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日本人みんながスズキと思うなよ

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 国を問わず世代を問わず、
 一人一人がほんのもうちょっとでいいから、
 冷静になってくれないか。

(文字数:約2500文字)



スズキは誰もいなかった

  大学時代に二週間ほど、
  フランス・イタリア・イギリスを、
  旅行する機会に恵まれたのだが、
  (その模様も記事にまとめたいと思いつつ、
   何せ20年以上前の話で手が付け切れていない。)

  ある時とある街中で、
  「スズキさーん!」
  と声がした。

  振り返ると通りの向かい側で、
  西欧人と思われる男性たちが爆笑していた。

  察するにこちらも四人ぐらいで歩いていた、
  日本人の大学生たちが全員振り返ったもので、

  「すげー。全員呼ばれて振り返った」
  「日本人って本当にみんなスズキなんだ」

  みたいに思われた様子だが、
  外国の地で自分たちの言語聞こえてきたら、
  そりゃ誰だって振り返るっちゅうねん。
  (もしかしたら多民族・ 多文化の中で暮らす、
   ヨーロッパの人たちは、
   呼ばれたくらいでは振り返らないかもしれないが)

  日本人みんながスズキと思うなよ。

  その時の心境と同様の事を、
  今回私は世人に対して語りたい。

  大阪人みんながお笑い好きと思うなよ。


観られる番組がほとんど無い

  例えば私の掃除内職仲間は、
  九州出身なんだが、

  ここはあえて明記する。
  ダウンタウンさんが大嫌いだ。

  浜田さん松本さんそれぞれが出演する、
  全てのバラエティ番組を、
  観る事が出来ない。

  なぜなら、

  浜田さんを観る度に、
  特に手首のスナップが効いたツッコミを観る度に、
  酒に酔った父親から殴られた事や、
  母や姉が殴られていた様子を思い出すから。

  松本さんを単独で見ても、
  フラッシュバックしてしまうほどに。

  彼らが好きでたまらない人たちには、
  意味が分からないし悲しいだろうし、
  人によっては怒りすら覚えるだろうが、

  ここでほんのちょっと冷静になってくれ。

  そうした事は、
  何処の、どういった、誰に対しても、
  現実に起こり得る話なんだ。

  まだしも取り上げやすい話題として、
  私はお笑いの、
  その中でもダウンタウンさんに言及しているが、

  お笑いに限った話でもない。


そもそも大阪人とは

  そのおばちゃん九州出身やないか。
  ほんであんたも九州出身やろ。
  生まれも育ちも生粋の、
  大阪人ちゃうやないか。

  京橋の裏通り辺りに、
  ほとんど住み着いているおっちゃんたちからは、
  そうまくし立てられてしまうかもしれないが
  (しかしまくし立ててくれる人たちからはまだ、
   愛情や哀惜を感じる)、

  その通りだ。
  そしてそれこそが大阪だ。

  主に西日本の各地から、
  別に能力が低いわけでもなく、
  怠け者だったわけでもなく、
  ただそれぞれの故郷の基準で、
  無能とされてきた人々が移り住み、

  丁稚から奉公しての商人を目指したり、
  芸を身に付け食い扶持を稼いだりして、
  どうにかこうにか発展させてきた、
  基本は交通の要衝地だ。

  主だった産品が存在しない。
  故に工夫を続けるしかない。

  配偶者は本籍地こそ和歌山とはいえ、
  生まれも育ちも大阪の南河内で、
  それはダウンタウンさんが大好きで、

  毎日のように浜田さん松本さんの、
  どちらかが出演する番組を、
  私も隣で観ているが、

  配偶者は基本、
  「4時ですよ〜だ」に出演していた当時の、
  おもろい兄ちゃんたちを観るスタンスでいる。

  「ヒロシのひとりキャンプのススメ」
  を観ている時と、
  特にテンションは変わらない。


支配者はどこにいる?

  ここまでの内容で、
  ちょっと冷静になってもらえたなら、
  更にもう一文読み進めて欲しいんだが、

  ダウンタウンさんはM-1を獲ってはいない。

  「ん?」とか「あれ?」といった、
  引っ掛かりがあった人はもう少し、

  「当たり前だろう。
   ダウンタウンに憧れる人たちの、
   賞レースなんだから」
  と疑問にも思わなかった方々は、
  より一層深く考えを巡らせてほしい。

  つまりダウンタウンさんが、
  今ある地位まで上り詰めたその過程には、
  M−1以外の別の力学が作用している
  という事だ。

  私の配偶者はほぼ同世代として、
  押し上げられる様子を割と身近な大阪府内で、
  リアルタイムで観てきたからこそ、

  今現在もダウンタウンさんを、
  「おもろい兄ちゃん」的に観ていられるわけだ。

  実はM−1関係者も、
  よしもとクリエイティブエージェンシーも、
  表現は異なっていても近い事を言っていると、
  私は思っているので、

  あえてはっきりした言葉に代えて、
  今回ここに書き記したいのだが、

  真のスターは大勢が群がる中からは生まれない。

  先達者が導いてくれるとも限らない。
  むしろスターであればこそ不可能だろう。
  自分たちとて外側からの強力な作用によって、
  輝かされたのだから。

  そこを一人一人が踏まえた上で、
  熱中したいならすればいいし、
  楽しみたいなら楽しめばいい。

  気に入らないなら放置するか、
  まだ世間の誰もが気付いていない、
  己か己の近くにいる者の、
  美点を磨け。


  くり返すが私は、
  まだしも取り上げやすい話題として、
  お笑いをメインに言及しているだけで、

  何もお笑いに限らない。


余談だけど「見せ算」が大好き

  それにしても我々夫婦にとっては、
  見せ算(2023M−1決勝戦のさや香のネタ)が、
  映画『メッセージ』に匹敵するほど、
  ツボにハマって面白くて面白くて、

  「あそこでもし松本さんか、
   中川家の礼二さんがさや香に入れてたら、
   3見せ3は0になるからさや香の1が残って、
   さや香が優勝だよね(・ω・*)」
  「3見せ3の眼(がん)が0な。
   眼、大事だぞ忘れるな(・m・)」

  とか普段から見せ算使って会話してる。

  別に優勝しなくたっていいのよ。
  ぶっちゃけ面白さのツボなんか、
  人それぞれなんだから。

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偏光
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