてきたよ。
先週、読書会に参加してきました。
こすぎナイトキャンパス『どこでもない場所』
~ 著者の浅生鴨さんにインタビューしよう! ~
読書会というものに参加したこともなく、武蔵小杉にゆかりもなく、
でも、著者である鴨さんにお会いして直接会話できる、とあって、
ドキドキしながら参加を申し込みました。
就業定時の18時きっかりに職場を飛び出し、南武線で武蔵小杉へ。
開始15分前に駅に到着...したのはよいけれど、会場の立派なタワーマンションらしきところに着いても入り口がわからず、雨交じりの中、しばし右往左往。時間が迫ってきたので、思い切って代表の方へ電話してなんとか無事に会場へ。のっけから不安と安心とで胸がバクバク。お前は小学生か...
「どこでも好きな場所へお座りください」と、優しく誘導され、空いている席におずおずと腰掛けてみると、
え?あれ?目の前に座ってらっしゃるのは、浅生鴨さん、ご本人??
記憶の中の鴨さんはいつもサングラスでちょっといかついのだけれど、目の前には柔らかな物腰のちょっと色素の薄い優しい眼差しが。そしてカーキのシャツが覗く濃紺のcanterburyのパーカーに、嬉しくなる。(ラグビー好きは反応しちゃうとこです)
まさかの真正面?緊張しちゃう
けれど、せっかくだから、と、浮かしかけた腰を下ろす。そう、実は昔から一番前に座りたがるミーハーな私。
さて、初体験の読書会。いろいろやり方はあるそうなのですが、今回の進め方は、著者である鴨さんにみんなでインタビューをしましょう、というもの。参加者が順に、自己紹介+本の中の好きなエピソード+質問を、言っていきます。
そして、厳正なる審査(ジャンケン)の上、なんと私は、栄えある先頭バッターになってしまったのでした。
私のした質問は大きく以下の2点です。
録音とかしなかったので、うろ覚えの記録を。主観たっぷりに。
◆フィルム(カメラ)
私は『フィルム』が大好きですので、それに絡めて、カメラのことをお聞きしました。
[質問とご回答]
-私は撮るのも撮られるのも苦手で、撮ろうと思うと身構えてしまうのですが、どういう気持ちで写真を撮ってらっしゃいますか?
撮りたいなって思った時にカメラを向けます。
-どんなカメラですか?
今日は持ってきていないけれど、コンパクトカメラですよ。いつも側においています。
-どのくらい撮りますか?
仕事ならたくさん撮るけれど、普段はあまり枚数撮りません。ひと月にフィルム1本くらいかな。17枚入り。
ビックカメラで売っている中で、17枚入りが一番安いんですよ。36枚入りとかは、高いの。現像もお金かかるしね。
-カメラに興味はあるのですが、ウインクできないので、ファインダーを覗けません。どうしたらいいでしょう?
プロは片目つぶりません。
片方で外の動きを見て、もう片方でファインダー覗いてシャッターを押すんですよ。だからウィンクできなくても大丈夫。
[感想]
自然に、息をするように撮っているのだなぁ。と感じました。
そうかぁ。カメラ、やってみようかなぁ。(私の中でウインク問題は結構大きかったのです)
もっと本文に絡んだエピソードを聞ききたいな、とか思っていたはずなのに、インタビューって難しい。
◆猫社員さん
追加で猫社員さんのエピソードもお聞きしました。
[質問とご回答]
-猫社員さん達との出会いは?
近所の喫茶店に張り紙があったんです。
「〇〇日までに引き取り手がないと、保健所につれていかれて処分されます。」
といった内容の。仕方ないから2匹引き取り、、、
そしてまた、後日、同じ喫茶店に同様の内容の張り紙が。仕方ないから、また、2匹引き取り、、、
-その喫茶店にはよく行かれるんですか?
それがひっどい喫茶店で。
耳の遠いおばあさんがやっていて。TVのワイドショーを大音量で流してるんです。注文なんて取りに来る気配もなく。大声で頼んだら、いつ入れたかわからない、煮詰まった、泥のようなコーヒーを入れてくる。
書き物しようと寄ったけれど、それどころではなかった。
つぶれてはいないと、近所の噂で知ってはいるけれど、近づかないようにしています。
[感想]
口ではクサしながらも、なんとなく愛を感じられて、その喫茶店にはきっとまた足を向けてしまうのではないのかな、と思ってしまいました。
もしかしたら、更に猫社員の増員も、あり得る?
◆その他、もろもろ
その他にもたくさん、孤独に対する考え方とか、少年鴨さんのこととか、
キューバから帰国時の飛行機で離陸直前に軍人さんに連行されたアメリカ人のこととか、この本を書ききるまでの編集 守屋さんとのやり取り etc... いっぱいお聞きして、書ききれないほど。
『どこでもない場所』は、すべてが短編小説として読めるように書かれた、とのこと。いわゆるエッセイの書き方とは違う。「僕」が主人公の小説。まさに。
誰もが経験する普遍的なものを鴨さんのフィルタを通して言語化されている。だから客観性と娯楽性が入っていて、すぅっと溶けるように染みこむのですね。
鴨さんは欲がなくて、受け身の方。「なんでも届けたい」って仰っていて、でもそこにはベースがしっかりしているが故の「なんでも届けることができるぞ」っていう自信もあるのかな。
ということで、いつか「血みどろのハードミステリー」を書いていただきたい。(「血みどろのハードミステリー」とは、鴨さんが自分から一番遠いテーマと言われていたもの。「それでも依頼されたら全力で書きますよ。」とも。)左右社の守屋さーん!是非、依頼してください!!(もしもこの声が届くなら)
◆謝辞
鴨さんはとても優しく、みんなの質問に丁寧に答えてくださって、たくさんの笑いと感嘆のため息が溢れました。予定時間を一時間も延長して盛り上がり、それでもまだまだ話し足りないような。
「誰かのお宅のリビングに来たみたいな」と評された通り、アットホームな雰囲気で、みんなで和気藹々、とても、とても贅沢な時間でした。
この機会をくださった浅生鴨さんと主催者の皆様、本当にありがとうございました。
終わります。
#浅生鴨 #どこでもない場所 #読書会 #インタビュー #感想文