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地獄は引き戻す

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 急げ悲しみ 翼に変われ
 急げ傷跡  羅針盤になれ
 まだ飛べない雛たちみたいに
 僕はこの非力を嘆いている

中島みゆき『銀の龍の背に乗って』部分

(文字数:約1300文字)


  ドラマの影響というのは、
  時に制作者側の意図すらも逸れて強大で、

  私は『Dr.コトー診療所』の主題歌を、
  吉岡秀隆さんほどの優しげな、
  かつ物思わしげな風貌を持つ方か、
  孤島で医療に携わるほどの、
  強い覚悟と意志を持った方でなければ、

  いや別にその両者とも持っていなくても、
  他人であれば心の内側まで見通せるはずもなく、
  何ら構わないはずだが、

  少なくとも私ごとき、
  チャランポランな粗雑人間には歌う資格があるまいと、
  固く思い込んで長く緩めてすらいなかったのである。

  敬愛する中島みゆき大先生の、
  歌声に作詞であるにもかかわらずだ。

  先日改めて歌詞を見ながら聴いてみたら、

  ごめん。
  所詮私の記事だし言わせてもらう。

  なんと小説家たる私に、
  相応しい歌詞であることか。

  明日僕は龍の足元へ
  崖を登り 呼ぶよ

  「さあ行こうぜ」

  銀の龍の背に乗って
  届けに行こう 命の砂漠へ
  銀の龍の背に乗って
  運んで行こう 雨雲の渦を    

『銀の龍の背に乗って』サビ部分

  思わず拳を握り大熱唱しちゃったぜ。
  自宅の居間でだけどな。

誰もいやしないが聴いておくれ


  THE BLUE  HEARTSの『TRAIN-TRAIN』を作詞した、
  真島昌利さんには申し訳ないけれども、
  またTHE BLUE HEARTSに真島さんが好きだからこそ、
  申し訳ない思いも起こるのだけれども、

ここは天国じゃないんだ
かと言って地獄でもない

『TRAIN-TRAIN』歌詞部分

  私はこの世こそが地獄だと認識しているし、
  物心ついた時から絶望し尽くしている。

  しかしながら、
  生まれた時点からの地獄ではなくて良かった。
  ある程度、7、8歳まで育った時点で、
  また2年間で脱出できた事は本当に良かった。

  地獄の外側も境界もつぶさに見る事が出来た。

  絶望し尽くしている、
  とは書いたものの同時に、

  私は自身の幸せを、
  幸運に幸福を、
  いささかたりとも疑っていない。

  地獄とは私にとって、
  「一人一人の悪意が、
   一つ一つは些細であっても吹き溜まり、
   運悪くその渦中に置かれた一人だけが、
   理屈抜きで救い難く汚れて見える状態」
  を指す。

  渦中にいた者しかその状態を知らず、
  外側からでは気に留める事すら難しい。

  理解され難い事自体が道理だ。

  そして地獄は引き戻す。
  この世に生きている限り。
  この世が作り出すものだから。

  引き戻しにかかられている、
  その瞬間に気付けるか、
  足元を踏み締め切れるかが問われ、

  生涯やむ事は無い。

  この世に生きている限りだ。
  この世に心底から生きていたいのであれば、
  安心などは、
  生涯得られなくとも致し方ない。


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

  

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偏光
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