どん底じゃなくて虚無

大学3年の時、俺は人生のどん底にいた。
吃音が苦しくて辛くて、就職できるのか不安で仕方なかった。サークルを楽しみ、バイトをしながら、就活を難なくクリアしていく人たちが周りにたくさんいることがとてつもなく恐怖だった。優秀な周りの人間との比較でしか自分の価値を図れない自分自身にも腹が立っていた。

結局その時は色々もがいてそのどん底から這い上がることができたが、それから6年後の今の俺は虚無の中にいる。この6年間時に丁寧に時に泥臭く自分なりに一生懸命築き上げてきた城が一気に破壊された感じがする。

吃音の再発と不安定な精神状態。
ホワイト企業でパワハラがないだけマシ、深夜残業がないだけマシ、とでも捉えればいいのだろうか。そりゃあ、ブラックな職場で働いている人からすれば、そう思うだろう。何を贅沢なことを言っているのかと。
それは百も承知だが、吃音の再発はとんでもなくしんどい。頭がおかしくなってしまう。
就活の時とは違い、今は吃音を治せば未来が切り開くとは思えなくなってしまった。そうなると目指す場所がない。虚無の状態だ。
虚無はある意味どん底よりも苦しい。
どん底はどうにかして上に上がりさえすれば希望が見えるが、虚無はどこにいけば良いのかが分からない。暗闇の中をひたすらに彷徨っている感覚だ。
「仕事で昇格したい!」「彼女が欲しい!」目指す場所はどこでもいいのだが、今の俺にはどこにもない。何をしても無駄だと思ってしまう。

とにかく今は行動できる気力もないので、気力が元に戻るまで、少なくとも自分を壊さないように徐々に回復していきたいと思う。
そうなって始めて虚無から抜け出すスタートラインに立てる気がする。

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