山本恭子

つたないですが、140字でオサまらないことなどを書いてみようかな。

山本恭子

つたないですが、140字でオサまらないことなどを書いてみようかな。

最近の記事

たわいもない話。

賑やかな繁華街の狭い階段を登った二階にその店はあった。赤いケトルの木製看板。少し重い扉を開けると「カランコロン」ドアベルの音と共に、ふわっと珈琲が香る。 コの字のカウンターと奥にテーブル席が3つ、だったかな。いつもジャズかプレスリーがかかっていた。 友だちのちはるちゃんに連れられて行った喫茶店。深煎りの珈琲が、濃いけれど雑味なくすぅっと体に染み込んで、その味に虜になった私は、暇を見つけては通うようになった。 最初は本を開いて静かに過ごしていたけれど、いつからだろう、カウンタ

    • ウインクできなくたってへっちゃらさ!『どこでもない場所』の読書会で鴨さんにいろいろ聞いてきたよ。

      先週、読書会に参加してきました。  こすぎナイトキャンパス『どこでもない場所』  ~ 著者の浅生鴨さんにインタビューしよう! ~ 読書会というものに参加したこともなく、武蔵小杉にゆかりもなく、 でも、著者である鴨さんにお会いして直接会話できる、とあって、 ドキドキしながら参加を申し込みました。  就業定時の18時きっかりに職場を飛び出し、南武線で武蔵小杉へ。  開始15分前に駅に到着...したのはよいけれど、会場の立派なタワーマンションらしきところに着いても入り口がわからず

      • 私の「どこでもない場所」

        幼い頃、雨の日、いや、ピカピカに晴れている日でも、それは起こった。突然、何か胸の奥がザワザワして拠り所のない感覚に襲われる。視界にモヤがかかって、なんとも気持ち悪く、どこにも、誰にも触れたくないような。あぁ、またこれか、とその日はじっと耐える。はりついた笑顔を浮かべ人と接し、ウチに帰れば毛布に包まった。そして、次の日にはケロっとしていた。 大人になってどうしようもなく寂しくなるコトはあっても、あの、居場所のない心許なさは忘れていた。たぶん、その感覚が来てもやり過ごす術を身に